ナノセルロースニュース2020年11月

目次

車体外装全体にセルロースナノファイバーを実装した車が公道走行(2020.11.30)

車体外装全体にセルロースナノファイバー(CNF)を実装して軽量化した車が国内公道ヒルクライムレースでエキシビション走行したことが、同日、大王製紙株式会社のニュースリリースで発表されました。

大王製紙は、CNFの事業化に向けた取り組みとして、モータースポーツチーム・SAMURAI SPEED(東京都港区)に対して、CNFを使用したシート成形体である「ELLEX-M」、CNF 複合樹脂ペレット「ELLEX-R」を提供し、電気自動車の車体外装全体への実装、使用範囲の拡大を進めてきました。11月7日(土)~8日(日)に開催された公道でのALL JAPAN HILL CLIMB Festival in 御岳にエキシビションとしてゲスト参加し、走行を披露したとのことです。

同社のホームページには、動画と写真がアップされていますので、詳しくはこちらをご覧ください。

ロシアでセルロースナノファイバーの販売が始まりました(2020.11.30)

ロシア国立科学アカデミーの生物物理化学研究所が、ナノセルロース・サイトというロシア語のサイトを開設したことを9月7日にナノセルロース・ドットコムのニュースで伝えていましたが、このほど、この研究所が設立したと思われる企業、National Research Company(英訳)が、セルロースナノファイバーの販売を開始しました。

ホームページによると、この企業が扱っているセルロースナノファイバーはパルプを機械解繊したものと思われ、半透明の水懸濁液です。固形分濃度は1~3%で、価格は乾燥重量1kgあたりに換算すると、1960万円となります。用途としては、一般的に知られているものが記載してあります。

詳しくは、ナノセルロース・ドットコムの海外企業からご覧いただけます。

セルロースから作った発光木材フィルム(2020.11.30)

セルロースから作った発光木材フィルムが、照明、センサー、ディスプレイで持続可能な素材として使われる可能性がある。そのような記事が、アメリカ化学会が発行する雑誌Chemical & Engineering Newsのウェブ版に10月20日に掲載されました。

まず木材フィルムは、石油化学系のバインダーを必要としません。ETH(チューリヒ工科大学)のグループが研究している木材フィルムでは、厚さ1 mmのバルサ材を亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの溶液に連続して浸し、リグニンとヘミセルロースを除去します。続いてセレン化カドミウムのコアと硫化亜鉛のシェルでできたナノ粒子である、量子ドットの溶液に浸します。最後に、木材をプレスして乾燥させ、疎水性のヘキサデシルトリメトキシシランの保護層でコーティングします。こうして作られた木材フィルムは、紫外線にさらされると、使用する量子ドットのサイズに応じて、フィルムは赤または緑に光ります。

この発光フィルムは、今日の照明やディスプレイに使用されているガラスやプラスチックのより持続可能な代替品につながる可能性があります。また、発光性の建物のファサード、シーリングライトのパネル、さらには光る家具などに使うことができます。

詳しい内容は、Chemical & Engineering Newsのウェブサイトをご確認ください。

セルロースナノファイバーを使ったハンバーガーを3Dプリンターで作る(2020.11.28)

脂肪、ナノセルロース、水、香料、着色料を原料に、3Dプリンターでハンバーガーの肉を作る。こんな技術を実用化する企業が、11月25日にテルアビブ証券取引所で株式の新規株式公開を行いました。その企業の名前はSavor Eatです。この会社はイスラエル・エルサレムにあるヘブライ大学の農学部が開発した技術をベースにして、同大学の教授も参加して2018年に設立されました。

イスラエルのウェブサイト、The Time of Israelに11月25日に掲載された記事によりますと、この企業では、3D印刷技術、カートリッジ内の植物ベースの成分、独自の植物ベースのナノセルロース繊維を組み合わせて、ハンバーガーのパテを作る技術を開発しました。ナノセルロースは材料を結合し、肉のような食感を作り出します。ユダヤ教の教義に基づく食習慣であるコーシャ、絶対菜食主義のビーガン、小麦などを摂らないグルテンフリーに対応したハンバーガーを提供することができます。

顧客はアプリを使用して食べ物を注文します。このとき好みに応じて、たんぱく質と脂肪の量を指定することができます。この情報を機械が注文を受け取り、ボタンを押すだけで、原料が6分以内に混合され、マイクロ波で調理されます。

同社は、米国、ヨーロッパ、オーストラリアで3D食品製造法の特許を申請しており、最終的には機械と材料の両方をレストランに販売し、レストランがハンバーガーや最終的には他の製品を社内で製造できるようにする予定とのことです。

詳細は、Times of Israelの記事をご覧ください。

バクテリアナノセルロースを使った角膜創傷治療用パッチの開発(2020.11.28)

バクテリアナノセルロース(BNC)を使った角膜創傷治療用パッチを開発しているスペインのICMAB(The Institute of Materials Science of Barcelona、バルセロナ材料科学研究所)は、この研究がExpoquimia2020(バルセロナで開催される化学関連イベント)のバイオテクノロジーおよび基礎研究賞で、ファイナリストになったことを、ICMABのニュースリリース(11月27日付)で発表しました。

ICMABとバラッカー眼科センターが進めるこのプロジェクトでは、角膜の再生を促進するための保護、治癒剤、および生物活性基質として機能する治療薬を充填したナノセルロースで作られた角膜パッチの開発を進めています。BNCは代替の眼包帯材料として機能する非常に魅力的な特性を持ち、細菌によって生成され、高い液体保持能力を持ち、生体適合性、エンドトキシンフリー、柔軟性があり、ヒト細胞の成長をサポートします。バラッカー眼科センターは、このプロジェクトを支援し、臨床応用に必要な情報を提供しています。

詳細はICMABのウェブサイトをご覧ください。

セルロースナノファイバーのハイドロゲルを使い、世界で初めて生体外で臓器を作製(2020.11.27)

セルロースナノファイバー(CNF)のハイドロゲルを使い、オルガノイドの作製をサポートすることに、オーストラリアのモナッシュ大学の研究チームが世界で初めて成功したことが、同大学のニュースリリース(11月26日付)で発表されました。

オルガノイドとは、動物細胞を使って、試験管内など生体外に三次元的に作られた臓器のことで、臓器に特異的な種類の細胞の集合体です。臓器の機能、例えば排泄、濾過、神経活動、収縮などを再現することができるもので、11月11日付で当サイトのニュースで取り上げた、ナノセルロースによる三次元オブジェクトとは本質的に異なるものです。

オルガノイドは、幹細胞、健康な組織の細胞、癌細胞などから作られますが、長期間使用する場合は、マウス肉腫の基底膜に由来するEngelbreth-Holm Swarm(EHS)マトリックス内に埋め込まれます。オルガノイド培養は、この高価で未定義の腫瘍由来物質に依存しているため、価格が高いことと生化学的に変動することが課題となっていました。新たに開発した方法は、コストを1/600に削減するとともに、動物由来の物質を含まないため、組成が完全に制御され、再現性があります。

研究グループでは、99.9%の水と0.1%の固形分から構成されるCNFハイドロゲルを使って、マウス由来の小腸オルガノイドを作製しました。ハイドロゲル中のCNFは、オルガノイドの成長と増殖に必要な微小環境を提供します。

この方法を使うことで、オルガノイドをより安く、より速く、より倫理的に作製できます。さらにこの方法は、1年以内に実用化できる見通しがあるそうです。オルガノイドはCOVID-19のような感染症に対する薬物スクリーニングや、糖尿病、がんなどの疾患モデルを使った治療法の開発など、さまざまな用途で用いることができます。

この研究は、BioPRIAとモナッシュ大学の共同研究によるもので、その成果はAdvanced Scienceで発表されました。

また詳しい内容は、モナッシュ大学のニュースリリースでご確認ください。

レンゴー、セルロースナノファイバーの実証プラントを福井に新設し量産化を目指す(2020.11.27)

レンゴーは福井にセルロースナノファイバー(CNF)の実証プラントを2021年に新設し、量産技術を開発するとのことです。脱プラスチックと自動車の軽量化を目指すほか、化粧品向けについても、生産能力を増強するとのことです。日本経済新聞電子版に11月27日に掲載されたました。なお、レンゴー株式会社のニュースリリースには、本件に関するものは見当たりませんでした。

さらに詳しい内容は、日経のウェブサイトでご確認ください。

東亞合成、シングルセルロースナノファイバーの低コスト化を次亜塩素酸ナトリウムで実現(2020.11.25)

東亞合成株式会社は、東京大学大学院農学生命科学研究科の磯貝明特別教授のグループとの共同研究で、ナノセルロースの最小単位であるセルロースミクロフィブリルにまで容易に解繊することが可能な技術を開発したことを、11月25日付のニュースリリースで発表しました。

この技術では、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液をパルプなどに加えて酸化セルロースを作り、それに非常に緩やかな撹拌混合エネルギーを加えることで、セルロースミクロフィブリルにします。繊維の解繊性がよいため、汎用的なホモミキサーで数分間攪拌するだけで、ナノ解繊が進み、透明な水分散液が得られます。これによって、製造時および使用時にかかるエネルギーを大幅に抑え、コストの削減とCO2削減を同時に達成しています。

同社はシングルナノセルロース(セルロースミクロフィブリル)または酸化セルロースとしての提供を予定しています。酸化セルロースの状態で提供する場合は、使用時にナノ解繊されるため、15%水分散液として取扱うことが可能です。そのため、使用時における水の持込み量の削減や輸送時の省エネルギー化にも貢献します。

開発したシングルナノセルロースは、ナノ解繊後の繊維長が比較的短いため、高濃度でも粘度上昇が小さく、ナノ粒子分散剤としての最適です。さらに樹脂の強化のためのフィラーとしても適しており、CNFとして0.5~1.0wt%の低添加量で、ABS樹脂の弾性率を約20%向上させることができます。このCNF強化樹脂は、乳化重合時に本開発品を使用することで、CNFを高濃度で均一に分散させた樹脂を用いることで作製が可能となります。

同社は、CNFと比べて5分の1程度の販売価格を目指したコストダウンと量産化の検討を進め、早期事業化を図る予定とのことです。

詳しい内容は、同社のニュースリリースをご覧ください。

早稲田大学がセルロースナノファイバー銀粒子エアロゲル異方性導電膜をnanotech2021に出展(2020.11.25)

セルロースナノファイバー(CNF)銀粒子エアロゲル異方性導電膜の研究を行っている早稲田大学は、その研究成果を12月9日(水)~11日(金)に東京ビッグサイトで開催されるnano tech2021 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議に出展することを、リサーチイノベーションセンター知財・研究連携支援部門がウェブサイトのニュースで公表しました。

詳しい内容は、展示会でご確認ください

セルロースナノファイバーを使った半透明バリアペーパーが発売(2020.11.20)

パルプ繊維をミクロフィブリル化したものを紙にすると、透明かつ丈夫で、ガスバリア性の高い紙が得られます。スコットランドの製紙会社Arjowigginsは、10月29日付のプレスリリースで、半透明バリアペーパーSylvictaを発売したことを発表しました。

バージンの木材パルプ繊維をミクロフィブリル化して得られるセルロースナノファイバーまたはセルロースミクロファイバーは、繊維間で水素結合するため、フィラーを添加しなくても、丈夫で緻密な紙を作ることができます。

この紙には、次のような特徴があります。

  • 食品包装容器としての使用が可能:ヨーロッパと米国の食品接触要件を満たしており、生鮮食品、乾燥食品、冷凍食品、湿った脂肪の多い食品との接触が認められています。
  • 高い酸素バリア性:BOPP(二軸延伸ポリプロピレン)フィルムと比較して2000倍の酸素バリア性、PETと比較して100倍の酸素バリア性がある。
  • 高いオイル・グリースバリア性:プラスチックベースのラミネートの代わりに、チョコレート、バター、油性製品に使用できます。
  • 高いアロマバリア性:食品の包装に一般的に使用されるラップフィルムよりも、香りの蒸発に対するバリアが高くなっています。

さらにこの製品は、生分解性が高く、堆肥化も可能です。

詳しくは、同社のニュースリリースをご覧ください。

ゼラチンとセルロースナノクリスタルから創傷被覆材用材料を開発(2020.11.20)

ゼラチンとセルロースナノクリスタル(CNC)をベースにした創傷被覆材用の材料を、ロシアのITMO大学(サンクトペテルブルグ)とトロント大学の研究者が、開発したことが、医療情報サイトMedical Expressに11月19日付で掲載されました。

抗生物質を使用するたびに、生き残った細菌は抗生物質に対する耐性を獲得しますが、その結果、治療が非常に難しい細菌が発生します。これらは深刻な合併症の原因となる可能性があるため、世界中の研究者が抗生物質を使用せずに感染症と戦うための新しい方法を探しています。不十分に治療された創傷は重度の感染の可能性があるので、少なくとも感染を引き起こさないためには、創傷被覆材は抗菌性を備えている必要があります。現在、抗生物質耐性を発現する細菌のために従来の抗菌製品の使用を減らすという傾向があります。

そこで、ITMO大学とトロント大学の研究者は、細胞増殖に好ましい条件を提供することにより、治癒過程を促進するとともに、抗菌性を持つハイドロゲルを開発しました。材料のベースは、修飾されたCNCとゼラチンです。ハイドロゲルは栄養を与えるFe³⁺イオンを吸着できるため、感染の拡大を防ぎます。さらにカーボンナノドットで修飾することにより、紫外線を照射すると青いバンドで光るようにしました。包帯がまだイオンを吸着する能力を使い果たしていない場合、光ります。完全にイオンで覆われている場合、光りません。

この材料は、抗生物質耐性菌を撃退し、創傷治癒プロセスをスピードアップすることができます。将来的には、この材料はゲルベースの創傷被覆材の製造に使用される可能性があります。研究成果はChemistry of Materialsに掲載されています。

詳細は、論文をご確認ください。

セルロースナノファイバーとシルクから作った素材の衣装が、ファッションショーに登場(2020.11.19)

福岡市美術館で20日に開催されるファッションショーに、九州大大学院芸術工学研究院と農学研究院が開発した植物由来のセルロースナノファイバーとシルクを合わせた素材で製作された衣装が登場するとのことです。

朝日新聞電子版の記事(11月19日付)によりますと、福岡市内に拠点を置き、国内外の有名アーティストの衣装を手がけるコスチュームデザイナー、ARAKI SHIROさんがデザインしたものだそうです。

キュウリの皮由来のセルロースナノクリスタルから食品包装用フィルム(2020.11.18)

セルロース含有量の高いキュウリの皮から、セルロースナノクリスタル(CNC)を製造し、それを食品包装用のフィルムの材料として用いる、そのような研究をインド工科大学(IIT)カラグプル(kharagpur)校の研究者が進めていることが、インドの複数のメディアで報道されました。

キュウリは調理の際に12%が廃棄されますが、ここからセルロース、ヘミセルロース、ペクチンを抽出し、バイオコンポジットのナノフィラーとして用いる予定です。皮から開発されたセルロースナノ材料は強度と伸びがあり、使い捨てプラスチックの代わりに食品包装材料に使える可能性があります。またこれ以外にも、製紙、コーティング添加物、バイオコンポジット、透明フィルムなどのさまざまな分野での使用が考えられます。

詳しい内容は、ニュースサイトOUTLOOKの記事をご覧ください。

落花生の殻由来のセルロースナノクリスタルからスマートスクリーンを開発(2020.11.17)

落花生の殻から作ったセルロースナノクリスタル(CNC)を使ったスマートスクリーンを、インド科学技術省の傘下にあるナノ・ソフトマターサイエンスセンター(CeNS)の研究グループが開発しました。

インドのウェブサイトDaily Pioneerに11月9日付で掲載された記事によりますと、落花生の殻から作ったCNCを含んだ液晶は、電場の印加によって液晶分子の配列を調節することで屈折率を調節し、スクリーンの透過率を変化させます。これはプライバシーを保護するだけでなく、透過する光と熱を制御することで空調負荷を軽減させ、省エネにも貢献します。このデバイスはさまざまなセルロースや農業廃棄物から作ったCNCで作ることができるが、落花生の殻由来のCNCを使った場合が、最も効率がよかったとのことです。なお落花生の殻から作ったCNCは、IIT(インド工科大学)ルールキー校の研究グループから提供されたものです。

詳細はApplied Physics Lettersの最近号をお読みください。

セルロースナノファイバー、雲母片などからプラスチック代替材料を開発(2020.11.17)

セルロースナノファイバー(CNF)と酸化チタンに包まれる雲母片を複合させ、バイオニック構造を持つ高性能で持続可能な構造の材料の開発に、中国科学技術大学の兪書宏氏らの研究チームが成功しました。

中国の人民網日本語版(11月16日付)記事によりますと、特定方向変形組立という方法を使用するこの材料は、真珠層に似せた構造設計を採用しており、エンジニアリングプラスチックを大きく上回る強度を持つ上に、高い強靭性と亀裂に強い性能を持っています。マイナス130度からプラス150度の温度の範囲内で、そのサイズにほぼ変化が生じません。室温であればその熱膨張係数は大多数のプラスチックの約10分の1程度とのこと。

詳しい研究成果は、Nature Communicationに掲載されているとのことです。

中越パルプ工業のセルロースナノファイバーがクリームはんだ添加剤として採用(2020.11.17)

中越パルプ工業のプレスリリース(11月16日付)によりますと、同社のセルロースナノファイバー(CNF)(商標名:nanoforest®)が、電子部品を基板上の電子回路に接合する際に用いられるクリームはんだ(ソルダペースト)の添加剤として採用されたとのことです。

ソルダペーストは、基板実装工法の一つであるSMT(Surface Mount Technology)工法に使われるはんだで、すず、銀、銅のはんだ粉末が主成分です。近年、電子機器は高性能化、小型化、高出力化の方向へ移行しつつあり、はんだ接合部における品質の要求が高まっています。はんだ接合部の代表的な品質特性として、接合部の外観形状不良(ダレ等)、接合強度特性、内部欠陥(ボイド)、腐食などが挙げられます。さらに電子製品の長期連続使用において、ヒートサイクルによる疲労破壊が顕在化しており、耐温度サイクル特性の要求も高まっています。

このような背景のもとで、松尾ハンダ株式会社(神奈川県大和市)が、中越パルプ工業の CNF を添加したはんだ付け材料の開発を行い、ソルダペーストの添加剤として採用に至りました。CNF を添加したソルダペーストは、金属粉の流動性及び揮発ガス吸着性能等が改善し、

  • ダレ低減による外観形状不良の改善
  • はんだ内部の金属結晶組織の微細化による接合強度向上
  • 流動性改善による内部欠陥(ボイド)低減

が図られたとのことです。

詳しい内容は、中越パルプ工業のプレスリリースをご覧ください。

セルロースナノクリスタルの有害危険性の研究成果が、EUの国際会議で最優秀ポスター賞受賞(2020.11.16)

ドイツのフラウンフホーファー研究所、ミュンヘン工科大学、VITROCELL Systems GmbH などの研究グループは、ナノセルロースの生体へのリスクについて研究していますが、2020年9月21~25日に開催されたEuro 2020 Open Tox Virtual Conferenceで、このグループが発表したEXPOSURE OF CELLULOSE NANOCRYSTALS ON HUMAN LUNG CELLS AT THE AIR-LIQUID-INTERFACE(気液界面でのヒト肺細胞へのセルロースナノクリスタルの曝露)という研究が最優秀ポスター賞を受賞ことが、VITROCELL Systems GmbHのウェブサイトで11月11日に発表されました。

セルロースナノクリスタル(CNC)のエアロゾルのin vitroにおける暴露研究を、A549(上皮細胞)、EA.hy926(内皮細胞)、THP-1(マクロファージ)細胞からなる気液界面(ALI)肺モデルを使用して行っています。CNCの肺への有害な影響の可能性を評価するには、吸入のシナリオを模倣した信頼性の高いin vitroモデルが必要なので、その構築とCNCの有害危険性の評価を目指しています。受賞したポスターは、VITROCELL Systems GmbHのウェブサイトから見ることができます。

なおこの研究は、11月7日に当サイトのニュースで掲載した「ドイツで進むナノセルロースの製造と安全性評価研究」の研究の一部です。

セルロースナノファイバー等をを脂肪代替の食品添加物として使うための研究(2020.11.11)

食品中の脂肪含有量を減らす目的で、セルロースナノファイバーなどのナノセルロースを使用する研究について、ノルウェー科学技術大学NTNUとノルウェーの研究開発機関SINTEFが運営する技術情報サイトNorwegian SciTech Newsに11月10日に公開された記事で紹介されています。

食品中の脂肪を減らすと、粘度を高くするためにデンプンを加える必要があります。スウェーデンのRISE PFIなどと共同で取り組んでいるプロジェクトでは、ナノセルロースを食品添加物として使用することを目指しています。マスタード、ケチャップ、マヨネーズなどが当面の候補です。ナノセルロースは、水に不溶性のゲルネットワークを形成し、エマルジョンを効果的に安定化させ、マヨネーズの良好な構造に貢献します。ナノセルロースには味や色がなく、臭いもありません。セルロースの繊維は非常に細いので、食べものにゴツゴツした感じを与えません。

研究で使用しているナノセルロースは、木材パルプを原料とし、高圧ホモジナイザーで製造されています。ナノセルロースを使用するメリットは、安価であること、使用量が少なくて済むこと、カロリーがゼロであること、再生可能であること、などです。ただ、食品中のナノ粒子のリスクについては明らかでない部分があるため、ナノセルロースが腸内でどのようにふるまうのかを確認したうえで、承認手続きを得る必要があります。

なおこの研究は、RISE PFI、NTNU、RISE Bioeconomy and Health、Mills、Borregaard、Mercer、Norcem、StoraEnsoが共同で行っているとのことです。

遺伝子操作で染色されたバクテリアナノセルロースからスニーカー(2020.11.11)

バクテリアナノセルロース(BNC)から繊維を作り、スニーカーのアッパーを編み上げて染色する。デザイナーJen Keaneが率いるロンドンのModern Synthesisでは、アパレル向けの再生可能なバイオマテリアルの開発を手掛けており、「This is GMO」というプロジェクトでは、このような取り組みを行っているそうです。

Web Magazine Axisに11月10日付で掲載された内容によりますと、まず2018年に行われた「This is Grown」というプロジェクトでは、単にBNCを製造するのではなく、バクテリアの成長プロセスを操作することで、微生物織りという、カスタマイズ可能な新しい繊維の製造手法を開発しました。続いて「This is GMO」では、遺伝子組み換え技術によって、イカ墨や髪の毛、皮膚に含まれる天然色素のメラニンを生産する遺伝子をバクテリアに導入し、メラニンとBNCを同時に生成する自己染色バクテリアを作りました。この繊維は鋼鉄の8倍の強度があり、ケプラー繊維よりも強いですが、完全に堆肥化することができます。

詳しくはWeb Magazine Axisの記事をご覧ください。

バクテリアナノセルロースから複雑な形状の3次元オブジェクトを製造(2020.11.11)

強力な撥水性の表面を使用して微生物の成長を導くことで、バクテリアナノセルロース(BNC)で複雑に設計された3次元オブジェクトを作成することに、フィンランドのアールト大学の研究チームが成功しました。

アールト大学のニュースリリース(11月10日付)によりますと、3Dプリンティングで作成された繊維状の物体とは異なり、新しい技術では、人間の髪の毛の1000分の1の直径の繊維を、層を越えて、あらゆる方向に整列させ、さまざまな厚さと勾配を持たせることができます。これらの種類の物理的特性は、筋肉や脳に見られる特定の種類の組織の成長と再生におけるサポート材料とすることができるので、組織の再生をサポートしたり、損傷した臓器を置き換える足場として使用したりと、医療用途に使える可能性があります。またこの方法で製造した構造物は、外科医を訓練したり、in vitro試験の精度を向上させたりするための臓器のリアルモデルを作るためにも使用できます。さらにこの繊維は、人間の組織に接触したときに有害反応を引き起こしません。

詳細は、アールト大学のニュースリリースをご覧ください。

粒子の沈降速度からナノセルロースの大きさをはかる解析装置(2020.11.10)

堀場製作所は、粒子の沈降速度から粒子の大きさをはかる、遠心式ナノ粒子解析装置「Partica CEN
TRIFUGE」の発売を開始すると、11月9日付のニュースリリースで発表しました。

粒子をサイズごとに分類しながら測定することで、10nmから40μmのレンジで一度に測定結果が得られるほか、高濃度試料を測定する「ラインスタート法」と、低濃度試料を測定する「一様沈降法」の2種類の測定方法を切り替えることで、原液から希薄試料まで分析が可能です。セルロースナノファイバーの大きさの測定にも用いることができるとのことです。

詳しくは同社のニュースリリースをご覧ください。

パナソニックが環境省委託業務で開発した森のタンブラーが環境大臣表彰受賞(2020.11.10)

パナソニック株式会社は、ナノからマイクロサイズに微細化させたパルプ成分を55%以上含む樹脂「高濃度セルロースファイバー成形材料」を開発し、これを使った飲料容器「森のタンブラー」をアサヒビール株式会社と共同開発し、2019年7月からテスト販売を行っています。

これは、廃棄する際にも紙製品として分類することができ、プラスチックごみ削減への寄与も期待できるものです。

このほど環境省が主催する令和2年度「循環型社会形成推進功労者環境大臣表彰」を受賞したことが、パナソニックのウェブサイトで発表されました。これは循環型社会の形成の推進に資することを目的として、平成18年度に環境省によって設けられたもので、廃棄物の発生量の抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の適切な推進に顕著な功績があった個人、企業、団体を表彰し、その功績をたたえるものです。今回「森のタンブラー」は、有機資源を55%以上使用した原材料を活用しているという技術的な先進性と、その新規性が高く評価され、受賞したとのことです。

詳しくはパナソニックのウェブサイトをご覧ください。

カナダ政府、自動車用途向けにナノセルロース複合プラを製造する企業に120万ドルを供与(2020.11.7)

Natural Resources Canada(カナダ天然資源省)は、木質繊維を利用した軽量プラスチック材料を自動車用途向けに製造する企業、GreenNano Technologies Inc.(本社:トロント)が生産を拡大するために、120万ドル(=9,500万円)を供与することを、ニュースリリース(2020年10月15日付)で発表しました。

これは、カナダの森林関連産業における新製品開発を目的とした、森林産業変革プログラムの一環として提供されるものです。カナダにとって林業は重要な雇用の場であり、カナダの木材の新しい市場を創造するため、産業界は革新的な用途を探し続けています。

このプロジェクトでは、木材パルプとポリマーを組み合わせて、他の製品より均一で優れた特性を備えた、軽量・高強度の熱可塑性プラスチックを製作します。この複合材料はまず自動車分野で適用されますが、それがうまくいけば、航空宇宙部品、医薬品、ソーラーパネル、化粧品など、多くの消費者向けおよび商業用アプリケーションに使用できる可能性があります。

GreenNano Technologies Inc.では、フォード・カナダのパワーエンジニアリング研究開発センター(オンタリオ州・ウインザー)と協力して、新素材を軽量自動車部品の製造に使うためのテストを行っているとのことです。

ドイツで進むナノセルロースの製造と安全性評価研究(2020.11.7)

ドイツではこれまで、ナノセルロースの研究・製造はあまり行われていませんでしたが、ドイツ政府とスイス政府の資金援助を受けて、ナノセルロースの製造・利用・毒性評価に至る研究が行われていることが、ナノセルロース・ドットコムが入手した情報で明らかになりました。

プロジェクト名はNanoCellで、バイオテクノロジー、ポリマー、粒子分野の分析を専門とする企業、Postnova Analyticsが中心となり、フランフォーファー研究所と複数の企業、大学が参加して、2019年から2022年までの予定で進められています。

CNFやCNCの毒性は、形状とサイズ、表面の化学的性質、および製造プロセスの品質(不純物)に強く依存するが、十分なデータが得られておらず、本格的な使用にあたっての懸念材料であると、指摘しています。

プロジェクトでの具体的な研究開発項目は次の通りです。

  • パルプおよび古紙からのナノセルロース製造プロセスの改良
  • ナノセルロース強化フォイルおよびコーティングの製造方法の開発
  • 酸素、鉱物油に対するバリア特性の検討
  • 唾液、胃酸、腸液中におけるナノセルロースの分析方法の開発
  • ナノセルロースのライフサイクルに沿った特性を評価するための定量分析技術の開発
  • 小腸におけるナノセルロースの潜在的な輸送のシミュレーションと実験的検証
  • ナノセルロースのよる物質的リスクの早期発見と予測のための新しい試験方法の開発
  • 粒子サイズ、形状、表面電荷に応じた、ヒト細胞における化学分解とナノセルロースの取り込みのシミュレーション
  • ナノセルロースの毒物学的影響の調査

ミッドスウェーデン大学、ナノセルロース複合材料開発のためにEUから資金提供(2020.11.3)

ミッドスウェーデン大学は、MoReResearch(トロンハイム)、RISE-PFI(ストックホルム)と協力して、ナノセルロース複合材料の研究のために、EUのInterregSverige-Norgeから資金提供を受けることを、プレスリリース(2020年10月23日付)で発表しました。研究プロジェクト名はFoamFiberで、期間は2020年9月から2022年9月まで、総予算は778,820ユーロ(=9,500万円)です。

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