- 1 ナノセルロースをウエラブルセンサーの材料として使用(2020.6.30)
- 2 セルロースナノクリスタルがアルコール消毒ジェルの増粘剤に採用(2020.6.29)
- 3 パームヤシからのセルロースナノファイバーでPEとの複合材料を試作(2020.6.28)
- 4 セルロースナノファイバーを使った木材のコーティング剤の開発と農業廃棄物の利用(2020.6.18)
- 5 ナノセルロースをポリマーに添加する際の溶剤を減らす技術(2020.6.16)
- 6 草野作工のバクテリアナノセルロースを和菓子に採用(2020.6.7)
- 7 花王がセルロースナノファイバーを添加した高機能樹脂の供給を開始(2020.6.5)
- 8 セルロースナノクリスタルを使った3 Dバイオプリンティングでサンゴを模倣(2020.6.5)
- 9 ミドリムシのナノファイバーを愛媛の紙加工会社が生産(2020.6.4)
ナノセルロースをウエラブルセンサーの材料として使用(2020.6.30)
これはD-senseプロジェクトと呼ばれ、バイオミメティック・メンブレン分野の研究者とセルロース・木質材料分野の研究者が参加して進められているものです。研究の目的は、人の体に容易に装着できるウエラブルセンサーによって、アスリートの体調管理、睡眠時の体調管理を行うほか、薬を少しずつ放出するためのデバイス(着る薬)などの開発も行われています。ここでセンサーとの材料として使われているのがナノセルロースです。ナノセルロースに銀ナノワイヤーを混ぜて3Dプリントすることで、負荷(伸び、縮み)や圧力を正確に測定することができます。ナノセルロースは生体適合性があるため、直接皮膚に接触する材料として適しているとのことです。
全文はEMPAのホームページからご覧いただけます。
セルロースナノクリスタルがアルコール消毒ジェルの増粘剤に採用(2020.6.29)
パームヤシからのセルロースナノファイバーでPEとの複合材料を試作(2020.6.28)
詳しくは同大学のニュースのページをご覧ください。
なお、UPM(University Putra Malaysia)は農学分野で優れた業績を上げている大学で、マレーシアの主要産業であるパームオイル生産で発生する残渣の有効利用に取り組んでいます。パームヤシから油分を抽出した残渣は主にエネルギー利用されていますが、さらに付加価値の高い物質を生産するという観点から、セルロースナノファイバーの製造研究に取り組んでいます。
セルロースナノファイバーを使った木材のコーティング剤の開発と農業廃棄物の利用(2020.6.18)
- アルゼンチンのInstituto de Materiales de Misionesは、リグノセルロースの分解と基本的な化学物質の分離のためのプロセスを開発しました。チリのラフロンテラ大学は、バイオプラスチックと基礎化学物質のバイオテクノロジーによる生産プロセスを開発しました。フィンランドのVTTは、セルロースからナノセルロースを製造し、さまざまなバイオ複合材料で使用できるように最適化しました。WKIはナノセルロースがバイオ複合材料とコーティング剤の製造にどのように使用できるかを研究しました。そしてペルーのカトリック大学は、ライフサイクルアセスメントと経済性の評価を行いました。研究の結果、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)(=セルロースナノファイバー)で木材をコーティングすると、水蒸気透過性が向上し、コーティングの通気性が向上することがわかりました。後継プロジェクトでは、特別に変更されたナノセルロースを使用した木材の防火コーティングが開発されます。研究目的は、防火性能の耐久性を伸ばすことにあります。詳しくはWKIのプレスリリースをご覧ください。
ナノセルロースをポリマーに添加する際の溶剤を減らす技術(2020.6.16)
これまでナノセルロースをポリマー中に分散させるためには溶剤を使う必要があり、新たなプロセスや装置を追加する必要がありました。開発された技術では、ポリマーの溶融処理中にナノセルロースを分散させる溶剤として、もともとポリマーに含まれる添加剤を使用します。すなわち可塑剤などのポリマー材料の添加物にナノセルロースを混合し、それをポリマーに配合します。これにより、ポリマーにナノセルロースを添加する際に新たな溶剤を使用する必要がなく、親水性ナノセルロースと疎水性ポリマーの均質な混合物を得ることができます。この技術は、自動車産業で使用されるナイロンや食品包装で使用されるポリ乳酸とエチレンビニルアルコールコポリマーなど、さまざまなポリマーに適用できるとのことです。
詳しくは同大学のウェブサイトをご覧ください。
草野作工のバクテリアナノセルロースを和菓子に採用(2020.6.7)
バクテリアナノセルロースの微細繊維が多くの水分を包み込むため、和菓子の保存期間を延長でき、製品をより遠方まで配送することができることに加え、製造ロスの減少にもつながるということです。また食感の向上という利点もあります。バクテリアナノセルロースが添加された「五郎力餅」などは、同社の本店と直営店で購入できます。なお、ナノセルロースが添加されたことを公表した和菓子は、田子の月(静岡県富士市)のどら焼き、坂根屋(島根県出雲市)の和菓子に続いて、3件目となります。
花王がセルロースナノファイバーを添加した高機能樹脂の供給を開始(2020.6.5)
セルロースナノクリスタルを使った3 Dバイオプリンティングでサンゴを模倣(2020.6.5)
ミドリムシのナノファイバーを愛媛の紙加工会社が生産(2020.6.4)
一時、バイオ燃料を生産する目的で研究が行われていましたが、現在では主に健康食品として流通しています。ミドリムシにはパラミロンという多糖類が含まれています。セルロースはグルコースがβ1,4結合でつながった水に溶けない多糖類ですが、パラミロンはグルコースがβ1,3結合でつながった多糖類で、やはり水には溶けません。またパラミロンはユーグレナ属にのみ存在するといわれています。このパラミロンを含んだ健康食品が、すでに複数のメーカーから発売されていますが、スバルは宮崎大学が発見した株を使って、グルコースを原料にして培養し、パラミロンナノファイバーを大量生産するということです。