ナノセルロースニュース2022年1月

CNFを使った高強度・軽量ヘルメットの開発に金沢工業大学が協力(2022年1月15日)

バイク用品のメーカー株式会社ウインズジャパンは、金沢工業大学の協力を得て、セルロースナノファイバー(CNF)を使ったバイク用ヘルメットの開発に成功したことが明らかになりました。現在は施策の段階ですが、セルロースマイクロファイバーや不織布、織物などとの積層複合化により、機能性向上とコストダウンを目指すとのことです。

金沢工業大学のウェブサイトに、ニュースとして2021年12月21日に掲載された記事によりますと、応用化学科の附木貴行講師、吉村治教授が株式会社ウインズジャパンと進める、植物由来の新素材であるCNFを使ったヘルメット開発の取り組みが、公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)の機関紙に掲載されたそうです。

この記事によりますと、附木講師、吉村教授は、ISICOの紹介をきっかけに、石川県でバイク用ヘルメット製作・販売を手がける株式会社ウインズジャパンと2019年度から共同開発を開始し、CNF製のヘルメットを開発しました。CNFを用いることで、オートバイ用のヘルメットに使用される従来のガラス繊維複合材料よりも高い強度を実現するとともに、軽量化によりヘルメット装着時の首への負担を軽減するなどの機能性をもたせることに成功しました。

試作したヘルメットはCNFだけから作りましたが、CNFは価格が高いため、事業化・量産化には製造コストの削減が必要です。そのため、セルロースマイクロファイバー(CMF)、バイオマス繊維の不織布、混抄紙、織物などとともに積層複合化する技術を研究したほか、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などのハイブリット積層体の成形加工の技術も実現しています。今後、さらなる強度の向上、軽量化を視野に研究を行っています。

ヘルメット製作に使用したハイブリット積層体の技術は、家具、スケートボード、スノーボードなどの成形加工に応用することが可能であり、さまざまな潜在能力があります。2021年からは、企業TEC STYLEが成形加工を担当し、より精巧なヘルメットの作製に取りかかっているとのことです。

詳しい内容は、金沢工業大学のウェブサイト、並びにISICOの情報誌をご覧ください。

ユニチカ、2月の展示会にCNF強化ナイロン6樹脂を出展(2022年1月8日)

ユニチカは、2月に開催されるテクニカルショウヨコハマ2022に出展し、その中で、開発品のセルロースナノファイバー(CNF)強化ナイロン6樹脂を出品することを、同社のウェブサイトで発表しました。

ユニチカ株式会社中央研究所は、下記の要領でテクニカルショウヨコハマ2022に出展することを同社のウェブサイトで1月7日に発表しました。

  • 日時:2022年2月2日(水)~2月4日(金)10:00~17:00
    オンライン展示は2月10日(木)まで
  • 会場:パシフィコ横浜
  • 展示内容:
    柔軟耐熱フィルム、柔軟耐熱ポリアミド、セルロースナノファイバー強化ナイロン6樹脂、天然由来フィラー配合ポリアミド6フィラメント、イミド系エポキシ硬化剤、磁性ナノワイヤー、導電性ナノワイヤー、耐溶剤性中空糸膜モジュールWINSEP® MF / UF

詳細は同社のウェブサイトでご確認ください。

日本製紙、セルロースナノファイバー含有化粧品を7割引きで販売(2022年1月6日)

日本製紙パピリアが2021年10月から発売を開始したセルロースナノファイバーを使った化粧品を、7割引きで期間限定販売することを、本日、共同通信が配信し、複数の全国紙、地方紙に掲載されました。

日本製紙の子会社で化粧品の受託製造も手掛ける日本製紙パピリアは、2021年10月にファンケルと共同で、日本製紙が製造・販売するセルロースナノファイバーを使った化粧品4種類を開発し、販売を行っていました。

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ところが今回配信された記事では、4種類のセット(メーカー小売価格22,770円・税込み)を7割引きの6,798円(税込み)でオンライン販売するとのことです。しかし、

  • 購入ができるのは、日本製紙グループの生産拠点がある北海道、宮城県、静岡県、島根県、山口県など18道府県の在住者に限られる。
  • 購入ができる期間は、2022年1月15日~31日のみ。
  • 配信記事や各紙の報道では、購入方法は一切不明。
  • 日本製紙、日本製紙パピリアのウェブサイトには、本件に関する告知が見当たらない(プレスリリースがない)

など、不可解な点があります。

なお、具体的な商品は次の通りです

  • ジェントルクレンジングオイル 内容量:110ml、メーカー販売価格:5,280円
  • トリートメントフェイスウォッシュ 内容量:100g、メーカー販売価格:4,620円
  • ナノエマルションローション 内容量:140ml、メーカー販売価格:6,050円
  • プロテクティブモイストクリーム 内容量:40g メーカー販売価格:6,820円

ナノセルロース・ドットコム コメント

化粧品には使用期限があり、通常は未開封の状態で生産から3年です。化粧品はバッチ生産で一度にある程度の数の商品を製造しますが、使用期限までの期間が短くなると定価販売は難しくなります。同社が今後も化粧品の製造販売を継続するのか、注目したいと思います。

果物や野菜の鮮度を保つナノファイバーフィルムコーティングの開発(2022年1月5日)

スイス連邦材料科学技術研究所(Empa)とスイスの大手食品小売業者Lidl Switzerlandは、プラスチック包装を使わずに、果物や野菜の貯蔵期間を延ばすための、セルロースナノファイバーフィルムコーティングを開発しました。果物や野菜を搾ってジュースを作った残りかすからセルロースナノファイバー(CNF)を作り、透明なフィルムとしてスプレーコーティングしています。

スイス連邦材料科学技術研究所(Empa)のウェブサイトで1月4日に公表された内容によりますと、食品スーパーで使われるプラスチック包装は、果物や野菜を腐敗から保護しますが、大量の廃棄物を生み出します。Empaの研究者は、大手食品小売業者のLidl Switzerlandと共同で、再生可能な原材料に基づいた果物と野菜の保護カバーを開発しました。このプロジェクトでは、Empaがセルロース製品に関する数十年の研究経験を持っていたため、LidlはEmpaをパートナーとして選択しました。

EmpaのCellulose & Wood Materials laboratoryでの1年以上の研究の結果、コーティングされた果物と野菜の鮮度を長く保つことに成功しました。例えばバナナの貯蔵寿命は1週間以上延びました。
下の写真は、ニンジンジュースの搾りかすから、漂白したCNF(Bleached CNF)と漂白していないCNF(Unbleached)でコーティングしたときと、コーティングしていないときで、バナナがどのように変化するかを示したものです(出典:Empa)。

この技術を使うことで、プラスチック廃棄物だけでなく、食品ロスも大幅に削減されます。将来的には、この技術が、多くの石油ベースのパッケージに取って代わると考えられます。これまで果物や野菜の搾りかすは、畑に還元するか、バイオガス(メタンガス)の原料になっていました。今後は、フィルムコーティングの材料として使われる予定です。

ナノファイバーフィルムコーティングはスプレーされます。CNFは消費者に無害ですが、食べる前に水で洗い流すこともできます。
この技術は、スイス国内に約150店舗あるLidlの店舗で使用される予定です。これからさらに2年間、改良研究を行いますが、コーティングにビタミンや抗酸化剤などの添加物を加えることも検討されています。

詳細はEmpaのウェブサイトをご覧ください。