ナノセルロース・セルロースナノファイバーに関する世界のニュース 2023年7・8月

ナノセルロース、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)、バクテリアナノセルロース(BNC)に関する、国内・海外の最新ニュースを掲載しています。こちらは 2023 年 7 月、8 月に報道されたニュースを、新しいものから順に掲載しています。新たに入手した情報は、随時追加しています。

目次

ヤマハ発動機、CNF強化樹脂による部品を採用した水上オートバイを発売(2023年8月26日)

ヤマハ発動機と日本製紙は、日本製紙のセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂 cellenpia ® PLAS (セレンピア ® プラス)を、水上オートバイ「ウェーブランナー」およびウォータージェット推進機を搭載する「スポーツボート」の  2024 年モデルへ採用し、北米で販売を開始したことを、8 月 25 日にそれぞれニュースリリースで発表しました。

CNF 強化樹脂部品は、両者の協業によって開発されたもので、エンジン部品の一部であるエンジンカバーに採用されました。CNF 強化樹脂は、CNFをポリプロピレンなどの樹脂へ混練・分散することにより製造される高強度材料です。既存樹脂材料と比較で、25 %以上の軽量化が図れることに加え、マテリアルリサイクル性に優れるため、プラスチック使用量の削減と温暖化ガス排出削減につながります。

両者の調べによると、CNF 強化樹脂の輸送機器部品の量産化は、世界初の事例とのことです。

詳細はヤマハ発動機日本製紙のニュースリリースをご覧ください。

 

ナノセルロース・ドットコム コメント

まず、ほぼ同じ内容のニュースリリースが、ヤマハウォータークラフト(米国)から 8 月 14 日にリリースされています。日本での発表が米国より 10 日以上遅れたのは、どのような理由からでしょうか。

次に CNF 強化樹脂の輸送機器部品の量産化は世界初とありますが、環境省が多額の税金を投入し、日本製紙をはじめとした企業が参画して 2019 年に完成したナノセルロース・ヴィークル(NCV)には、さまざまな部品が使われていました。あれからすでに 4 年経過していますが、当時試作された部品の数々は、現在も量産化されていないということを、製造者自らが認めたということになります。

さらに水上オートバイやスポーツボートが、輸送用機器に占めるシェアは微々たるものなので、今回の量産化を以て、プラスチック使用量の削減や、温暖化ガス排出削減を唱えるのは、かなり違和感を感じます。

メイン大学でセルロースナノ材料研究者フォーラム開催(2023年8月25日)

米国・メイン大学で、Cellulose Nanomaterials Researchers Forum が 8 月 22 日~24 日に開催されました。これはメイン大学でナノセルロースの実用化研究を推進している Process Development Center  が主催する会議で、コロナ禍の期間を除き、ほぼ毎年開催されています。今年は実質 2 日間にわたって開催され、大学や企業の研究者による講演や、学生のポスター発表などが行われました。

主な講演者と講演タイトルは次の通りです。

米国の主なナノセルロース研究者の講演が行われた一方で、隣国カナダからの講演はありませんでした。

  • Dr. Kim Nelson, GranBio Technologies (ブラジル)(研究開発は米国内で実施)
    “From Trees to Tires: Development and Scale up of the Nanocellulose Dispersion Composite™”
    CNFをタイヤのカーボンブラックの代替品として使う研究開発を行っている企業の責任者
  • Mr. Mark Fokema, Aspen Products Group(米国)
    “Sustainable, High‐Performance, Cellulose Based Thermal Insulation”
    セルロース材料を使った断熱材
  • Dr. James Anderson, University of Maine(米国)
    “CNF for Fire fighting Applications”
    CNFを消火用材料に使う研究
  • Dr. Heli Kangas, Valmet(フィンランド、もとVTT)
    “Path forward – Valmet’s MFC technology development”
    Valmet(紙パルプ会社)におけるMicro Fabricated Cellulose の開発
  • Dr. David Skuse, FiberLean Technologies Limited(英国)(研究開発は米国内でも実施?)
    “Production of microfibrillated cellulose using stirred media mills and selected applications”
    MFCの製造と応用
  • Dr. Richard Reiner, USDA Forest Products Laboratory(米国)
    “Cellulose Nanomaterial Production at the Forest Products Laboratory”
    アメリカ農務省林産物研究所におけるナノセルロースの製造(CNCを製造している)
  • Dr. Greg Simms, University of Maine(米国)
    “Introduction to Technical Collaborations within the Oak Ridge National Laboratory and University of Maine’s Hub and Spoke Program”
    オークリッジ国立研究所とメイン大学が進めている共同研究開発の内容説明
  • Prof. Will Gramlich, University of Maine(米国)
    “Waterborne modifications to cellulose nanofibrils for biomaterials, coatings, and composites”
    バイオメディカル、コーティング、複合材料に使うためのナノセルロースの改質
  • Dr. Robert Moon, Forest Products Laboratory(米国)
    “P3Nano: Removing Barriers to Cellulose Nanomaterials Utilization”
    政府が進めるP3 Nano プログラムの説明
  • Dr. Meghan Lamm, Oak Ridge National Laboratory(米国)
    Pilot Scale Preparation of a Surface Modified Cellulose Nanofibrils (CNF) Composite Feedstock
    オークリッジ国立研究所が進めるパイロットスケールの表面改質CNFの複合材料研究
  • Dr. Jo Anne Shatkin, Vireo Advisors(米国)
    “Safety and Regulatory Aspects of Cellulose Nanomaterials: Challenges and Needs”
    ナノ材料に関する安全性と規制
  • Prof. YongJiang Zhang, University of Maine(米国)
    “Plants sustain plants: Multiple applications of nanocellulose in agriculture”
    ナノセルロースの農業利用
  • Prof. Mehdi Tajvidi, University of Maine(米国)
    “What is happening at UMaine’s Laboratory of Renewable Nanomaterials”
    メイン大学の研究内容
  • Prof. Ling Li, University of Maine(米国)
    “Cellulose Nanocrystals (CNCs) as additives in polymeric membranes for water vapor and air separation”
    CNCを水蒸気と空気を分離するための高分子膜の添加剤として使う
  • Dr. Katie Copenhaver, OakRidge National Laboratory(米国)
    “Hybrid Natural Fiber/CNF Thermoplastic Composites”
    天然繊維とCNFの熱可塑性複合材料

米国ヤマハウォータークラフト、CNF強化樹脂を使ったマリンエンジンを発表(2023年8月15日)

ヤマハウォータークラフト(米国・ジョージア州ケネソー)は、ボートおよび水上バイク用の 1.9 L 新型エンジンを発売したことを、8 月 14 日にニュースリリースで発表しました。

この新型 1.9 L HO ヤマハマリンエンジンは、1898 cc、4 ストローク、4 気筒、16 バルブで、従来の 1.8 L 高出力エンジンに代わるものです。このエンジンは、より速くスムーズな加速とより高い最高速度を提供します。これはエンジンの排気量の拡大、吸気経路と排気経路の最適化、およびパワーとトルクを向上させる 10 % 大型のスロットル ボディによって実現されました。

エンジンカバーには、植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂を採用しています。CNF 強化樹脂は、既存の樹脂材料と比べて 25 %以上軽量であり、マテリアルリサイクル性にも優れており、プラスチック使用量の削減と二酸化炭素を中心とした温室効果ガスの排出量削減につながります。

ヤマハウォータークラフトは、米国でのヤマハボートと水上バイクの販売、マーケティング、流通を担当している会社です。

詳細はBusiness Wireに掲載された同社のニュースリリースをご覧ください。

 

ナノセルロース・ドットコム コメント

この記事を掲載した時点で、日本のヤマハ発動機並びに共同研究先である日本製紙から、本件に関するニュースリリース等はありません。

ペンシルバニア州立大学、CNCを使って工業廃水からレアアースを回収(2023年8月15日)

ペンシルバニア州立大学の研究者は、ムール貝からヒントを得て、新たなナノセルロースコーティング技術を開発しました。このコーティングは、大量の物質を使用せずに、工業廃水などの二次供給源からレアアース元素を回収することが可能です。

鉱業に関する技術系ウェブサイト Mining.com に 8 月 14 日に掲載された記事によりますと、ムール貝は、自身が持つたんぱく質に含まれるカテコールベースのおかげで、水中でさまざまな物質に接着することができます。このことにヒントを得て、ペンシルバニア州立大学の研究者が開発したのが、ナノセルロースコーティング技術です。この技術は、独特の粘着特性を持つ極小の毛状セルロースナノクリスタル(CNC)で構成されています。

このコーティング技術では、ドーパミン媒介広告層形成と呼ばれる技術を介して基板に塗布されます。化学反応により表面に分子の薄い層を形成し、幅広い基材に貼り付けることができます。

この技術を使うことで、希土類の金属であるネオジムを回収することに焦点を当てました。これまでのレアアース抽出法では、アルギン酸ゲル、リンゾルゲル材料、ナノチューブ、多孔質炭素などの吸着剤が利用されてきましたが、回収効率に問題がありました。

今回開発したコーティングは、ネオジムにとって磁石のようなものであり、元素が 100 万分の 1 という限られた量しか存在しない場合でも、希土類元素を水から回収することが可能です。

詳細は、ACS Applied Materials and Interfaces 誌に掲載された論文をご覧ください。

福島県の企業、CNFを混ぜた紙でアクセサリーを製造(2023年8月15日)

福島県田人町で高級割り箸などの木工製品を手がける企業、磐城高箸が、セルロースナノファイバー(CNF)を使った紙を原料にして、アクセサリーを製造・販売していることが、いわき民報のウェブ版に掲載されました。

このアクセサリーは魚の骨をモチーフにしたもので、レーザー加工技術によって鮃(ヒラメ)や鰈(カレイ)といった魚偏の漢字 12 種類が再現されています。ふくしま海洋科学館 アクアマリンふくしま が協力しており、8 月 1 日からは同館で販売されています。価格は、ボールチェーンは税込 450 円。ストラップは 390 円とのことです。

アイルランドの企業 GMIT、人工肺装置に使うナノセルロースを開発へ(2023年8月8日)

アイスランド西部のゴールウェイにある ATU イノベーションハブに拠点を置く企業  GMIT  は、肺移植への架け橋となる人工肺装置に使用するためのナノ材料であるナノセルロースを開発するため、EIC パスファインダープログラムを通じて、300 万ユーロの資金を獲得しました。

ゴールウェイの地元放送局である New Galway Bay FM のウェブサイトに 8 月 7 日に掲載された記事によりますと、この研究開発は、ゴールウェイの ATU イノベーションハブを拠点とするスマートリアクターが主導し、ゴールウェイ大学、ドイツのテュービンゲン大学、スウェーデンのセルリンク、ロンドンのブルネル大学と協力して、コンソーシアム形式で進められるそうです。

詳細は、New Galway Bay FMのウェブサイトをご覧ください。

ナノセルロース樹脂を使ったバドミントン用ラケットが発売(2023年7月27日)

バドミントン関連製品のメーカーである Carlton Sports は、超高弾性グラファイトとナノセルロース樹脂の組み合わせで作られたバドミントン用ラケットを開発し、近日中に発売することを、スポーツ系メディアの Chat T Sports がウェブサイトで伝えました。

7 月 26 日に掲載された記事によりますと、このラケットは、Carlton Version 2023 First Edition Badminton Racket  という名称で、フレーム部分に超高弾性グラファイトとナノセルロース樹脂の組み合わせた最先端の素材を使うことで、軽量でありながら頑丈なフレームを実現しています。

その結果、ラケットの耐久性が向上するだけでなく、ゲームプレイ中のパワーとコントロールも強化されるそうです。

このラケットの発売はフランスで行われ、パリで盛大な除幕式が予定されています。

詳しくは Chat T Sports の 記事 をご覧ください。

ナノセルロース・ドットコム コメント

Carlton Sports は 1946 年創立の英国のスポーツブランドですが、現在はフレイザーグループの一員で、DUNLOP SRIXON SPORTS ASIA SDN BHD というマレーシアの会社が経営しています。
この会社のウェブサイトを確認しましたが、このラケットに関するニュースリリースなどはありませんでした。

 

スギノマシン、CNFとポリ乳酸の複合化に関する技術資料を公開(2023年7月27日)

スギノマシンが製造・販売するセルロースナノファイバー(CNF) BiNFi-s ® を、バイオマス由来の生分解性樹脂であるポリ乳酸に混ぜたとき、どのような効果が得られるのかについての技術資料を公開したことを、同社が同日付のニュースリリースで発表しました。

概要は次の通りです。

簡単に混ぜることができる

ポリ乳酸に同社製の CNF のドライパウダーをドライブレンドし、溶融混練するだけで、良好に CNF を分散することができる。1 mm 以上の凝集体は生じなかった。

混ぜることで耐衝撃性が向上した

一般グレードのポリ乳酸に、同社製の CNF のドライパウダーを 0.5 wt % 添加することで、耐衝撃グレードのポリ乳酸と同程度の衝撃強度を示し、3 wt % 添加すると、一般グレードのポリ乳酸の約 1.5 倍、耐衝撃グレードポリ乳酸の約 1.3 倍まで衝撃強度を向上できた。

混ぜることで引張強度が向上した

耐衝撃グレードのポリ乳酸は可塑剤を添加して耐衝撃性を改善しているため、引張強さや弾性率は一般グレードの PLA よりも 2 割程度低下してしまう。一方、同社製の CNF のドライパウダーは、添加量 0.5~3 wt % までは一般グレードのポリ乳酸の引張強さを低下させることなく、同程度に維持できる。

 

結論として、同社製の CNF ドライパウダーは、少量添加することでポリ乳酸の耐衝撃性を改善しつつ、もとの引張強さや弾性率を維持できる特徴をもつ強化フィラーであるとしています、

詳細は同社のニュースリリースをご覧ください。なお同社のテクニカルレポートは、個人情報を登録した場合に限り、ダウンロードができます。

ナノセルロース・ドットコム コメント

強度向上を目的として、ポリ乳酸に CNF を添加することは、広く行われていますが、実用化には至っていません。その理由は、コストです。もともと価格が買いポリ乳酸に、さらに高価な CNF を添加した材料の用途が見つからないのです。

 

ベトナムでナノセルロースの工業生産に注目が集まる(2023年7月13日)

コロナ禍以前、ベトナムにおいては、ナノセルロースに関する情報はほとんどありませんでしたが、この 2~3 年で、ナノセルロースの工業生産に向けた動きが出ています。

7 月 12 日にベトナム情報通信省が発行するベトナム科学技術マガジン(ウェブ版)に掲載された記事によりますと、ベトナムは気候変動への対応をの一環として、生分解性があり、環境に優しい材料であるナノセルロースに注目し、その工業生産を進めることの意義について、書かれています。

ハノイ科学技術大学と産業貿易省科学技術局が共同で執筆した記事には、

  • ベトナムには、木材チップ、木材チップ、キャッサバ残渣、稲わら、竹、バガス、もみ殻などのナノセルロースを製造するために使用できる、リグノセルロース系材料の豊富で多様な供給源がある。
  • 紙の生産技術が存在し、発展している。
  • そのため、農林業の廃棄物からナノセルロースを製造し、さらにそれを高付加価値製品に変えることができる。

としています。

詳細はベトナム科学技術マガジンの記事をご覧ください。

ドイツのRe-Fresh Globalは繊維廃棄物をナノセルロースに変換(2023年7月13日)

Re-Fresh Global(ドイツ・ベルリン)は、独自のプロセスで、繊維廃棄物をナノセルロース、バイオエタノール、多機能繊維などの付加価値が高い材料に変換することができます。

7 月 12 日にヨーロッパのベンチャー企業の情報を掲載するウェブサイト EU Start-up に掲載された記事によりますと、同社は110万ユーロ(= 1.7 億円)の資金を確保したとのことです。

同社は 2021 年に ViktoriaKanar と Revital Nadiv によって設立された企業です。

詳細は EU Start-upの記事をご覧ください。

マレーシアの大学がCNCを使った食品包装用フィルムを開発(2023年7月8日)

マレーシアの、The National University of Malaysia (UKM、マレーシア国民大学) と、Tunku Abdul Rahman University of Management and Technology(TARUMT、トゥンクアブドゥルラーマン・マネジメント&テクノロジー大学)は、セルロースナノクリスタル(CNC)を使ったデンプンベースの食品包装用フィルムを開発しています。

そしてそれが、Sustainability Awards 2023 の最終選考に残ったという記事が、PACKAGING EUROPE のウェブサイトに、7 月 7 日に掲載されました。

このフィルムは、農業廃棄物から抽出された CNC で強化したデンプンポリアニリンバイオポリマーフィルムで、アクティブでインテリジェントな食品包装として利用できます。食品包装から生じるプラスチック汚染を削減し、食品の無駄を最小限に抑え、農業廃棄物を富に変えることができます。

このデンプン-ポリアニリン – CNC バイオポリマーフィルムには生分解性があります。またフィルムの色が、緑色から青色へ変わることによって、食品の腐敗を知ることができます。

これらの技術はほとんどが初期の研究段階にあるため、実用化のためには、さらなる投資が必要です。

サステナビリティ アワード 2023 の受賞者は、11 月 14~15 日にアムステルダムで開催されるサステナブル パッケージング サミットで発表されます。

詳細は PACKAGING EUROPE の 記事 をご覧ください。

Empa、加熱・伸張で色が変わるセルロース材料を開発(2023年7月5日)

スイス連邦材料科学技術研究所(Empa)は、顔料を添加しなくても、加熱または伸張すると色が変化するセルロース材料を開発したことを、7 月 4 日にウェブサイトで公表しました。原料は、セルロースナノフィブリル(CNF)、ヒドロキシプロピルセルロース、カーボンナノチューブと水です。

Empa のセルロース・木材材料研究所の研究グループが開発した材料は、加熱や伸縮で色が変化するだけでなく、電気を通し、3D プリントでき、生分解性もあります。

原料の一つであるヒドロキシプロピルセルロース(HPC) は、水と混ざると液晶を作ります。結晶自体には色も色素もありませんが、HPC の濃度や結晶の構造に応じて、さまざまな色で光ります。この現象は構造着色と呼ばれ、自然界で起こることが知られています。クジャクの羽、蝶の羽、カメレオンの皮膚の鮮やかな色は、色素によるものではなく、日光をスペクトル色に分割する微細な構造から得られます。

HPC  の構造色は濃度だけでなく温度によっても変化します。この特性をさらに活用するために、研究グループでは、HPC と水の混合物に、 0.1 % のカーボン ナノチューブ(CNT)を添加しました。これにより液体が導電性になり、電圧を印加することで温度と、液晶の色を制御できるようになりました。

さらに、CNT を追加したことで、色をより深くする広帯域吸収材として機能します。それに加えて、混合物に少量の CNF を組み込むことで、構造的な色や導電性に影響を与えることなく、3D  プリント可能にすることにも成功しました。

このようにして作られたバイオインクは、食品の品質管理や生物医学診断における温度センサーやひずみセンサーなど、さらに多くの用途に使用される可能性があります。

詳しい内容は、Empaのウェブサイトをご覧ください。

バクテリアナノセルロースで作られたフェイクレザージャケット(2023年7月5日)

ファッションブランドの Ganni と、バクテリアナノセルロース(BNC)製造会社の Polybion は、コペンハーゲンで開催されたグローバルファッションサミットで、バクテリアによって増殖させたジャケットを発表したことが、複数のメディアで報道されました。

原材料のバクテリアナノセルロース(BNC)はマンゴー果実の廃棄物をバクテリアに与え、バクテリアが糖分をセルロースに変換することで製造されます。膜状の BNC は牛革と同じようになめされ、Ganni は装飾的な銀のボタンが付いた、まだら模様の黄色のブレザーに仕上げました

Polybion はメキシコのイラプアトにある工場の生産量増加にも取り組んでおり、同社はこの工場を世界初の工業規模のバクテリアセルロース生産施設と主張しています。この施設の生産能力は、2023 年末までに年間最大 110  万平方フィート(≒ 10 万平方メートル)になる予定です。

ジャケットの写真などは、Dezeen のウェブサイトに掲載されています。

丸住製紙、セルロースナノファイバーを粉末化し販売を開始(2023年7月1日)

丸住製紙は、クラフトパルプをスルホン化することで、繊維径の細いセルロースナノファイバー(CNF)を製造し、ステラファイン®(STELLAFINE)という商標で販売しています。従来は、固形分濃度が 1 % の水分散体を取り扱っていましたが、固形分濃度が 85 % の粉末(パウダー)を製品化したことを、6 月 30 日にプレスリリースで発表しました。

一般的に CNF を乾燥すると、繊維同士が凝集するため、粉末を水に溶かしたときに、もとの均一分散した状態に戻りません。同社は独自技術で、再分散が可能な粉末を開発したとのことです。

固形分濃度が 0.5 % になるように、粉末に水を加え、ミキサーで撹拌し、気泡を脱気したサンプルの透明度は 97 % で、従来の水分散体(固形分濃度:1 %)を水で希釈したときの透明度  98 %  とほぼ変わらないとのことです。

CNF を粉末化することにより、

  • 使用する際の CNF 濃度の調整がしやすい
  • 貯蔵・運搬のコストを抑えられる

などのメリットがあります。

詳細は、同社のプレスリリースをご覧ください。

香港中文大学、BNCを使用した食べられる複合包装材を開発(2023年7月1日)

香港中文大学(CUHK)の科学者らは、食品包装に応用できる、食べることが可能で、透明な生分解性素材を開発しました。

科学技術系ウェブサイト Lab Manager に 6 月 30 日に掲載された記事によりますと、CUHK 化学科の To Ngai  教授らの研究チームは、バクテリアナノセルロース(BNC)に優れた引張強度と高い汎用性があることに着目しました。

BNCは、インテリジェントパッケージング、スマートフィルム、ブレンドやコーティング、その他の技術によって作られる機能性材料での使用など、広範な研究が行われています。これらの研究は、使い捨てプラスチック包装材料の代替品としての BNC の可能性を実証しています。

SCI Journal of the Science of Food and Agriculture に掲載された論文によると、特定の大豆タンパク質を構造に組み込み、耐油性複合材料でコーティングすることにより、食べることが可能で、透明かつ堅牢な BNC ベースの複合パッケージを作成することに成功しました。化学反応のような特定の反応条件は必要なく、むしろ混合とコーティングというシンプルで実用的な方法によって作られています。

このプラスチック代替品は、 1 ~ 2 か月以内に完全に分解されることが実証されました。ポリ乳酸などの他の生物由来プラスチックとは異なり、BNC ベースの複合材料は自然に分解するために、特定の堆肥化条件を必要としません。この材料は完全に食用であるため、海で水生毒性を引き起こすことなく、カメや他の海洋動物が安全に摂取できます。

研究の詳細については、上記の論文をお読みください。

株式会社GSIクレオス、カナダAnomeraのCNCの取り扱いを開始(2023年7月1日)

繊維と工業製品の専門商社 株式会社 GIS クレオス(東京都港区)は、カナダの Anomera が製造するセルロースナノクリスタル(CNC)の取り扱いを開始したことを発表しました。

6 月 29 日にニュースリリース配信サービス PR TIMES を通じて公表された資料によりますと、取り扱うのは、次の2種類とのことです。なお、仕様等については、公表資料に記載されたものをそのまま転記しているため、意味がよく分からないものも含まれています。

水分散体「DextraCel ® Nano HS」

  • 形状: φ 5 nm × 100 nm L のロッド状
  • 推奨される用途
    一般工業用、コンクリート床、木床、木材等の塗料・コーティング
  • 期待される効果
    耐汚染性向上、硬度向上、透明性保持、シアシニング流体、柔軟性保持、イソシアネート・カルボジイミドとの併用・反応による相乗効果
  • 説明
    軽量で硬い針状の CNC から成り、高い結晶化度と鉄に匹敵する引張強度を保有しています。また、表面に水酸基とカルボキシル基を含有しており、カルボジイミドなどの架橋剤や、様々な樹脂と共有結合を形成することができます。樹脂と粒子の間に 3 次元架橋ネットワークを形成することで、硬度の向上と耐汚染性が期待できます。

 

粉体「DextraCel ® Micro LP」

  • 形状: φ 2~ 15 µm のビーズ状
  • 推奨される用途
    一般工業用、建築塗料、皮革・木材家具等の塗料・コーティング
  • 期待される効果
    プラスチック・シリカの代替、硬度向上、レオロジー保持、艶消し効果、透過性保持、柔軟性の向上、テクスチャ改善
  • 説明
    コーティング処方において、耐汚染性を高め、コーティング硬度を向上させる一方で、艶消し剤としても機能するため、石油由来の合成ポリマーやシリカ含有の艶消し剤の代替として有力です。粒子径の異なる複数グレードのセルロースマイクロパウダーを提供しています。Micro LP は、 Nano HS と組み合わせて使用することで、より高い効果を得ることができます。

 

詳細は PR TIMES のニュースリリースをご覧ください。

 

また Anomera の CNC については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

 

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