ナノセルロースニュース2021年12月

ミドリムシからナノファイバーを作る会社を株式会社スバルが設立(2021年12月25日)

四国中央市で紙製のお茶パックやシートペーパーを製造販売している紙加工会社、株式会社スバルは、プランクトンの一種であるミドリムシ(ユーグレナ)を培養し、セルロースナノファイバーに似た性質を持つパラミロンナノファイバーなどを生産することを目的として、新会社を設立したことを、12月24日付で朝日新聞デジタルが報じました。

株式会社スバルは地元の製紙会社6社によって1988年に設立された企業で、お茶パック、シートペーパーの製造を行っています。またこのサイトでも何度か取り上げているように、宮崎大学が発見したミドリムシ(ユーグレナ)の新しい株を使って、昨年からパラミロンという多糖類の生産に乗り出していました。

パラミロンはグルコースがβ-1,3結合でつながった多糖類で、ユーグレナ属にだけあるといわれています(注:セルロースはグルコースがβ-1,4結合でつながった多糖類)。

朝日新聞デジタルの記事によりますと、株式会社スバルが今月、四国中央市に設立した会社は「ユーグリード」という名前で、まずは2022年1月から、マグロと米粉にミドリムシを混ぜた猫用おやつを発売し、ゆくゆくはパラミロンと、パラミロンから作る繊維状の先端素材であるパラミロン・ナノファイバー(PNF)の生産を目指すのことです。

現在、ミドリムシの培養は5トンタンクで行っていますが、2022年中に2基増設して3基態勢にし、さらに連続培養できる高性能タンクも1基設置し、年間1千トンのミドリムシを生産できるようにするとのことです。

詳しい内容は、朝日新聞デジタルの記事をご覧ください。

ナノセルロース・ドットコムコメント

ミドリムシ(ユーグレナ)の生産・用途開発では、株式会社ユーグレナがトップを走っており、この会社とどのような差別化が図れるかがポイントになります。朝日新聞は、従来株と比べて育種速度が10倍と報じていますが、増殖速度は培養条件によってどうにでもなるので、比較対象とすべきは設備費や人件費を含めた培養コストです。株式会社ユーグレナが、オープンポンド(開放池)での培養に成功しているのに対し、ユーグリードのタンク培養がどれだけの価格競争力があるのか、注視したいと思います。

次にパラミロンナノファイバーの性能とコストについてもかなり疑問があります。セルロースナノファイバーは製造技術が確立し、世界的には製造コストが下がっています。この状況下で、
・パラミロンナノファイバーがセルロースナノファイバーより性能的にどう優れているのか
・パラミロンナノファイバーはセルロースナノファイバーより安く作れるのか
が、明らかになっていません。この点についても、今後の情報を待ちたいと思います。

いずれにせよ、微細藻類の研究に10年以上関わってきた筆者としては、かなり疑問のある内容といわざるを得ません。

愛媛県繊維染色工業組合が今治タオルの廃棄物からCNFを製造(2021年12月22日)

今治タオルの加工工程で発生する廃棄物から、愛媛県繊維染色工業組合がセルロースナノファイバー(CNF)を製造し、1月に開催される展示会に出品されることを、プレスリリース・ニュースリリース配信サービスのPR Timesが同日、公表しました。

コンバーティングテクノロジー総合展事務局(株式会社JTBコミュニケーションデザイン)は、株式会社加工技術研究会と共催で、2022年1月26日(水)~28日(金)の3日間、素材と加工技術の展示会「新機能性材料展・Convertech JAPAN・JFlex・3DECOtech」 (コンバーティングテクノロジー総合展)を東京ビッグサイトで開催します。

同事務局がPR Timesを通じて公表した内容によりますと、愛媛県繊維染色工業組合(愛媛県今治市)が、国内トップの品質を誇る、今治タオルの加工工程で発生する廃棄物から作られたサステナブルなCNFを出品するとのことです。

ii-CNFと名付けられたセルロースナノファイバーは綿くずから作られており、写真では白濁した液体です。今治タオルの製造工程ですでに使われており、サステナブルな製造工程を実現しているそうです。今後は他分野への応用も検討しいるとのことです。

詳しくはPR Timesのニュースリリースをご覧ください。

セルロースナノファイバーを使って蓄光タイルを製造(2021年12月17日)

愛媛県産業技術研究所が蓄光塗料とセルロースナノファイバー(CNF)を利用して、輝度の高いタイルを作成する技法を開発したことを、毎日新聞が同日配信しました。

この技術を開発したのは愛媛県産業技術研究所 窯業技術センターの中村健治主任研究員で、CNFを蓄光塗料に混ぜることで、蓄光塗料の沈降を防ぎ、分散性を維持したことで、高い輝度が得られたとのことです。

蓄光塗料とは昼間の紫外線を蓄え、暗いときに光る塗料で、顔料の粒が大きいほどよく光るという特性がありますが、粒度が大きいと沈澱するため、塗料には向かないという問題がありました。そこで重量比2%のCNFを塗料に加えたところ、顔料の沈澱を防ぐことができました。またCNFを配合した顔料は定着しやすく、何度も重ね焼きできる技術として特許を出願中とのことです。今回も通常の顔料+CNFで焼き付けをしたのち、蓄光顔料+ガラス粉+CNFで2回目の焼き付けをした結果、薄いガラス面に覆われた蓄光顔料をタイルに固定することができたとのことです。この成果を使うことで、砥部焼などの手作り陶磁器産地で、野外標識製造などに実用化できるメリットがあるそうです。

なお本件に関するプレスリリースなどはありませんが、研究所の発表会(ウェブ開催)でこの成果を発表しているそうです。また愛媛県2016年度からCNF産業県を目指して、食品、繊維、紙産業、複合材料などの分野で研究・試作を続けているとのことです。
詳細は毎日新聞のネット記事をご覧ください。

ニュージーランドで海藻からナノセルロースの製造が進む(2021年12月16日)

ニュージーランドの公的研究機関が海藻からナノセルロースを製造する技術を開発しましたが、その技術が同国の民間企業に移管され、ナノセルロースの製造が始まっています。

Scion(ニュージーランド森林研究所)がニュースリリースで12月15日に発表した内容によりますと、ScionとAgriseaNZのコラボレーションチームがサイエンス・ニュージーランド・アワードに選ばれました。これはScionの木材パルプ化の専門知識と、AgriseaNZの海藻加工における25年の経験により作られたナノセルロースが対象となっています。研究の結果、ナノセルロースの抽出、分離と、高付加価値のナノセルロースハイドロゲルの製造が可能になりました。

海藻ナノセルロースを生産するためのScionの技術は、2021年の初めにAgriSea社にライセンス供与され、移管されました。ナノセルロースの製造は、Bioresource Processing Allianceを通じた資金提供によってパイロット規模で行われ、成功しています。

AgriSea社は現在、工場をアップグレードして、Paeroaに工業用ナノセルロース生産プラントを作り、沿岸地域の地元の人々を雇用して海藻を収集しています。
これらの材料は、高性能バイオコンポジット、バイオメディカル用途、創傷ケア、化粧品、ドラッグデリバリーなどに使うことができます。

詳しい内容はScionのニュースリリースをご覧ください。

AgriSeaのウェブサイトには、ナノセルロースに関する発表はありません。

バクテリアナノセルロースから作ったビーガンレザーが日本で発売(2021年12月15日)

インドでバクテリアナノセルロース(BNC)からビーガンレザー(人工皮革)を作っているマライの素材を使ったノートPCケースが日本で発売されます。マライはココナッツの残渣からBNCを製造して人工皮革を製造している企業で、その製品をエシカリージャパン(大阪市)が輸入販売します。

ニュースリリース配信サービスの@pressが12月14日に配信した内容によりますと、世界各国のエシカル製品を輸入販売するエシカリージャパンは、BNCから作られたビーガンレザーを使ったノートPCケースの先行予約販売を、応援購入サービスサイトクラウドファンディング)Makuakeで2022年1月10日まで行っています。

サイズ:縦28.5cm×横37cm×厚さ0.6cm
適応するノートパソコン:13~15インチ
重さ:約250g

一般販売予定価格 16,500円(税込)のところ、20%OFFの12,000円(税込・送料込)で購入できるとのことです。色はナチュラルブラウン/ダークグレー/ワインレッドの3種類、製品は2022年4月末まで届く予定です。

インドをはじめとする熱帯諸国では、近年、ココナッツの大量廃棄が環境問題の一つとなっています。産業用途が乏しいため、毎日数千リットルものココナッツウォーターが廃棄されている事実に目をつけたマライが、これを活用して、動物の革を使用しないビーガンレザーを開発しました。レザーであり紙のような、上質な質感が特徴です。数年後、経年劣化にて製品の寿命がきたら、コンポストや土に埋めて安全に土に還すことができます。プラスチックやその他合成素材にはない、植物由来ならではのメリットです。

マライのビーガンレザーは、「サーキュラーデザインアワード2020」大賞を受賞しているほか、「ELLE Deco インターナショナルデザインアワード2019」ノミネート、ヴィーガン認証のPeTA認証を得ています。

日本製紙がCNFを用いた蓄電体の開発でLED点灯検証に成功(2021年12月9日)

セルロースナノファイバー(CNF)を用いた蓄電体の開発を進めていた日本製紙は、CNF蓄電体を使ったLEDの点灯検証に成功したことを12月8日にニュースリリースで発表しました。

日本製紙は東北大学と共同でTEMPO酸化CNFを用いた蓄電デバイスの開発を進めていますが、今年3月にアモルファスセルロースナノファイバーを利用して創成した物理的高性能電子吸着体の発見として公表され、現在両者で国際特許を申請中しています。この蓄電デバイスの開発に向け、日本製紙はCNF蓄電膜の製造プロセスの開発に取組んでおり、今回の点灯検証はその取組みの一環とのことです。

CNF蓄電デバイスは、既存の電気化学的蓄電池と比べて、
・電流長時間充電法でなく高電圧短時間充電法である
・劣化がしにくく、リサイクル性が高い
・化学反応を使わず安全性が高い
などの優位性があるそうです。

なおニュースリリースでは、学術実験以外に世界で初めて、CNF蓄電体のLED点灯検証に成功したとのことですが、今年3月に東北大学がすでに1秒間の点灯に成功しており、「学術実験以外」を強調する理由はここにあるようです。

詳しくはニースリリースをご覧ください。
また日本経済新聞社がYouTube動画を作成・公表していますので、こちらもご覧ください。

レンゴーが独自製法によるセルロースナノファイバーを出展(2021年12月8日)

レンゴー株式会社は12月8日のプレスリリースで、独自製法によるセルロースナノファイバーであるRCNFなどのセルロース関連製品を、N-PLUS WEB展示会に出展することを発表しました。

この展示会は、すでに12月1日より始まっており、2022年2月28日まで開催されます。脱プラスチックやマイクロプラスチック代替としての生分解性素材であるセルロース関連製品として、次の3つを出展しているとのことです。
・機能性セルロース微粒子「ビスコパール」
独自製法によるセルロースナノファイバー「RCNF」
・セロファンや紙をベースに生分解性素材を組み合わせた新パッケージ素材「REBIOS」

同社のブースはこちらからご覧になれます。

マレーシアの学生がバナナの茎のナノセルロースから包装材料を開発(2021年12月7日)

マレーシアのジョホールバルにあるSM I.J. Conventの学生が、バナナの茎からナノセルロースを抽出し、プラスチックに似た透明な包装材料を開発したことで、クアラルンプールで開催されたNational Tinkering Challenge2021で2位を獲得しました。

マレーシアの有力紙New Straits TimesのWebに12月6日に掲載された記事によると、3人の学生は環境に危険を及ぼすプラスチック包装の代替品を見つけるために、オーストラリアの研究論文を参考にして、バナナの茎から包装材料を作ったそうです。ナノセルロースは植物ベースで、毒性がなく、生分解性です。
なお、同紙の記事は既に削除されています。

豊田鉄工がソルガムからセルロースナノファイバーなどの生産研究に着手(2021年12月2日)

トヨタ自動車系の部品メーカーである豊田鉄工株式会社(トヨテツ)は、イネ科植物であるソルガムからセルロースナノファイバー(CNF)を取り出すための研究を名古屋大学と開始したことを、日本経済新聞が配信しました。

トヨテツはボデー部品、シャーシ部品を中心とする自動車部品メーカーで、最近は植物工場でベビーリーフの生産も行っています。日経の記事によると、耕作放棄地を使ってソルガムを栽培し、でん粉は飼料とバイオエタノールに、セルロースはCNFにする計画とのことです。CNFは樹脂のフィラーとして使われているガラス繊維を置き換えるために使います。また2024年までに製品化のめどを立てて、温室効果ガスの削減に貢献するとのことです。
なお本件に関して、トヨテツならびに名古屋大学からのプレスリリース等はありません。

ナノセルロース・ドットコムコメント

耕作放棄地等を利用したバイオマス生産とエネルギー利用は、過去に公的資金を使った研究が行われましたが、実用化していません。理由は、経済的に成り立たないからです。まずバイオマスの生産コストが高く、製品を売ってもそれに見合う収入が得られません。日経の報道では、バイオエタノール、CNF、飼料の3種類を同時生産するとのことでが、同様の検討はすでに行われており、技術的には可能でも、経済的な理由から実現が難しいことは明らかです。
またソルガム(キビの一種)は世界五大穀物の一つで、主に飼料として使われていますが、近年雑穀として注目されており、国産のホワイトソルガム粉は小麦粉の5倍の高値で販売されています。CNFを生産するなら、ホワイトソルガムの栽培農家から茎葉を入手すれば済むのではないかと思います。
さらに言えば、ソルガムの茎葉からCNFを生産したとしても、すでに多くのメーカーが生産・販売しているCNFより割高になることは間違いないでしょう。

ナノセルロース関連の展示会が国内で複数開催(2021年12月1日)

12月から3月にかけて、ナノセルロース関連の展示会が国内で複数開催されます。展示会の概要と出展企業数をまとめました。

掲載内容はナノセルロース・ドットコムの独自調査・集計によるものです。より正確な情報は各展示会主催者ならびに出展企業にご確認ください。

第1回サステナブルマテリアル展

  • 会期:2021年12月8日(水)~10日(金)
  • 会場:幕張メッセ
  • 費用:出展有料、来場無料(招待券の申し込みが必要)
  • ナノセルロース関連の出展企業数:15社
    愛媛製紙、大阪ガスケミカル、王子ホールディングス、草野作工、スギノマシン、スバル、星光PMC、大王製紙、中越パルプ工業、DSP五協フード&ケミカル、東亞合成、巴川製紙所、三星工業、横河バイオフロンティア、レッテンマイヤージャパン。日本製紙はCNF関連の出展はなし。
  • ウェブサイト:https://www.susma.jp/

エコプロ2021 第5回ナノセルロース展2021

  • 会期:2021年12月8日(水)~10日(金)
  • 会場:東京ビックサイト
  • 費用:出展有料、来場無料(来場登録が必要)
  • ナノセルロース関連の出展企業数:5社
    相川鉄工、王子ホールディングス、日本製紙、服部商店、横河バイオフロンティア
  • ウェブサイト:https://eco-pro.com/2021/feature/002113.html

nano tech 2022 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議

  • 会期:2022年1月26日(水)~28日(金)
  • 会場:東京ビッグサイト
  • 費用:出展有料、来場無料(来場登録が必要)
  • ナノセルロース特別展示への出展企業数:3社
    相川鉄工、王子ホールディングス、横河バイオフロンティアのみ。
    ナノセルロースジャパン小間やNEDO小間への共同出展企業は多数ある模様だが、出展内容は不明。
  • ウェブサイト:https://www.nanotechexpo.jp/main/

ふじのくにCNF総合展示会

  • 会期:2021年12月1日(水)~2022年2月28日(月)
  • 会場:オンライン開催
  • 費用:出展無料、来場無料(事前の来場登録が必要)
  • ナノセルロース関連の出展企業数:48社
  • ウェブサイト:https://fujinokuni-cnf.com

バンドー化学がCNFでクロロプレンゴムを補強した研究結果を公表(2021年12月1日)

産業用伝動ベルトのメーカーであるバンドー化学は、バンドーテクニカルレポートNo.24を発刊したことを11月30日付のプレスリリースで発表しました。技術資料として「セルロースナノファイバーを適用した伝動ベルト用ゴムの開発」という記事が掲載されています。

伝動ベルトで使われるクロロプレンゴムでは、カーボンブラックが補強材料として使われますが、カーボンブラックに代えてセルロースナノファイバー(CNF)を使用した研究結果が紹介されています。

CNFには優れた機械的特性があるため、ゴム補強用材料として用いることで、伝動ベルト用ゴムに必要な「剛性」と「エネルギー損失の低減」を従来に無い水準で両立できることが分かりました。これらの特性によって、伝動ベルトの動力損失を低減させ、省エネ特性を向上させることができるとのことです。さらに従来にない高トルクや高効率での伝動が可能となることから、新たな顧客ニーズを実現し、伝動ベルト市場での競争力向上に寄与するそうです。
親水性のCNFを疎水性のクロロプレンゴムに均一分散させるために、あらかじめCNF水分散体とクロロプレンゴムラテックスを均一混合し、その分散液から乾燥により水分を除去することでCNFとクロロプレンゴムの複合体を作製しています。
詳細はテクニカルレポートをご覧ください。

セルロースナノファイバーを配合したヘアカラー施術の頭皮保護剤を発売(2021年12月1日)

ヘルスケア製品の開発を行うカエタステクノロジーは、ヘアカラー剤から頭皮を守る頭皮保護剤「頭皮保護剤Å P.P.スカルプ CNF Barrier」を12月6日から発売することをプレスリリースで発表しました。セルロースナノファイバー(CNF)を配合することで、頭皮にかたい壁を作り、カラー剤の侵入を防ぎ、カラー剤によるダメージを緩和します。そしてカラー剤をゲル化して包み込み固めて、シャンプーで洗い流すことで頭皮から除去します。

この商品は、CNFを配合したこと以外に、敏感肌でも使える高純度ワセリンとミネラルオイルを配合したこと、界面活性剤、シリコン、アルコール、防腐剤、香料の5つを使っていないことが特徴です。また公益財団法人日本デザイン振興会主催の「2021年度 グッドデザイン賞」を受賞しています。

この商品は美容室専用商品のため、一般向けには販売されません。
販売名:エーピーピー スカルプ シーエヌエフ バリア
種別 :頭皮用オイル
内容量:450mL
価格 :プロ向け商材のため、メーカーへの問合せが必要。

さらに詳しい内容はプレスリリースをご覧ください。

GranBio、ナノセルロースで補強したゴムの製造のために助成金獲得を発表(2021年12月1日)

Gran Bio TechnologiesBirla Carbonと提携して、ナノセルロース分散複合材(NDC™)マスターバッチのスケールアップのために、73万ドル(=8,000万円)の助成金を獲得したことを発表しました。両社はこの助成金を使って、タイヤおよびゴム製品市場向けのナノセルロース分散複合材料の商業化を加速します。

ブラジルのGranBio TechnologiesはインドのBirla Carbonと連携して、タイヤの補強材料として使うためのナノセルロースの研究を進めています。ナノセルロースの研究は、もともと旧American Process(API、アメリカ・ジョージア州)が進めていましたが、Gran Bio TechnologiesがAPIを買収し、旧APIの研究スタッフと施設を使って行われています。

11月30日にCISIONに掲載されたプレスリリースによりますと、GranBio Technologiesの子会社であるAVAPCOは、米国森林局とUSDA森林局(USFS)の間の官民パートナーシップであるP3Nanoから50万ドルの資金を、さらにUSFSウッドから23万ドルを授与されたことを発表しました。これはタイヤおよびゴム製品市場向けのナノセルロース分散複合材(NDC™)ゴムマスターバッチのスケールアップおよび商業的導入を促進するために使われます。

Birla CarbonとGranBioの4年間にわたり共同で研究開発を行った結果、タイヤの転がり抵抗と車両の燃料経済の両方を改善することができる、持続可能性のあるタイヤ補強材の開発にこぎつけました。

P3Nanoの資金提供プログラムは、セルロース系ナノ材料の商業化を促進するためのプロジェクトを対象としています。両社はジョージア州トーマストンにあるGranBioの研究施設で、NDCの生産のスケールアップを行うとともに、タイヤおよび産業用ゴム製品業界のグローバルパートナーとともに、本格的な工場内および公道での試験を行う予定です。
USFSのWood Innovationsプログラムは、木材製品の市場成長を拡大および加速するように設計するためのもので、両社はNDC商業プラントのエンジニアリングパッケージ、市場分析、財務モデリングを行います。
詳しくは元の記事をご覧ください。