ナノセルロースニュース2020年8月

目次

東ソー、伝動ベルト向けセルロースナノファイバー複合化クロロプレンゴムの低コスト製造技術開発に着手(2020.8.29)

東ソー株式会社のプレスリリース(8月28日付)によると、伝動ベルト用のCNF複合化クロロプレンゴムの低コスト製造技術の開発を、伝動ベルトメーカーであるバンドー化学株式会社と連携して、2020~2024年度に実施されるNEDOの助成事業で行うとのことです。

同社は1971年よりクロロプレンゴム(商品名:スカイプレン®)の製造・販売を行っていますが、CNFを複合化することにより、伝動ベルト等の応用製品では、基本性能の向上が見込まれます。そこで量産化に向けてCNF複合化クロロプレンゴムの低コスト化製造技術の開発を進める予定です。

詳しくは同社のニュースリリースをご覧ください。
なおバンドー化学株式会社も、同日、ほぼ同じ内容のニュースリリースを出しています。

セルロースナノファイバー複合樹脂ペレット・マスターバッチ品4種の販売を中越パルプ工業が開始(2020.8.29)

中越パルプ工業株式会社のプレスリリース(8月28日付)によると、セルロースナノファイバー(CNF)をポリプロピレン(PP)に分散させたマスターバッチ品、nanoforest-MB の販売を開始しました。

しかも、標準グレード品に加え、衝撃強度を強化した3種類のグレードも取りそろえ、あわせて4種類のマスターバッチ品を供給します。CNFをPPに分散させると剛性は向上しますが、固くもろい性質に起因する衝撃強度の低下が課題となっていました。同社ではこの課題を解決すべく、「衝撃タイプ」、「高剛性タイプ」、「高衝撃タイプ」の3種類の衝撃強度強化グレードのマスターバッチ品をラインアップしています。

詳しくは、同社のプレスリリースをご覧ください。

株式会社浅野、セルロースナノファイバー樹脂を使用したリブ形成、ハイブリッド成形などを社外報で紹介(2020.8.29)

株式会社浅野におけるセルロースナノファイバーを使用した成形研究が、同社の社外報ASANO NEWS「複合材」特集号(8月22日発行)で紹介されています。

同社は自動車部品の生産準備支援・製造を通じて培った技術をモノづくりに応用しており、

  1. CNF配合樹脂を射出し、リブ形成によって強度を向上
  2. CNF樹脂織布積層板をハイブリッド成形(射出+プレスを同時成形)
  3. CNFの配合比率を変えたテストピースを製作
  4. 引張試験によりCNFの配合率別の材料特性を把握

などの内容が紹介されています。

詳しくは同社の社外報をご覧ください

セルロースナノファイバー成形体をレース用電気自動車の車体外装全体に実装(2020.8.26)

セルロースナノファイバーを使用したシート成形体 ELLEX-M が、モータースポーツチーム・SAMURAI SPEEDの電気自動車の車体外装全体に実装されたことが、大王製紙株式会社のプレスリリースで8月26日に発表されました。

同社では2018年からSAMURAI SPEEDのレース参戦車両にCNF部材を供給し、車両の軽量化に貢献してきましたが、3年目となる2020年はCNF部材の実装個所をさらに増やし、CNFを使用したシート成形体を車体外装全体(ボンネット・ドア・リア・サイド)と内装(インストルメントパネル)にも使用するとともに、減プラスチック効果が期待できるCNF複合樹脂をドアミラーにも活用したとのことです。

シート成形体 ELLEX-Mは、CNFとパルプ繊維を複合化し、軽量かつ高強度というCNFの特徴を生かした高性能材料で、性能は汎用プラスチック材料を大きく上回る力学特性を示し、熱特性にも優れているとのことです。

一方CNF複合樹脂は、樹脂中でのセルロース繊維の分散性、なじみ易さを改善し、力学特性はポリプロピレン樹脂の1.3~2.1倍で、既存の樹脂加工設備で容易に取り扱いができる樹脂ペレット形状になっているものです。

詳しくは同社のプレスリリースをご覧ください。

セルロースナノファイバーの販売価格をスギノマシンがNEDO事業で1/3~1/10程度まで引き下げへ(2020.8.24)

株式会社スギノマシンは「NEDOの炭素循環社会に貢献するセルロースナノファイバー関連技術開発」の助成事業に採択され、2020~2024年度に「ウォータージェット技術を用いた革新的CNF製造プロセス技術の開発および乾燥技術の開発」を実施することになったことを、8月24日付のプレスリリースで公表しました。

同事業では、製造コストを大幅に低減させるための製造プロセス技術の開発や、用途開発の促進、安全性評価等を行い、CNFを利用した製品の社会実装・市場拡大を早期に実現することで、CO2の排出量を削減し、エネルギー転換・脱炭素化社会を目指します。

また日本経済新聞電子版(8月24日付)によると、この事業での成果をもとに、CNFの販売価格を水分散タイプは現状の3分の1、粉末タイプは現状の10分の1程度に引き下げることを目標にしているそうです。

詳細は同社のニュースリリースをご覧ください。

セルロース濃度の高いセルロースナノファイバー複合樹脂を大王製紙が9月からサンプル提供(2020.8.23)

大王製紙株式会社は、セルロース濃度を55%にまで高めたセルロースナノファイバー複合樹脂の開発に成功し、9月よりサンプル提供を開始することを、8月20日付のプレスリリースで発表しました。

この複合樹脂に含まれているセルロースは、すべてCNF化されているのではなく、部分的にCNF化されているところが、他社の複合樹脂と異なります。またどの樹脂と複合化されているのかは、公表されていません。

同社では2018年11月より、セルロース濃度10%の複合樹脂ペレットのサンプル提供を行ってきましたが、今回発表されたものはセルロース濃度が55%と、大幅にアップしています。これにより、最終製品の適性に応じてセルロース濃度を調整することができ、樹脂材料設計の自由度を高められるようになりました。この製品をセルロース濃度10%に希釈した場合、弾性率が1.7倍になるので、結果として樹脂の使用量を25%減らすことができます。これは環境省の「プラスチック循環戦略」に掲げられている2030年ワンウェイプラスチック25%減に貢献できるとのことです。

詳しくは大王製紙のプレスリリースをご覧ください。

セルロースナノファイバーとケイ酸カルシウム水和物のナノシートによる水の高度浄化(2020.8.18)

ケイ酸カルシウム水和物(CSH)のナノシートとセルロースナノファイバー(CNF)を含むナノコンポジットペーパーで、高性能の水浄化ができることを、浙江農林大学の研究グループが、RSCのオープンアクセス誌、RSC Advancesの最新号に発表したことが、Royal Society of Chemistry(RSC、英国王立化学会)のWebsiteに8月17日に掲載されました。

CSHはポルトランドセメントと水が反応してできる物質で、表面に多数存在するCa2+イオンは、さまざまな化学物質、例えば薬物、タンパク質、金属イオンを素早く吸着することが可能です。またCSHは低コストで化学的に安定であり、生体適合性もあります。一方で粉末CSHは、吸着後に水溶液から分離するのは困難です。そこでCSHのナノシートを作り、CSH/CNFナノコンポジットペーパーにすることで、水処理への適用可能性を検討しました。CNFは多孔質ネットワーク構造と流路を形成するためのブリッジ材料として機能します。

82.5%CSHナノシートを使用したCSH/CNFナノコンポジットペーパーでは、75%CSHナノシートを使用したCSH/CNFナノコンポジットペーパーに比べて約15倍の透水性を示し、高い比表面積とCSHナノシートの豊富な吸着サイトのため、高い吸着能力と除去効率を示しました。

詳しい内容は、RSC Advancesの論文をお読みください。

バクテリアナノセルロースに印刷されたウエラブルセンサーが汗に含まれる物質を分析(2020.8.18)

バクテリアナノセルロース(BNC)にウエラブルセンサーを印刷し皮膚に付着させることで、汗に含まれる金属イオンとバイオマーカーを検出するための電気化学センサーを、ブラジル・サンパウロ大学の研究者らが開発したことが、科学技術情報サイトTech Xploreに8月17日に掲載されました。

もともと皮膚付着センサーは、プラスチックの表面に印刷されていましたが、汗が皮膚とセンサーの間にバリアを形成し、信号の検出を妨げ、アレルギーを引き起こすことがありました。BNCには通気性があるため、汗が電極に到達することができるほか、創傷被覆材として使われる素材なので、人間の皮膚と親和性があります。

試作されたセンサーは長さ15mm、幅5mmの長方形で、ティッシュペーパーと同じくらいの厚さです。そして、ナトリウム、カリウム、尿酸、乳酸、グルコースなど、さまざまなバイオマーカーを検出することができます。これらの物質は血中に存在していますが、汗からも検出できるので、糖尿病患者の管理に利用できます。これ以外に女性ホルモンのエストロゲンの一種であるエストラジオールを検出することも可能とのことです。さらに生体内に含まれる鉛やカドミウムなど、低レベルの重金属を検出できるので、生物体内の大気汚染物質の存在を調べることも可能です。

センサーは、電流の変化によって電気化学測定を行うポテンシオスタットに接続されており、得られたデータはコンピューターに転送されます。

この研究は、サンパウロ大学、サンパウロ州立大学、アララクアラ大学、カンピナス大学、国立ナノテクノロジー研究所が共同で行ったもので、Talantaという雑誌に掲載されたとのことです。

セルロースナノファイバー関連技術の研究開発にNEDOが14件着手(2020.8.13)

新エネルギー・産業技術相互開発機構(NEDO)では、セルロースナノファイバー(CNF)の社会実装・市場拡大を早期に実現し、低炭素社会を目指すため、14件のCNF関連技術の研究開発に着手することを8月12日付のニュースリリースで発表しました。期間は2020年度から2024年度の5年間で、2020年度は6.6億円の予算が投じられます。

具体的なテーマ名と実施予定先は次の通りです。

(1) 革新的CNF製造プロセス技術の開発【助成事業】 [ ]内は実施予定先組織名

  1. 疎水化TOCN(TEMPO酸化セルロースナノファイバー)及び樹脂複合化の製造プロセス技術の開発
    [花王株式会社]
  2. CNF/塩化ビニル系樹脂複合体の低コスト化技術の確立
    [大洋塩ビ株式会社、プラス・テク株式会社]
  3. CNF強化樹脂(PA6、PP)の低コスト製造プロセス技術の開発
    [日本製紙株式会社、宇部興産株式会社]
  4. 伝動ベルトをターゲットとしたCNF複合化クロロプレンゴムの低コスト製造技術開発
    [東ソー株式会社、バンドー化学株式会社]
  5. 革新的CNF複合樹脂ペレットの製造プロセスの開発
    [大王製紙株式会社、芝浦機械株式会社]
  6. 高性能、高生産性セルロースナノファイバー複合材料の革新的製造プロセスの開発
    [星光PMC株式会社]
  7. ウォータージェット技術を用いた革新的CNF製造プロセス技術の開発および乾燥技術の開発
    [株式会社スギノマシン]

(2) 量産効果が期待されるCNF利用技術の開発【助成事業】 [ ]内は実施予定先組織名

  1. CNF技術を利用した住宅・非住宅用内装建材の開発
    [大建工業株式会社、利昌工業株式会社]
  2. 自動車部品実装に向けたCNF複合材料開発、成形・加工技術開発
    [ダイキョーニシカワ株式会社]
  3. 革新的ガス吸着再生CNF複合フィルタを用いた多機能型デシカントフィルタシステムの開発
    [進和テック株式会社]
  4. 炭素循環社会に貢献するセルロースエコマテリアル開発および商品適用検証
    [パナソニック株式会社]
  5. CNF配合エラストマーの製造プロセス低コスト化による製品実装技術開発
    [住友ゴム工業株式会社、日本製紙株式会社]

(3) 多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価【委託事業】[ ]内は実施予定先組織名

  1. 多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価
    [産業技術総合研究所]
  2. 多様な製品用途に対応した有害性評価手法の開発と安全性評価
    [福井大学]

詳細はNEDOのニュースリリースをご覧ください。

セルロースナノクリスタルを炭素繊維をCNTで強化するために利用(2020.8.12)

テキサスA&M大学の研究者が、セルロースナノクリスタル(CNC)を使って、カーボンナノチューブ(CNT)を炭素繊維複合材料に均一に固定・コーティングしたことが、科学技術情報サイトThe British Journalに8月12日に掲載されました。炭素繊維で強化されたポリマーは、典型的な軽量高強度材料ですが、CNTを追加することで、複合材料としての機能を向上させることができます。しかしこれまでの方法では、炭素繊維複合材料上にCNTを均一に広げることができませんでした。研究成果は、American Chemical Societyの論文誌、Applied Nano Materialsに掲載されています。

コンポジットはレイヤーに組み込まれています。たとえばポリマー複合材料は、炭素繊維やケブラーなどの繊維の層とポリマーマトリックスでできています。この層状構造は、複合材料の弱点の原因です。層に損傷があると、破壊と呼ばれ、技術的には層間剥離と呼ばれます。

強度を高め、電気伝導性や熱伝導性などの他の望ましい品質を炭素繊維複合材料に与えるために、CNTが追加されますが、CNTをこれらの複合材料に組み込むために使用される化学プロセスでは、ナノ粒子が凝集することが多く、CNTの追加による十分な効果がかられませんでした。

CNTを均一に分散させるために、分子内に親水性をあわせ持つCNCを使っています。CNCの疎水性の部分は炭素繊維に結合し、それらをポリマーマトリックスに固定します。一方CNCの親水性の部分は、水中で炭素繊維を均一に分散させるのに役立ちます。また生成した複合材料を電子顕微鏡で調べたところ、CNCがCNTの先端に付着し、CNTを同じ方向に向けていることもわかりました。またCNCが複合材料の曲げに対する体制を33%増加させ、その機械的特性を40%増加せることも分かったとのことです。

詳しくは、The British Journalの記事をご確認ください。

ナノセルロースと金属ナノ粒子の組合せで圧力により色が変わる材料を創製(2020.8.12)

スウェーデンのリンショーピング大学 (Linköping University)の8月10日付のプレスリリースで、同大学が進めているナノセルロースと金属ナノ粒子を用いた研究が紹介されていました。
ナノセルロースをさまざまな種類の金属ナノ粒子と組み合わることで、抗菌性、圧力による色調の変化、光から熱への変換、などの新しい特性を持った材料を作ることができます。

圧力によって色が変化するのは、金属粒子が互いに接近して相互作用を起こすことで、材料の色が変化するためです。この現象は、メカノプラズモン効果と呼ばれています。肉眼でセンサーを読み取ることができるため、さまざまな用途が考えられます。たんぱく質が材料に付着すると、圧力をかけても色が変化しないことから、特定の疾患のマーカーのたんぱく質を使うことで、疾患の診断への適用が考えられます。

このほか、ナノセルロースと金属ナノ粒子を組み合わせることで、広いスペクトルの可視光からの光を吸収して熱を生成する材料を調製することができます。この特性は、エネルギー分野とバイオメディカル分野両方のアプリケーションへの適用が検討されています。

詳しくは、下記の論文をご覧ください。
Olof Eskilson et al., Self-Assembly of Mechanoplasmonic Bacterial Cellulose–Metal Nanoparticle Composites, Advanced Functional Materials (2020)

セルロースナノクリスタルがグラフェンの欠陥を補完して酸素と水分を遮断する複合膜を開発(2020.8.8)

グラフェンの欠陥をセルロースナノクリスタル(CNC)で補完することにより、酸素と水分の両方を同時に遮断できる高分子ナノ複合膜の開発に成功したことが、韓国・仁荷大学(Inha University)のニュースリリース(8月7日)で発表されました。

炭素原子の二次元平面構造からなるグラフェンは、合成・加工の過程でシート内部に微細欠陥が発生することがありますが、今回の研究では、酸化、還元過程を経たグラフェンとCNCの分子間力を誘導し、微細欠陥を防ぎ、水分と酸素が透過することができないようにしたものです。このナノ複合体をポリ塩化ビニリデンに分散させて得た高分子ナノ複合膜は、ポリ塩化ビニリデンだけで作られたフィルムよりも酸素透過率と水分透過率がそれぞれ94%、88%に減少して酸素遮断と防水効果を証明しました。なおポリ塩化ビニリデンは、気体遮断性に優れたポリマーです。この技術を活用することで、医薬品、食品、半導体などの水分と酸素に起因する内部物質の損傷を最小化するなど、さまざまな包装材関連研究分野に活用することができると考えられます。この研究成果は、Carbon (9) Vol. 165に掲載されます。

詳しくはこちらからご確認ください。

ナノセルロース産業化戦略フォーラムが韓国で産学研連携組織として発足(2020.8.8)

ナノセルロース関連産業の活性化を目的とした、韓国初のナノセルロース関連団体、ナノセルロース産業化戦略フォーラムが7月2日に発足しました。韓国のElectronic Times Internetが運営するWebsiteの記事、ならびに韓国山林庁のプレスリリースによると、ハンソル製紙、国立山林科学院、CJ第一製糖、LG電子、LG化学など17の機関が会員として参加し、李承桓国立江原大学校教授が会長に就任したとのことです。

フォーラムの設立を主導した李承桓教授は「ナノセルロースの認識拡散と産業の活性化を図るためのフォーラムを準備した」とし、「製造と加工と応用、研究開発全体の技術交流や情報交換、人的ネットワークを構築し発展戦略を模索する一方、産業の発展に寄与する計画だ」と語ったとのことです。なお李教授は2013年まで、産業技術総合研究所中国センターで主任研究員としてセルロースナノファイバーの研究に従事してされていた方です。

詳しくはこちらからご確認ください。

セルロースナノファイバーを沖縄でパイナップル残渣から生産へ(2020.8.8)

パイナップルの葉から繊維を抽出して衣類などのアパレル製品を製造・販売するとともに、その残渣からセルロースナノファイバー(CNF)を製造し、生分解性プラスチックの強度を向上させることで、生分解性ストローなどの製造・販売を行うと、株式会社フードリボンがプレスリリース(7月9日付)で発表しました。この事業は台湾産業用紡織品協会と協力して進めるとのことです。

沖縄県では年間7,600トン、台湾では年間60万トンのパイナップルが生産されていますが、その葉は廃棄されています。この葉から取り出した繊維をアパレル製品に使用することを考えたそうですが、アパレル製品として利用できるのは1%程度で、その残渣の活用が課題となっていました。台湾工業技術院(ITRI)との共同研究で、パイナップルの葉から繊維を取り出した残渣から、CNFの製造に成功したとのことです。

詳しくは同社のプレスリリースをご覧ください。

セルロースナノクリスタルによるコーティング剤がWorldStar Packaging Awardsを受賞(2020.8.7)

World Packaging Organization(WPO)のWebsiteによると、イスラエルのMelodea Ltd.が、今年のWorldStar Packaging Awards を受賞することが決まったようです。受賞対象は同社が開発したセルロースナノクリスタル(CNC)を原料としたパッケージング向けのコーティング製剤で、ガスバリア性があり、アルミニウム/石油を原料とする既存の材料を代替することができます。また生分解性があり、堆肥化が可能です。また多種多様な材料と互換性があるため、既存のコーティングプロセスに適用することができるとのことです。なおガスバリア性とは具体的に、酸素バリア性、オイル、臭い、水蒸気バリア性とのことですが、具体的なデータは掲載されていませんでした。

なおMolodea Ltd. はイスラエルのヘブライ大学の技術をベースとした企業で、CNC製造プロセスや、CNCのアプリケーション開発を行っており、スウェーデンにヨーロッパで初めてのCNCパイロットプラントを建設し、運転しています。

セルロースナノファイバーで抗菌した洗えるマスク(2020.8.3)

Makuake Incubation Studio(MIS)というサイトに、セルロースナノファイバーを使った、洗って繰り返し使える抗菌性マスクが掲載されています。まずMISというのは、企業の中にある研究開発技術や企画を製品やサービスに仕立て、事業として生み出すことをサポートする仕組みで、株式会社マクアケが運営しています。

マスクは中国製で、セルロースナノファイバー(CFN)(注:CNFではありません)と綿を原料として使っており、強い抗菌効果があると説明されています。セルロースナノファイバー自体には抗菌性はなく、セルロースナノファイバーに金属などを担持することで抗菌性を持たせているのですが、どのようなメカニズムで抗菌性が得られているのかについての説明はありません。中国の専門機関による検査結果が掲載されていますが、字が小さくて内容は確認できませんでした。

2020年5月3日からプロジェクトが開始され、このマスクの商品化を応援する人を募った結果、6月15日までに52万円の資金を獲得し、7月末までにマスクが生産され、資金援助した人に発送されたようです。価格は、1枚1,680円(税別)です。現在も同社のWebsiteから購入できます。

詳しくは、こちらをご覧ください。