ナノセルロースニュース2020年7月

目次

セルロースナノファイバーを玄々化学工業が木材用塗料に配合(2020.7.31)

木材用塗料メーカーの玄々化学工業株式会社は、セルロースナノファイバー(CNF)を塗料に配合させる技術を確立し、今後、市場展開を図るという情報が、株式会社コーティングメディアが運営するイベント・情報サイトCoating Media ONLINE に7月31日に掲載されました。

玄々化学工業は、森林総合研究所と共同で5年間実施した林野庁の補助事業で、国産スギから取れるCNFを下塗り剤(シーラー)に配合することで塗膜が安定化し、屋外での変色防止効果がみられることを見出しました。CNF配合の下塗り用塗料を塗装した場合、配合していない場合と比べて、木材の変色は少なくなり、耐水性や耐光性が向上します。なおCNF配合は多くないため、価格がネックになることはないそうです。

同社で12月には本社敷地内にCNF製造プラントを新設する予定で、酵素を併用したバッチ式の湿式粉砕で、1回50L、月産600Lの生産が可能になります。なおこの量は、塗料に換算すると1~2トン分になるそうです。

なお本研究を実施した林野庁の補助事業は、2020年3月に終了しています。

パナソニックのセルロースファイバー強化樹脂に関する最新情報(2020.7.30)

パナソニックでは、環境省の委託事業で開発した技術をもとに、セルロースファイバー強化樹脂の実用化を進めています。この樹脂を2018年に発売したコードレス掃除機に採用したのを皮切りに、2019年にはセルロースファイバーの添加率を最大55%にした素材を開発し、アサヒビールとともに、タンブラー(カップ)としての試験販売を行っています。

今週、この樹脂に関して、いくつかの報道がありました。

(1) 水を使わず、セルロースファイバー強化樹脂を製造
アイティメディア株式会社が運営する情報サイト MONOist に7月22日に掲載された記事によると、パナソニックが7月21日に開催したオンラインセミナーで、同社のセルロースファイバーの成形技術について発表した内容が紹介されています。それによると、パナソニックが開発したプロセスでは、原料となるパルプを事前粉砕して綿状のパルプを作り、そこへ樹脂と添加剤を加えて、解繊・変性・分散を一工程で行います。通常、セルロースを樹脂に混ぜるためにはパルプに水を加えて解繊した後、脱水・乾燥してから樹脂に分散させますが、同社が開発した方法は水を使わないため、乾燥に要するエネルギーが不要となり、樹脂の製造の際のCO2排出量が、セルロース1kgあたり、1.8kg削減されたとのことです。詳しくはMONOistのページをご覧ください。

(2) セルロースファイバーの形状と強化のメカニズム
7月30日付日経XTECHの記事によると、パナソニックが開発したセルロースファイバー強化樹脂に使われるセルロースファイバーの形状は、繊維の中心部の径が5~30μm、繊維の両端部がほぐれていて、径が100nm~2μmになっているとのことです。通常のセルロース繊維の径が20~50μmなのでそれよりは細く、また両端がほぐれて、セルロースマイクロファイバーになっています。

繊維の中心部は、ポリプロピレン(PP)などの母材プラスチックに入った亀裂の拡大を阻止し、両端の解繊された部分は、母材からセルロースファイバーが剥離するのを防ぐ役割を担うとのことです。一般に繊維強化プラスチックは、繊維の両端部分が母材から剥離して欠陥が生じやすく、複数の欠陥が相互につながることで破壊に至りますが、この強化樹脂ではこの欠陥が生じにくくなっています。

詳しくは、日経XTECHの記事をご覧ください。

セルロースナノファイバーを添加したパーティクルボードの特許をメイン大学が取得(2020.7.28)

メイン大学のUMaine News(7月27日付)によると、メイン大学はセルロースナノファイバー(CNF)を加えた建築材料の製造に関する特許を取得しました。

家具や内装用に広く使われているパーティクルボードは、木材チップに合成樹脂を加えて作られますが、合成樹脂には発がん性があるホルムアルデヒドが使われています。EPA(米国環境保護庁)によると、人間がホルムアルデヒドにさらされる主なルートは、これらの建築材料から発生するオフガスであると指摘しています。
そこでメイン大学の研究者は、このホルムアルデヒドに替わってCNFスラリーを使用する方法を開発しました。従来の製品と比較において、耐久性に問題ないとのことです。

特許番号はUS 10,695,947です。

中国で注目されるナノセルロースの用途 ~中国の情報サイトより~(2020.7.22)

中国では今後、ナノセルロースをどのような用途に使おうとしているのか、興味がありますが、中国の科学技術情報サービス会社、北京优测科技发展有限公司が運営する嘉峪检测网、AnyTesting.comに、ナノセルロースの利点と応用分野についての解説記事が5月8日付で掲載されていたので、紹介します。
  1. 防弾材料
    韓国企業がカーボンナノチューブの分散技術を用いたカーボンナノチューブセルロースを開発しています。これは鋼材よりも強く、布のような柔らかさを持ちます。今後、軍の防弾設備などに広く使われるようになります。
  2. 弾性材料
    グラフェンとナノセルロースを使ったウレタンスポンジは、短時間で水や油を素早く吸収することができます。特殊な濡れ性を持つ多孔質弾性材料やインテリジェントポリマー複合材料として実用化が進んでいます。
  3. 医療分野
    ナノセルロースは生体適合性が優れているため、創傷抗菌包帯や人工移植片として優れた性能を発揮します。ナノセルロースハイドロゲルの特性に基づいて、移植に使用できる人工耳が作られています。先天性耳介奇形の子供のために、聴覚に影響を与えることなく耳介を再構築できます。
  4. 製紙分野
    スペインの研究者による研究で、紙にナノセルロースを添加すると、7回のリサイクル後にも紙に字を書くことができることがわかりました。通常の再生紙は、3回リサイクルすると、字を書くのには適しません。これは、ナノセルロース製造技術を従来の紙リサイクル技術に適用することで、製品の品質を向上させるだけでなく、資源を再利用とエネルギー消費量の削減ができることを意味しています。
  5. エネルギー貯蔵分野
    ナノセルロースの柔軟性と機械的特性を生かして、イオンと電子の輸送を促進する多孔質材料が作られています。多孔質材料は、無機ナノ粒子、金属イオンとその酸化物などの光電材料、炭素材料、導電性ポリマーなどとゲル化して結合し、導電性およびエネルギー貯蔵効果を持つ多機能複合材料です。

詳細は、こちらをご覧ください(中国語)。

三星工業株式会社がバクテリアナノセルロース製品の開発へ(2020.7.22)

新潟県上越市は7月1日に、同市の三星工業株式会社に対し、「バクテリアセルロース製品の開発と事業化」という事業テーマで、上越市地域中核企業成長促進モデル支援事業補助金を交付する決定をしたことを発表しました。同社は金属や繊維強化プラスチックの加工、パーツ製造を行う会社ですが、2020年2月に東京ビッグサイトで開催された第11回国際二次電池展に、バクテリアセルロースを出展しています。

TAPPI Nano 2020 バーチャル国際会議(2日目)速報(2020.7.24)

TAPPI(米国紙パルプ協会)Nanotechnology Divisionが開催するバーチャル国際会議の第2日目が、日本時間で24日(金) 0時30分~3時40分にWebを使って開催され、全世界から約180人が参加しました。7件の講演。学生ポスター賞受賞者2人によるショートプレゼンテーション、来年6月に開催される国際会議の案内などがありました。概要を報告します。なお配布資料はありません。

Nano Cellulose Vehicle
ナノセルロースビークル
矢野 浩之 京都大学

  • 環境省が進めるナノセルロースヴィークルプロジェクトの紹介。2001年から現在に至るまでの研究の経過と、昨年、東京モーターショーで公開された試作車で使われた複合材料の説明があった。試作車では16%の軽量化により、11%の燃費改善が達成された。
  • 開発した技術の量産車への適用は2025年をめどに行う予定。

Wood Microstructures Tuning for High Performance Ecological Materials
高性能エコ材料のための木材微細構造調整
Mingwei Zhu 南京大学(中国)

  • 木材の微細構造を調整することで得られる3種類の高性能エコ材料を紹介。
  • 透明紙。従来は木材からナノセルロースを作り、それを薄膜化していたが、木材組織から脱リグニンすることで製作した。リグニンは90%程度除去している。
  • 曲げることができる透明なフィルム。電子材料としての利用を検討。
  • 光学デバイスとして用いるための、圧縮加工で製造した木材。

Nanocelluloses: Next generation Aqueous-based Universal Adhesives for Particulate Composites
ナノセルロース:粒子複合材料のための次世代の水性ベースの汎用接着剤
Bruno Mattos アールト大学(フィンランド)

  • CNFを水性汎用接着剤として使用。CNFはフレキシブルで強い。
  • さまざまな径のSiO2と混ぜて、接着特性を検討した結果、SiO2 95%+CNF 5%の比率で、粒子の径:CNFの径=10:1のとき、接着特性がよい。
  • CNFをメチル基で疎水性、ヒドロキシ基で親水性などに表面修飾することも可能。
  • この接着剤は室温で使え、酵母や花粉にも使えるという汎用性がある。

FinnCERES Materials Cluster
FinnCERESマテリアルクラスター
Tekla Tammelin VTT(フィンランド)

  • フィンランドが2017年から実施している研究プログラムを紹介。予算は2,400万ユーロ。2050年までに森林の付加価値を2倍にすることを目標とし、林産資源から付加価値の高い製品を作るための技術を開発している。
  • 核となる研究テーマは、バイオリファイナリーによる固体生成物の生産、木質資源を利用した水と空気の浄化、セルロースによるプラスチックの置き換えなど。

Conductive Elastic 3D Printed Composites Based on Nanocellulose for Controlled Drug Release
制御された薬物放出のためのナノセルロースに基づく導電性弾性3Dプリント複合材料
Rubina Ajdary アールト大学(フィンランド)

  • セルロース繊維から、CNF、TEMPO酸化CNF、アセチル化CNFの3種類のナノセルロースを作り、ポリマーに混ぜて3Dプリンターで細胞培養用のスキャフォード(足場)を製作。そこにH9c2細胞を培養して、心臓用パッチを製作した。
  • PGSをポリマーとして加えたものが最も心筋細胞に近い。
  • インクに薬物を入れて作った心臓用パッチは、PGSの分解に伴い、薬物を徐放することができる。

学生ポスター賞受賞者によるショートプレゼンテーション

  • ブラジル・カンピナス大学の学生によるビッカリングエマルジョンに関する研究。
  • ノースカロライナ州立大学の学生によるリグニンとCNFのエアロフォームの研究。

Standards
標準化
Collen Walker、メイン大学(アメリカ)

  • 国際標準化機構(ISO)におけるナノセルロースの国際標準化の動きについての説明。内容は別途整理し、ナノセルロース・ドットコムに掲載します。

Assembly of Plant Polyaromatics at Interfaces
界面での植物多環芳香族の集合
Orlando Rojas ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)

  • リグニンのエアロゾルを乾燥させると、表面が波形の粒子を作ることができ、これをコーティング材料として使うことができる。
  • CNFをバインダーとして、リグニンナノ・マクロ粒子による膜を作ることができる。またこれを使って3Dプリンティングも可能。

TAPPI Nano Division Leadership and TAPPI Nano 2021
Heli Kangas、VTT(フィンランド)

  • 来年ヘルシンキで開催予定の国際会議の案内。

TAPPI Nano 2020 バーチャル国際会議(1日目)速報(2020.7.23)

TAPPI(米国紙パルプ協会)Nanotechnology Divisionが開催するバーチャル国際会議の第1日目が、日本時間で23日(木) 0時30分~3時40分にWebを使って開催され、全世界から約210人が参加しました。開会の挨拶と各賞の受賞者の紹介に続き、7件の講演が行われました。注目順に内容を報告します。なお配布資料はありません。
What’s New in Commercial Production of Nanocellulose?
ナノセルロースの商業生産における最新動向
Colleen Walker, メイン大学(アメリカ)

  • TAPPI Nanotechnology Division の中のProducers Committee (製造者委員会)の概要と生産者の最新動向を説明した。なお委員長はStora EnsoのLars Axtrupで、Colleen Walkerはセクレタリー。
  • Producers Committee は2015年に発足し、商業化のニーズと課題について検討してきた。
  • 会員はパイロットスケール以上でナノセルロースを生産している企業に限られる。
  • 次の13社の最新動向を説明。Blue Goose, Boregaard, CelluForce, FiberLean, GranBio, Innotech Alberta, Klabin, Kruger, Performance BioFilamant, Sappi, Stora Enso, Suzano, U Maine。説明された内容は、ナノセルロース・ドットコムの海外企業情報に追記した。
  • 日本の企業については、全く触れられておらず、質疑応答で、どうなっているのかとの質問があった。

Modifying Hard Material
硬い材料を改質する
Johan Foster, ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)

  • 金属のチタンにCNCを混ぜて、バイオコンポジットを作った。チタンは資源量が豊富で、耐食性があり、すでにいろいろな用途に使われている。一方で合金は毒性があり、価格が高い。
  • チタンに1~5%のCNCを混ぜてバイオコンポジットを製作した。アルゴン雰囲気中でチタンとCNCを混ぜる。
  • バイオコンポジットはもとのチタンと比べて、ピッカーズ硬度が3倍、圧縮強度が4倍以上向上した。また時間の経過とともに強度は向上した。

Have we Established the Safety of Cellulose Nanomaterials?
セルロースナノマテリアルの安全性は確立されたか?
Jo Anne Shatkin, Vireo Advisors(アメリカ)

  • Environmemtal Health and Safety (EHS) Roadmapを2015年に公表した。その概要の説明。
  • 現在、遺伝毒性や実証試験を行っている。内容はTAPPI Nanoのウェブサイトから見ることができる。
  • 実証試験では、労働環境での影響、消費者に対する影響、環境への影響について検討中。市販されている6種類のCNF、CMC、CMFを使用。
  • 今後は表面改質したものの調査を行っていく予定。ぜひ参加してほしい。

Continuous Processing of High Strength Cellulose Nanofiber Sheet
高強度セルロースナノファイバーシートの連続生産
Jeffrey Youngblood, パーデュー大学(アメリカ)

  • CNFの多層シートを押出法で安価に生産する方法を開発。
  • シートは厚さが1.65mm、強くて(207MPa, 3.53MJ/m2)、軽い(1.35g/cm3)。
  • 耐水性を増すための添加剤を検討し、CNF:CMC(カルボキシメチルセルロース)=10:1が最もよく、均一に混合することもかわった。

Light-triggered Tuning of Mechanical Properties of 3D Printable Cellulose Nanocomposite
3D印刷可能なセルロースナノコンポジットの機械的特性の光トリガーチューニング
Luca Mueller, EMPA(スイス)

  • 3Dプリンター用インクにCNCを添加し、物理的特性を改善した結果を報告。
  • CNCをケイ皮酸ビニルに加えることで、マトリックス構造にする。具体的にはシンナモイルクロリド+ピリジン+CNC。
  • このようにして作ったcin-CNCを添加することで、インクの強度がアップした。30%cin-CNCを加えた場合が、もっとも成績がよかった。

Direct Writing Cellulose Materials with Tunable Properties
調整可能な性質を持つそのまま使用できるプリンター用セルロース材料
Gilberto Siqueira, EMPA(スイス)

  • 3Dプリンター用の樹脂にCNCのソフトハイドロゲルを混ぜ、さらに光硬化性能を持たせた材料を開発した。

Nanoscale Cellulose for Components of Dye-sensitized Solar Cells
色素増感太陽電池のコンポーネントのためのナノスケールセルロース
Kati Miettunen、アールト大学(フィンランド)

  • セルロースエアロゲルのフィルムとバイオカーボンを使用したコンポーネントを試作。
  • バイオマテリアルでプラチナやガラスを置き換える。

セルロースナノクリスタルと酸化銅ナノ粒子から成るエンジンオイル潤滑剤(2020.7.14)

セルロースナノクリスタル(CNC)とCuOナノ粒子から成る潤滑剤をエンジンオイルに添加することで、トライボロジー動作と循環特性が改善することを、マレーシア・パパン大学の研究グループが見出しました。

自動車エンジンのピストンが故障する主な原因は、摩擦と摩耗です。ナノ粒子はこれまでに潤滑剤成分として研究されてきましたが、研究グループでは、Bluegooseから購入したCNC(乾燥粉末)にCuOを混ぜて潤滑剤を作り、エンジンオイルに0.1, 0.3, 0.5%添加して、粘度の変化、摩擦係数の変化、金属表面の摩耗の様子などを調べています。実験の結果、潤滑剤の添加で粘性は40~50%改善し、摩擦係数も低下し、金属表面の摩耗も改善されていることを突き止めました。なおCNC-CuOのナノ粒子の平均径は82.6nmです。BluegooseのCNCを使った理由は、硫酸エステルを含まないためです。

詳しくは論文をお読みください。Sakinah Hisham et. al., Molecules, 25, 2975 (2020)

セルロースナノファイバー製造用パイロットプラント丸住製紙が建造へ(2020.7.11)

丸住製紙株式会社のプレスリリース(7月10日付)によると、同社はセルロースナノファイバー(CNF)の化学変性技術の独自開発に成功し、ステラファインTMと命名したCNFの安定製造を進めるため、7月1日付でCNF推進室を設置するとともに、2021年5月の完成を目指して年産50トンの能力のあるパイロットプラントを川之江工場に建造するとのことです。同社のCNFは漂白クラフトパルプを原料に、化学的及び機械的な方法で繊維をナノレベルまで解繊することによって製造されます。

詳しくは同社のプレスリリースをご覧ください。

セルロースマイクロファイバーを添加したPP複合材料を巴川製紙所が開発(2020.7.11)

株式会社巴川製紙所のニュースリリース(7月7日付)によると、同社はセルロースマイクロファイバー(CMF)をポリプロピレン(PP)に高配合した複合材料、グリーンチップTMCMFをエフピー化成工業株式会社と共同開発したと発表しました。

CMFをPPに配合することで、強度と耐熱性が向上したほか、成形品の軽量化が図れます。PPにCMFを55%配合したものは、PPと比べて、引張強度が1.7倍、曲げ強度が1.9倍、曲げ弾性率か4.5倍増加しており、CNFを添加したものと遜色のない特性が得られています。CMFを最大で55%配合でき、CMFが51%以上配合されている場合は、紙製品と同様に可燃物として廃棄ができるというメリットもあります。さらに射出成形性も向上したとのことです。

詳しい内容は、同社のニュースリリースをご覧ください。

スギノマシン、シルクを原料にしたセルロースナノファイバーの技術情報を公開(2020.7.11)

株式会社スギノマシンはシルクを原料にセルロースナノファイバーを製造していますが、このほどホームページにアップされた同社のBiNFi-sテクニカルレポート(No.10)で詳しい技術情報が公開されています。内容は同社のホームページでユーザー登録したうえでご覧になれます。

TAPPI Nano 2020 バーチャル国際会議のプログラムが公開(2020.7.15)

TAPPI(米国紙パルプ協会)Nanotechnology Divisionが開催するバーチャル会議のプログラムが公開されました。

日時:2020年7月22日(水)・23日(木) 米国東部夏時間 11時30分~14時40分
(日本時間では、7月23日(木)・24日(金) の深夜0時30分~3時40分となります。)
参加費は不要ですが、TAPPIの会員資格と参加登録が必要です。

July 22 Presentation Presentator
11:30 – 12:00 Welcome & Awards Robert Moon

USDA Forest Service. USA

12:00 – 12:20 Direct Writing Cellulose Materials with Tunable Properties Gilberto Siqueira

EMPA, Switzerland

12:20 – 12:40 Nanoscale Cellulose for Components of Dye-sensitized Solar Cells Kati Miettunen

Aalto University, Finland

12:40 – 13:05 What’s New in Commercial Production of Nanocellulose? Lars Axrup

Stora Enso, Finland

13:05 – 13:20 Break
13:20 – 13:40 Light-triggered Tuning of Mechanical Properties of 3D Printable Cellulose Nanocomposite Luca Mueller

EMPA, Switzerland

13:40 – 14:00 Continuous Processing of High Strength Cellulose Nanofiber Sheets Jeffrey Youngblood

Purdue University, USA

14:00 – 14:20 Have we Established the Safety of Cellulose Nanomaterials? Jo Anne Shatkin

Vireo Advisors, LLC, USA

14:20 – 14:40 Structuring Hard Materials using Cellulose Nanomaterials Johan Foster

University of British Columbia, Canada

July 23
11:30 – 11:50 Nano Cellulose Vehicle Hiroyuki Yano

Kyoto University, Japan

11:50 – 12:10 Wood Microstructures Tuning for High Performance Ecological Materials Mingwei Zhu

Nanjing University, China

12:10 -12:30 Nanocelluloses: Next generation Aqueous-based Universal Adhesives for Particulate Composites Bruno Mattos

Aalto University, Finland

12:30 – 12:50 FinnCERES Materials Cluster Tekla Tammelin

VTT Technical Research Centre of Finland Ltd, Finland

12:50 – 13:05 Break
13:05 – 13:25 Conductive Elastic 3D Printed Composites Based on Nanocellulose for Controlled Drug Release Rubina Ajdary

Aalto University, Finland

13:25 – 13:45 Speed Presentations from TAPPI Student Winners of Twitter Poster Competition Meghan Roberts

/Sara Roldan Velasquez

13:45 – 14:05 Standards Collen Walker

/Linda Johnston

14:05 – 14:25 Assembly of Nano-polysaccharides and Plant Polyaromatics at Interfaces Orlando Rojas

University of British Columbia and Aalto University

14:25 – 14:40 TAPPI Nano Division Leadership and TAPPI Nano 2021 Heli Kangas

VTT Technical Research Centre of Finland Ltd

セルロースナノファイバーエアロゲルを使った軽量電磁干渉シールド材(2020.7.10)

セルロースナノファイバー(CNF)と銀ナノワイヤーまたは炭化チタンから作ったエアロゲルが、広い周波数範囲で電磁放射を効果的にシールドできることを、スイス連邦材料試験研究所(EMPA)のZhihui ZengとGustav Nyströmらの研究チームが確認したことを、ニュースリリース(7月2日付)で発表しました。

電気モーターや電子機器は電磁場を発生するため、隣接する電子部品や信号の伝送に影響を与えないようにシールドする必要があります。薄い金属シートや金属化フォイルが使用されていますが、重いという欠点がありました。そこでCNFと銀ナノワイヤーの複合材料を製造し、電磁放射線に対するシールド効果を調べたところ、1.7mg/cm3という低密度で、高解像度レーダー放射の周波数範囲(8〜12 GHz)で40 dB以上のシールドを実現しました。

CNFと銀のワイヤーの電磁波シールド効果には、材料の細孔構造も影響します。細孔内では、電磁場が前後に反射され、さらに複合材料の電磁場をトリガーして、入射場を打ち消します。材料を予冷した金型に注ぎ、ゆっくりと凍結させると、氷の結晶の成長は、フィールドを減衰させるための最適な細孔構造を作成します。金型内で材料が下から上に固化すると、垂直方向の電磁減衰効果が弱くなります。水平方向、つまり氷結方向に垂直な方向に、減衰効果が最適化されます。この方法でキャストされたシールド構造は非常に柔軟性があり1000回前後曲げられた後でも、減衰効果は元の材料とほとんど変わりませんでした。

なお詳しい内容は、EMPAのホームページからご確認いただけます。


写真:EMPA HPより転載

さらに詳しい内容はACS Nano 2020, 14, 3, 2927–2938 に掲載されています。

バクテリアナノセルロースを使ったCovid-19医療従事者向け高性能マスクを開発へ(2020.7.8)

カナダのAxcelon Biopolymers Corp. のニュースリリース(6月8日付)によると、カナダのArylide Life Sciences Inc., College La Cité と同社は、カナダ政府のCovid-19関連プログラムの資金を活用して、Covid-19に対応する医療従事者向けの高性能マスクを開発することになりました。同社は抗菌ナノ粒子でコーティングされた活性炭マトリックスに埋め込まれたBNC材料を利用することで、医療従事者向けの再利用可能で高度な保護フェイシャルマスクを開発することです。

詳しくは同社のプレスリリースをご覧ください。

ブラジルのGranBioが米国のAmerican Processを買収(2020.7.7)

ブラジルのバイオリファイナリー企業GranBioは、アメリカのバイオリファイナリー企業American
Process Inc.(API)の全資産を買収したと3月6日のプレスリリースで発表しました。またあわせて、ナノセルロースをゴムに配合するためのマスターバッチを、世界的なカーボンブラックメーカーであるBirla Carbon と共同で開発したことも発表してします(詳細はこちらを参照)。

APIは2年前までセルロースナノファイバー、リグノセルロースナノファイバー、セルロースナノクリスタル、リグノセルロースナノクリスタルをアトランタ近郊の工場で生産し、販売していましたが、APIのホームページからナノセルロースに関する説明が消え、APIでナノセルロースの研究開発を担当していた副社長がGranBioに移籍していたため、ナノセルロースに関する研究開発をストップしたのではないかと考えれていましたが、研究開発はGranBio の子会社であるGranBio Technologiesに受け継がれ、継続されていたようです。ちなみに、カナダのCNC製造最大手CelluForceにも、ブラジルの製紙大手Suzano S.A.が資本参加するなど、ブラジルの積極的な動きが目につきます。

ナノセルロース複合材料をカーボンブラック大手がタイヤ向けに開発(2020.7.7)

カーボンブラックの世界的なリーディングカンパニーであるBirla Carbon(インド)は2月20日のプレスリリースで、GranBio Technologies(米国)と共同で、ナノセルロースを分散させたタイヤ・ゴム製品向けの複合材料、NDCTMゴムマスターバッチを開発したと発表しました。

これは両社の共同研究によるもので、ナノセルロースをゴムに配合することで物理的性能を改善するとともに、サステナブルな材料の含有量を増やします。またタイヤに組み込んだ場合、タイヤの転がり抵抗と車両の燃費を改善できるとのことです。

詳しくはBirla carbonのプレスリリースをご覧ください。

 

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