ナノセルロース、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)、バクテリアナノセルロース(BNC)に関する、国内・海外の最新ニュースを掲載しています。こちらは 2020 年 5 月に報道されたニュースを、新しいものから順に掲載しています。
4K有機ELテレビのオーディオシステムにCNFを使用(2020年5月28日)
東芝映像ソリューション株式会社は、同社の 4K 有機 EL テレビのフラッグシップモデル、レグザ X9400 に搭載されるオーディオシステム「レグザパワーオーディオ X-PRO」に、セルロースナノファイバー(CNF)を使用した振動板が使用されることがわかりました。
77 型、65 型、55 型に搭載されるレグザパワーオーディオ X-PRO では、CNF コーティングダブルフルレンジスピーカーとアルミ振動板によるハードドームツイーターの新型 2 ウエイスピーカーを前面に配置することで、解像感の高いクリアな音を再生します。また 65 型、55 型では、CNFコーティング振動板ダブルウーファーと対向型パッシブラジエーターによる新型重低音バズーカを背面に配置することで、豊かで切れのよい重低音を再生することができます。
なお 65 型、 55 型は 2020 年 6 月 19 日に、77 型は 2020 年秋にそれぞれ発売予定です。
詳しくは同社のニュースリリース等をご確認ください。
CNF 100 % の構造材料を中国科学技術大学が開発(2020年5月26日)
中国科学技術大学(安徽省合肥市)の Shuhong Yu 教授のグループが、セルロースナノファイバー(CNF)由来の超高強度構造材料を開発したことを、中国の新華社が配信しました。
報道のもとになった論文を確認したところ、この材料はバクテリアナノセルロース(BNC)のシートを表面処理したのち、1 MPa でプレスし、さらに 100 MPa、80 ℃ でホットプレスして作られており、サイズは320 × 220 × 27 D mm で、重量は 2,560 g でした。比重は 1.35 g/m3 でセルロースの比重とほぼ同じです。
これをセルロースナノファイバープレート(CNFP)と名付けており。高強度(198 MPa)、高衝撃靭性(67 kJ m-2)、低熱膨張(5×10-6 K-1)であることから、航空宇宙用の構造材料として用いることができると説明しています。
CNFPはフライス盤で任意の形状に加工できます。またバクテリアナノセルロースのシートの表面処理の仕方で、強度特性の異なる材料を得ることができます。ただ論文ではバクテリアナノセルロースの市場価格が 1 円 / kg 以下と記載されていますが、一般的に知られている価格と乖離しているため、確認が必要です。なお AFP 通信社も新華社の報道を受けて配信記事を出していますが、説明図は全く別のものが使われています。
詳しくは新華社のHPをご確認ください。
ナノセルロースで補強した生分解性プラを韓国のSKCが生産へ(2020年5月25日)
韓国の化学メーカー SKC は、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)に木質由来のナノセルロースを補強材として用いた生分解性プラスチックの量産技術の開発に着手したと、ニュースリリースで発表しました。
PBAT は生分解性がある一方で、引張強度が低く破れにくいという欠点がありました。韓国化学研究院では PBAT をナノセルロースで補強する技術を開発し、これを SKC を含む民間企業に技術移転することになり、生分解性プラの製造・製品化と蔚山広域市での実証事業が始まる予定です。
詳しくはSKCのニュースリリースをご確認ください。