ナノセルロース・セルロースナノファイバーに関する世界のニュース 2023年4月

ナノセルロース、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)、バクテリアナノセルロース(BNC)に関する、国内・海外の最新ニュースを掲載しています。こちらは 2023 年 4 月に報道されたニュースを、新しいものから順に掲載しています。

日本製紙、TEMPO酸化CNFの粉体品のサンプル提供開始(2023年4月28日)

日本製紙はTEMPO酸化セルロースナノファイバー(CNF)の乾燥粉体品 Cellenpia(セレンピア)®  TD-02X を開発し、サンプル提供を開始することを発表しました。

4 月 27 日付けのニュースリリースによりますと、同社の TEMPO 酸化 CNF は、繊維径が約 3 nmで、完全に均一分散した CNF で、従来は固形分濃度が 5 %の水分散体(製品名:TC-02X)、固形分濃度が 1 % または 3 % の水分散体(製品名:TC-01A)として供給されていました。

今回開発したのは、TC-02X を乾燥させて、固形分濃度を 90 % 以上にしたものです。乾燥に伴い、繊維同士が凝集していると思われ、同社の公表したスペックでは、繊維径 3 nm という表記のほかに、平均粒径  10 μm という記述があります。ただ、水への再分散性に優れているとのことです。また CNF 100% という記述がありますが、凝集を防ぎ、水中での再分散化を容易にするための添加剤等を加えているのかどうかは、不明です。

同社によると、粉体での提供となることで、物流費を大幅に削減できるとともに、保管・保存が容易となり、海外市場への展開も含めて適用範囲が大きく広がることが期待されるとのことです。

詳細は同社のニュースリリースをご覧ください。

中国でナノセルロース国際シンポジウムが開催(2023年4月24日)

第 4 回ナノセルロース材料国際シンポジウム(The 4th International Symposium on Nanocellulosic Materials)が北京で開催され、中国国内の 52 の大学・研究機関・企業から研究発表が行われたほか、海外からの招待講演もありました。

このシンポジウムは中国造紙学会の主催で 2017 年より隔年で開催されており、中国におけるナノセルロース関連の唯一かつ最大の学術会議です。中国国内でナノセルロースの研究・開発・製造などに携わっている人の大半が参加しています。4 回目となる今回は、北京林業大学、斉魯工業大学、中国国立紙パルプ研究所との共催で、4 月 21~23 日の 3 日間、北京林業大学の近くのホテルで開催されました。参加者数は、前回とほぼ同じ約 300 人でした。

招待講演(Plenery Speach)は米国、カナダ、スウェーデン、オーストリアなどから 11 件、口頭発表(Invited Talkを含む)は主に中国の大学から 84 件、ポスター発表が中国の大学から 55 件ありました。

研究対象はセルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)だけでなく、バクテリアナノセルロース(BNC)、動物(ホヤ)由来のナノセルロースに関するものや、リグニンに関するものも一部含まれています。

一方、内容は用途開発に関するものが多く、性状としてフィルム、コンポジット、ハイドロゲル、エアロゲルなどへの加工が多く、用途別では、センサー、電池、キャパシタなどのエレクトロニクス分野や、食品包装などのパッケージ分野に関するものが目立ちました。

ナノセルロースの製造に関する発表もありましたが、ナノセルロースを低コスト・省エネルギーで生産するための前処理技術や、国内の竹や農業残渣を使ったバイオリファイナリーに関するものなど、実用化をふまえた内容である点が特徴です。

さらに詳しい内容は、こちらの記事をお読みください。

関連記事

シンポジウムの概要 The International Symposium on Nanocellulosic Materials(ナノセルロース材料国際シンポジウム)は中国造紙学会の主催で2017年から隔年開催されているシンポジウムです[…]

日本製紙、ミクロフィブリル化セルロースの提供を開始(2023年4月24日)

日本製紙は、可搬・可調整式製造機によって、TEMPO 酸化パルプ、あるいは低置換度カルボキシメチルセルロースから製造するミクロフィブリル化セルロース(MFC)を 開発し、サンプル提供を開始したことを発表しました。

同社の 4 月 20 日付ニュースリリースによりますと、開発された MFC は、繊維幅をナノ~マイクロオーダーにカスタマイズすることが可能です。

他社のMFCは木材パルプ(セルロース繊維)を原料としていますが、日本製紙のMFCは、TEMPO酸化パルプ、あるいは低置換度カルボキシメチルセルロースを原料としています。

解繊方法や解繊程度を自由に変更・設定可能できるため、粘度や透明度、保水度、ゲル感等を各用途に合わせて製造できるとのことです。

現在日本製紙が販売しているセルロースナノファイバー(商標名:セレンピア®)と同様に、さまざまな各種工業用配合材、食品・化粧品添加剤へ使用できる可能性があり、さらに大量製造・大量使用にも適しているため、農業分野や土木分野における噴霧用資材等への適応が期待されます。

このMFCは、透明度や粘度をさまざまなバリエーションで微細に調整しやすいノズル型と、MFCの量産性に優れるディスク型の2種類の装置で製造されます。いずれも富士工場に設置されているものですが、将来的に装置の貸し出しや販売も視野に入れているとのことです。

詳しくは同社のニュースリリースをご覧下さい。

大阪大学、CNFを使って生体シグナル計測が可能な電子皮膚を開発(2023年4月19日)

大阪大学産業科学研究所は、セルロースナノファイバー(CNF)でできた紙(ナノペーパー)を用いて、脳波、心電、筋電などの微小な生体シグナルを無線計測できる、電子皮膚(e-skin)を開発しました。ナノペーパー内に多孔質ナノ構造を設計することで、皮膚密着性、皮膚適合性、通気性を兼ね備えています。

大阪大学の研究成果を発表する ResOU(リソウ)に 4 月 18 日に掲載された記事によりますと、大阪大学産業科学研究所の荒木徹平准教授らのグループは、木材由来の CNF 紙(ナノペーパー)を用いて、人の微弱な生体シグナル(脳波、心電、筋電など)を無線計測可能な電子皮膚(e-skin)を開発しました。このナノペーパー製 e-skin には、多孔質ナノ構造がカスタマイズされており、高い皮膚密着性と通気性を長時間維持できる、皮膚に優しい設計になっています。

現在、プラスチック基材を用いた e-skin の開発が精力的に行われていますが、持続生産可能な木材由来のナノペーパーは、プラスチックに替わる基材として近年注目を集めています。しかし、緻密な構造を持つ従来のナノペーパー基材は、皮膚密着性や通気性に乏しく、e-skin への適用は困難でした。

今回、研究グループは、ナノペーパーを多孔質化するプロセスを新たに構築することで、皮膚密着性と通気性を高めることに成功しました。さらに、脳波・心電・筋電といった生体シグナルの無線計測が可能なe-skinとして適用できることを実証しました。このナノペーパー製 e-skin は、皮膚適合性、機械的な柔軟性、加熱による減菌処理への適用性、繰り返し利用可能な耐久性も兼ね備えています。人にも環境にも優しい e-skin として、将来、医療・ヘルスケア分野への応用が期待されます。

詳細はResOUの記事をご覧ください。

CNCには蚊に刺されないようにする化学的なバリア機能がある(2023年4月17日)

セルロースナノクリスタル(CNC)とグリセロールを混ぜたものを人間の手に塗ったところ、蚊に吸血される数が大幅に減ったという研究結果が報告されました。

英国の医学・ライフサイエンス分野のウェブサイト News Medical に 4 月 13 日に掲載された記事によりますと、蚊は、ジカ熱、マラリア、黄熱病、チクングニア熱など、多くの病気の媒介動物です。そのために蚊に刺されないための戦略が必要とされています。局所忌避剤も存在しますが、有効な範囲や時間は限られています。

そこで検討されたのがセルロースナノクリスタル(CNC)です。CNCは乾燥させて薄いフィルムにすることができます。研究では、ネッタイシマカ蚊に対する  CNC のバリア特性を調べました。CNC だけでは皮膚上でうまく乾燥せず、もろさのためにひびが入ったので、グリセロールを加えました。CNC-グリセロールを塗ると、蚊による吸血の数を大幅に減らすことがきました。

このバリア効果が物理的なものか化学的なものかを判断するために追加で実験を行った結果、この効果は化学的なものであることが確認されました。

詳細はNews Medicalの記事をご覧ください。

EUのCelluWizプロジェクト、CNFで作られた食品容器を開発(2023年4月17日)

ミクロフィブリル化セルロース(MFC)の薄層を、接着剤なしで紙や板紙に適用できる技術を用いることで、耐油性、酸素バリア性に優れ、リサイクル性、堆肥化性、海水中での分解性に関する国際基準を満たした食品容器が開発されました。

EUが助成する研究開発情報を提供するサイト CORDIS に 4 月 12 日に掲載された記事によりますと、CelluWiz プロジェクトで、リサイクル・堆肥化可能な、包装用の全セルロース多層材料を製造するためのプロセスが開発されました。このプロジェクトは、EU と官民パートナーシップである Bio-based Industries Joint Undertaking  から資金提供を受けて行われました。

食品包装は、傷みやすい商品の賞味期限を維持しながら、サプライチェーン全体で安全かつ効率的な食品輸送を可能にしています。しかしながら、包装材料を効果的にする特性は、リサイクルを困難にする特性と同じです。従来の食品包装は、アルミやプラスチックなど、分離が難しいさまざまな素材を何層にも重ねて作られていました。その結果、ほとんどの容器は最終的に埋立地に送られるか、焼却されます。CelluWiz プロジェクトでは、生分解性があり堆肥化が可能で、リサイクルができるオールセルロース材料から成る包装製品の生産を可能にする技術を開発しました。

CelluWiz プロセスで開発された MFC湿式ラミネーションプロセスを使用して、MFC 層が板紙に適用されました。湿式ラミネーションは、MFC の薄層を接着剤なしで紙やボードに適用できる特許取得済みプロセスであり、油と酸素に対する優れたバリア特性をもたらします。さらにこのプロジェクトでは、セルロース材料に疎水性を付与するために、環境に優しい無溶媒技術も開発されました。

CelluWiz のパイロットプラントは、80 kg / 日の包装材料を生産することができます。この材料は、リサイクル可能 (EN 13430: 2004に準拠)、堆肥化可能 (EN 13432: 2000に準拠)、海洋条件での生分解性 (ISO 14852: 1999 および ASTM D6691 :2017に準拠) があります。

詳細はCORDISの記事をご覧ください。

 

ナノセルロース・ドットコム コメント

この記事では、Microfibrillated celluloseMFC、ミクロフィブリル化セルロース)と記載されていますが、ナノセルロースの一種(a type of nanocellulose)と書かれているので、セルロースナノファイバー(CNF)と同じものです。このプロジェクトはフランスのCTP(Centre Technique du Papier、紙研究所)が中心になって実施されましたが、フランスではCNFという呼び方はせず、MFCと呼びます。これは「ナノ」ということばによくないイメージがあるからだと言われています。

 

スピニフェックスのナノセルロースゲルを美容整形に使う試み(2023年4月10日)

オーストラリアの乾燥地帯に生育する植物スピニフェックスのナノセルロース繊維はアスペクト比が高く水に懸濁すると自己組織化して、ゲルを形成します。さらにこの植物は簡単に分解できて、ナノセルロースを得ることができます。オーストラリアでは、このスピニフェックスのナノセルロースゲルを、美容整形、変形性関節症の治療や、整形外科的治療に使う試みが行われています。

オーストラリア王立研究所が運営する科学技術ウェブサイト COSMOSに4月5日に掲載された記事によりますと、オーストラリアの乾燥地帯に生育する草本であるスピニフェックス(学名:Triodia pungens)は、かなり変わった植物で、40から50℃の高温に耐えることができ、干ばつに強く、他の草が生き残れない場所でも生き残ります。

ナノセルロース繊維はすべての植物に存在し、さまざまな目的に使用することができます。それらは非常に強く、ケブラーに匹敵するため、手袋やコンドームなどの伸縮性のあるラテックス製品のバリアとして役立ち、親水性と粘性があるため、ゲルの作成に使用できます。ナノセルロース繊維は生分解性もあることから、従来の複合材料に代わる環境に優しい素材として、これを用いた製品が、世界中で開発されています。

スピニフェックスのナノセルロースはきわめて特異的です。まず既知のナノセルロースの中で最も高いアスペクト比を持っています。繊維は非常に長くて細いです。次にこれらの繊維を水に懸濁すると、水と接触することでマトリックスに自己組織化し、懸濁している水を安定させ、ゲルを形成します。さらにスピニフェックスは信じられないほど簡単に分解できるため、ナノセルロースの製造プロセスが安価で省資源になります。

この中で自己組織化は、ナノセルロース繊維を美容整形、変形性関節症の治療や、整形外科的治療に使うのに適しています。ナノセルースが針を通過すると、自己組織化し、ゲルを安定させる三次元ネットワークを形成します。ゲルが小さなオリフィスから押し出されると、繊維がきれいに並んで突き抜けるため、注射針を使ってゲルを非常に簡単に注入できます。注射可能なゲルは、作るのが難しいため、この特徴は大きなブレークスルーとなりました。

このゲルは非常に有望だと考えられたため、投資家は現在、市場に出すために多額の資金を投じています。2 月には、大手科学投資会社の Uniseed が  Bulugudu と共同投資を行うことを発表しました。Trioda Wilingi と呼ばれる新たに設立された会社に合計 260 万ドルが投資されました。

詳細はCOSMOSの記事をご覧ください。

ケンブリッジ大学、CNCのフィルムで建物や車を涼しく保つ(2023年4月5日)

ケンブリッジ大学の研究者は、セルロースナノクリスタル(CNC)とエチルセルロースを使ったフィルムで、建物や車を涼しく保ち、空調の必要性を減らすのに役立つ柔軟なコーティング技術を開発しました。

インドのニュースサイト News 18に 4 月 3 日に掲載された記事によりますと、英国・ケンブリッジ大学の研究者は、太陽の熱から建物や車を覆うためのフィルムを開発しました。このフィルムは木材由来の繊維であるセルロースを何層にも重ねて作られています。この植物由来のポリマーは、地球上に豊富に存在する物質であり、自然で無公害であることに加えて、このフィルムは安価です。

クールルーフ技術と名付けられたこの技術は、セルロースナノクリスタル(CNC)の虹色の特性とエチルセルロースの反射特性を組合せたものです。CNC の配置に応じて、フィルムはさまざまな色合いになります。これまでは住宅を冷却するために屋根を白く塗装していましたが、研究チームは構造色に目を向けました。これは、シャボン玉や甲虫の殻が虹色に見えるのと同じ現象です。光は表面の小さな構造に当たり、跳ね返り、さまざまな角度からさまざまな波長を反射して、きらめく色を作り出します。

このフィルムは 1 平方メートルのフィルムで 120 ワット以上の冷房能力を生み出すことができ、小型のエアコンに匹敵します。研究チームが行った実験で、材料が日中に周囲の空気よりも4℃低温になる可能性があることを実証されています。今後は実際の建物でフィルムをテストして、その有効性をより大規模に評価するとともに、さまざまな気象条件にさらして、耐久性を長期にわたってテストする計画です。

詳細はNews18の記事をご覧ください。

英国Modern Synthesis、バクテリアナノセルロース製の靴を発表(2023年4月1日)

英国のバイオ材料企業の Modern Synthesis は、ロンドン本社で開催された非公開イベントで、バクテリアナノセルロース(BNC)のパイロット生産設備で作られた材料から作られた靴を発表しました。

ヴィーガン向けのビジネスマガジン Vegecomist が 3 月 30 日に掲載した記事によりますと、Adidas の元デザイナーの Jen Keane と、生物学者の Ben Reeve 博士によって設立された Modern Synthesis  は、持続可能性と次世代のバイオ材料を製造することができます。同社は昨年 410 万ドルを調達し 、ロンドンにマイクロファクトリーを建設しました。

同社の革新的な素材は、フィルムからソフトレザーまで、カスタマイズ可能な不織布を製造するこことができます。しかもこの不織布は、石油由来の素材ではなく、自然界で分解する素材であるため、ファッション業界が持続可能性の危機を克服するのに役立つものです。

この技術は、バクテリアが農業廃棄物由来の糖をナノセルロースに変える能力 (バクテリア発酵) に基づいており、これを用いて開発されたバイオテクノロジープラットフォームは、特許出願中です。

詳細は Vegecomist の記事をご覧ください。

大王製紙、CNF配合のトイレクリーナーに関する話題(2023年4月1日)

大王製紙は、セルロースナノファイバー(CNF)を配合した キレキラ®!トイレクリーナー を 2015 年より販売していますが、このほど商品を評価する雑誌で最高評価を得たことと、無香性の新商品を発売したことを、ニュースリリースで発表しました。

3 月 30 日付の同社のニュースリリースによりますと、2015 年 9 月に誕生したキレキラ!トイレクリーナーは、CNF を配合し、ゴシゴシ拭いても破れにくい丈夫なトイレクリーナーとして人気を博しています。

ユーザー目線で公平に商品を評価する雑誌「LDK」 2022 年 12 月号において、トイレクリーナーシート部門で「汚れ落ち」「強度」「大きさ」ともに最高評価を獲得し、ベストバイを受賞したとのことで、受賞ロゴマークをデザインしたパッケージを、期間限定で発売することを発表しました。

また同日、キレキラ!トイレクリーナーに、「香りが残りにくい無香性」を追加し、4 月 21 日から販売することも、あわせて発表されました。、従来の「クリーンフローラルの香り」「ハッピーローズの香り」「シトラスミントの香り」に加えて4アイテムに拡充されます。

詳しい内容は、同社のニュースリリース(受賞無香性)をご覧ください。

コルドバ大学、ナノセルロースを使った精肉用パッドを開発(2023年4月1日)

スペインのコルトバ大学は、甲殻類由来のキトサン、月桂樹由来のナノセルロース精油を使った、精肉用のパッドを開発したことを発表しました。

3月28日付で EurekAlert にニュースリリースとして掲載された記事によりますと、精肉の包装に使われるパッド(敷物)は、肉から発生した水分を吸収するために使われています。しかし従来のパッドは食品の腐敗を引き起こす可能性があり、また石油由来のプラスチックポリマーでできています。

欧州および世界各国の規制と国際協定が、人間の健康と環境への悪影響を回避するために、プラスチックの使用を控える動きがある中で、コルドバ大学の化学工学分野の研究グループは、従来のパッドのように水分を吸収するだけでなく、肉の酸化を遅らせる天然廃棄物を原料とするパッドを開発しました。

開発されたパッドは、エアロゲルと呼ばれるメイク落としに似た形状をしており、3 つの要素から構成されています。ベースは甲殻類の殻に由来するポリマーであるキトサンでできています。市販のパッドで使用されているプラスチックポリマーと比べて、キトサンは構造が不規則で、水に溶けやすく弱いという欠点があります。これを補うために、地中海地域で最も広く栽培されている芳香性のある薬用植物である月桂樹の剪定枝から作ったナノセルロースを加えました。

これによって、パッドをより強くして、耐久性を高めます。さらにローリエ(月桂樹の葉)の精油を加えることで、肉の酸化を遅らせることができます。

現時点ではまだ開発段階ですが、この技術は有機性の廃棄物を利用することで、循環型経済の実現に貢献します。

詳細はEurekAlertkのニュースリリースをご覧ください。また研究内容の詳細は 2 月に発行された Polymer 誌に掲載されています。

セルロースナノクリスタルを使った紙のコーティング技術(2023年4月1日)

イスラエルの Melodea は、紙包装のバリア機能強化のために、セルロースナノクリスタル(CNC)を使ったコーティング技術を実用化しています。

包装技術を専門とするウェブサイト PACKAGING WORLD  に 3 月 27 日付で、バリア包装の新技術が 5 つ紹介されています。その中に Melodea, Ltd. の技術が紹介されていたので、概要をまとめました。

イスラエルを拠点とする Melodea, Ltd. は、紙包装のバリア強化のために、セルロースナノクリスタル(CNC)を使ったバリアコーティングを推進しています。そのうち、MelOx は、酸素、油、およびグリースの透過から、紙パッケージ製品を保護するように設計されています。もう1つの VB コートは、水蒸気の透過、油、グリースの浸透、および基材の吸水値を減らすことを目的としています。

詳細はPACKAGING WORLDの記事をご覧ください。