ナノセルロース ニュース 2021年5月

大王製紙、セルロースナノファイバーをレースに参戦する電気自動車に実装(2021.5.26)

大王製紙は、セルロースナノファイバーの事業化に向けた取り組みとして、米国レース第99回パイクスピークインターナショナルヒルクライムに参戦するモータースポーツチームSAMURAI SPEEDに協賛し、レース車両へCNF成形体 ELLEX-MとCNF樹脂ペレットELLEX-Rを実装することを5月25日にニュースリリースで発表しました。

CNF成形体 ELLEX-MはCNFとパルプ繊維を複合化した成形体で、 軽量かつ高強度というCNFの特徴を活かしたシート形状の高性能材料です。汎用プラスチック材料を大きく上回る力学物性を示し、熱特性にも優れています。NEDOプロジェクトなどで自動車用部品として開発されているCNFとプラスチックの複合材料とは異なるものです。CNF成形体は、ルーフ全体、フロントドア、リアドアに使用されます。

CNF樹脂ペレットELLEX-Rはポリプロピレン樹脂中のCNFを分散させ、補強したもので、従来のものに比べて樹脂中でのセルロース繊維の分散性、なじみ易さを改善し、力学物性はポリプロピレン樹脂の1.3~2.1倍となっています。既存の樹脂加工設備で容易に取り扱いできる樹脂ペレット形状です。今回はドアミラーに使用されています。

このレースは米国コロラド州のロッキー山脈にあるパイクスピークマウンテンで、標高差1,500m、全長約20㎞を一気に駆け上がるタイムトライアルレースで、SAMURAI SPEEDは市販電気自動車(日産リーフe+)をベースした車両で参戦します。

大王製紙ではレース車両への成形体、複合樹脂ペレット等CNF部材の実装を通じて、レースにおける耐久性を検証し、一般車両への展開にもつなげていく計画です。

詳しくは、大王製紙のニュースリリースをご覧ください。

スギノマシン、セルロースナノファイバー製造装置を生産する新工場が稼働(2021.5.26)

スギノマシンでは超高圧湿式微粒化装置「スターバースト」と、この装置を使ったナノセルロース「ビンフィス」の製造・販売を手掛けていますが、このほど同社早月事業所(富山県滑川市)内で建設を進めてきた新工場・微粒テストセンターが完成したことを5月25日にプレスリリースで発表しました。

延べ床面積は2,732㎡、一部2階建てで、技術研究棟、組立工場、テストセンターで構成されます。投資額は約15億円です。

同社の超高圧湿式微粒化装置「STAR BURST(スターバースト)​」は、超高圧に加圧した原料同士を超高速(マッハ4の相対速度)で衝突させることで、分散・乳化・粉砕・へき開等を行う装置です。ナノセルロースを製造するために必要なのは、原料と水だけなので、ナノセルロースのほか、電子部品材料、電池材料、半導体、顔料・塗料、医薬・化粧品原料など、幅広い用途で導入されています。

一方のバイオマスナノファイバー「BiNFi-s(ビンフィス)」​は、セルロース、キチン、キトサンを繊維が直径 10~20 nm 以下、長さ数µmのサイズへ微細化した自然由来の極細繊維素材です。高機能でサステナブルな素材として注目されており、樹脂や化粧品、顔料、塗料など様々な分野で研究と活用が進んでいます。

同社では新工場の建設により、1.5 倍の売上増加を見込んでおり、今後も、世界各国のニーズに迅速に対応し、高品質な商品を提供することのことです。

詳細はニュースリリースをご覧ください。

植物性セルロースエアロゲルの医療分野への適用可能性(2021.5.25)

スウェーデン王立工科大学(KTH)は、家庭用冷凍庫を使って、植物のセルロースからセルロースナノフィブリル(CNF)のエアロゲルを製造する技術を開発しました。

5月24日に科学技術分野の情報サイトScienceDailyに掲載された記事によりますと、プロセスの概要は次の通りです。まずCNFは水中でアルギン酸塩と混合され、続いて炭酸カルシウムが加えられます。これを冷凍庫に入れると水が氷に変わりこれらの成分が圧縮されて、凍結したハイドロゲルになります。次に凍結したハイドロゲルを冷凍庫から取り出し、アセトンに入れると、水分が除去されてすぐに蒸発するだけでなく、アセトンに少量の酸を加えると、炭酸カルシウム粒子が溶解しCO2 が放出されます。これによって残った材料が多孔質になります。さらに炭酸カルシウムが溶解することで、カルシウムイオンが放出され、アルギン酸とCNFが架橋し、エアロゲルに湿潤安定性と液体で満たされた後に、形状を回復する能力があります。この方法で作ったエアロゲルの密度は 1 立方メートルあたり 2kg まで下げることが可能です。空気の密度は 1 立方メートルあたり 1.23 kg で、エアロゲルの中で最も軽量です。この研究は、論文誌Materials Todayに掲載されています。

詳しい内容はScienceDailyの記事をご覧ください。

トヨタ車体、オンライン展示会でCNFで補強した射出材料を紹介(2021.5.22)

トヨタ車体は5月26日から7月30日にオンラインで開催される「人とくるまのテクノロジー展 2021」で、植物材料を用いた製品などを紹介することを5月21日にプレスリリースで発表しました。

それによると、脱炭素社会の実現に向け、同社が開発した植物材料(パルプ、間伐材を利用した木粉、セルロースナノファイバー)の性能紹介と、それらを成形加工した自動車部品などが紹介されます。

植物材料は、二酸化炭素を自身の中に取り込んで成長するため、脱炭素社会、サーキュラーエコノミーの実現に貢献する素材です。また、軽量で耐熱性に優れた性能を活かすことで自動車の機能向上に役立てることも可能とのことです。具体的には、

  1. TAB-PULP(タブパルプ):パルプモウルド吸音材
  2. TAB-BIO(タブバイオ):バイオポリエチレンを古紙パルプで補強した植物由来 100%の射出材料
  3. TABWD®(タブウッド):スギ間伐材を強化繊維として使用し、熱可塑性樹脂と組み合わせた難燃性射出材料。これまでランドクルーザーのフォグランプブラケットやアルファードハイブリッド車などのエンジンルーム内のワイヤーハーネスプロテクター、海外向けハイエースバッテリーキャリアに採用されている。
  4. TABCNF:セルロースナノファイバーで補強した射出材料

詳しくは、開会中の展示会のブースでご確認ください。

ナノセルロース国際会議TAPPI Nano 2021が6月15日から開催(2021.5.24)

世界最大のナノセルロースに関する国際会議TAPPI Nano 2021 International Conference on Nanotechnology for Renewable Materials が6月15日・16日の2日間、バーチャルで開催されます。

この国際会議は2006年から毎年開催されてきましたが、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となり、2021年はバーチャルで開催となりました。例年100件近い発表があり、会期も4日間でしたが、今回は発表件数は56件(基調講演、パネルディスカッション、学生によるポスター発表を除く)で、会期は2日間のみです。3つの講演が同時に行われ、ネットで配信される予定です。

開催時間は、米国東部標準時の午前11時~午後5時で、日本時間では翌日の深夜0時~午前6時となります。参加費はTAPPI会員/非会員、参加形態によって異なりますが、400~600米ドルとなっています。

公開されているプログラムをもとに、国別の発表者数を調べました。

フィンランド15、アメリカ9、カナダ7、スウェーデン5、フランス4、イギリス、日本、韓国各3、スイス2、中国、オーストラリア、オーストリア、チリ、マレーシア各1となっています。

なお日本からの発表は東京大学が2件、大王製紙が1件となっています。

セルロースナノファイバーに関する調査レポートの概要を矢野経済研究所が公表(2021.5.18)

シンクタンクの矢野経済研究所は5月13日に、2021年のセルロースナノファイバー(CNF)世界市場に関する調査結果の概要をプレスリリースとして公表しました。またその内容をMONOistなどの複数のサイトがウェブ上に掲載しています。

概要は次のとおりです。

・2020年のセルロースナノファイバー(CNF)世界生産量はサンプル供給を含め57tにとどまり、2021年も57~60t、出荷金額は53億7,500万円と横ばいから微増の見込み。市場規模は当初期待の10%程度に過ぎない。

・用途別の採用状況をみると、機能性添加剤用途は透明性や増粘効果、分散安定性、乳化安定性の高さやチキソ性など、他の材料には無いCNFならではの特性がユーザー企業(需要家)から評価されており、ユーザーが「CNFを選ぶ理由」も明確である。少量添加で高い効果が得られるため、既存製品との価格差はさほど問題にはならないケースも多く、採用例も着実に増えて来ている。

・ただし機能性添加剤用途では使用量が少量であるため、CNFでまとまったボリュームの需要を確保するためには重量あたりのCNF配合率が10~20%と使用量の多い複合樹脂での採用が望まれる。ただ、樹脂複合化用途では材料の価格が製品のコストに直結する。現状ではCNFはガラス繊維や無機フィラーなどと比べて価格が高く、これが採用が広がらない要因の一つとなっている。

・CNFと競合材料との価格差を凌駕する「採用の必然性」の訴求力が問われる。パルプを数十~数百µm程度のサイズに解繊したセルロース繊維が市場投入されている。強度や耐衝撃性などはCNF強化樹脂には及ばないものの、単体の樹脂に比べて引張強度や曲げ強度、曲げ弾性率、荷重たわみ温度などの物性は向上するため、樹脂強化目的であればセルロース繊維で十分であるとの見方もある。

・CNFはこれまで、日本発の新しい高機能材料としてワールドワイドでの需要拡大が期待されてきたが、このままでは市場が本格的に確立する前に「高性能だが高価でニッチなガラパゴス」な材料になる懸念も否定できない状況となってきた。これを回避するためには、ユーザーに対して、競合材料ではなくCNFを採用する必然性を示す必要があると考える。

なお、この内容に対する当サイトの見解は次の通りです(ご参考)。

  • セルロースナノファイバー(CNF)以外のナノセルロース、具体的にはセルロースナノクリスタル(CNC)、バクテリアナノセルロース(BNC)についての触れられていないのは残念です。
  • CNFは日本発の新しい高機能材料でも何でもありません。日本よりも先に、北米、欧州で生産されていました。また日本で生産されたCNFをワールドワイドに使用する可能性はあるとは考えていません。
  • 別の意味で「ガラパゴス」化していると考えています。世界的に見て、日本だけ別の方向に向かっているように思います。

これら点については、別の機会に詳しくご紹介したいと思います。

ドリアンの殻のセルロースハイドロゲルで抗菌ゲル包帯を開発(2021.5.11)

シンガポールの南洋工科大学(Nanyang Technological University, NTU)は、ドリアンの廃棄された殻を使用して抗菌ジェル包帯を作りました。

まずドリアンの殻からセルロースを抽出し、それにバイオディーゼル生産における副産物であるグリセロールを加えることで、シリコンシートに似た軟らかいゲルをつくります。そしてパン酵母から生成されたフェノール類を加えることで、抗菌性を付与しています。このゲルはグラム陰性大腸菌、グラム陽性黄色ブドウ球菌などの細菌の増殖を防ぎます。動物の皮膚を使った実験では、48時間まで良好な抗菌効果を示しました。またこのゲルはウェアラブルで、柔軟性、伸縮性のある電子機器にも使うことができます。

ドリアンの60%を占める殻は廃棄され、焼却されるため、環境問題の原因になります。シンガポールでは、年間14,300トンのドリアンが消費されています。ドリアンを使った抗菌ゲル包帯は、無毒で生分解性があるため、従来の合成包帯よりも環境フットプリントが小さいことが特徴です。

ハイドロゲル包帯はすでに発売されており、薬局で​​購入することができます。絆創膏やガーゼ包帯を使用すると乾燥するため、傷跡が大きくなりますが、ハイドロゲルを使うと、過剰な瘢痕組織の形成を最小限に抑え、傷跡を柔らかく平らにします。しかし既存製品は原料にポリメタクリレートやポリビニルピロリドンなどのポリマーが使われ、また抗菌性を付与するために銀イオンや銅イオンなどの金属化合物が使われます。生物医学的用途での使用が承認されているこれらの合成材料は、通常のものよりより高価です。これに対して今回開発したハイドロゲルは、廃棄物であるドリアンの殻とグリセロールを使用し、生分解性があることが大きな違いです。なお創傷被覆材には年間114億ドルの市場があるといわれています。

詳しい内容は、NTUが3月25日に出したプレスリリースをご覧ください。

(注)セルロースはナノレベルまで解繊されていないと考えられます

アルバータ大学でCNCの効率的な生産プロセスの研究が進む(2021.5.8)

カナダのアルバータ大学で、従来技術よりもセルロースナノクリスタル(CNC)を効率よく作るとともに、エタノールの生産も行うことができるプロセスの開発が進められていることが、カナダのコミュニティーニュースサイトTroy Mediaに5月7日に掲載されました。

セルロースには、セルロースが密に詰まった結晶領域と緩く詰まった非晶領域がありますが、結晶領域からCNCを、非晶領域からバイオエタノールの原料となるグルコースを効率よく生産するための、酵素による前処理法を開発したとのことです。その結果、CNCの生産量が2倍になりました。さらにこの方法では、CNCとバイオエタノールの生産が可能なため、製造者はそれぞれの需要に合わせて、生産比率を調整することが可能です。

エタノールの製造には、植物ベースの廃棄物である、トウモロコシ作物、木材チップ、おがくずの使用できない部分が使われます。

さらにグルコースを効率よくエタノール発酵させる技術も開発しています。自己循環発酵プロセスという名のプロセスは、高レベルのエタノールを生産するとき、細胞が無期限に成長することを可能にします。従来のバッチプロセスとでは、機器のクリーニングとリセットのために時間が必要ですが、このプロセスはそれが不要です。これにより、細胞が何も生成しない時間を最小限に抑えることができます。研究結果は、自己循環発酵が37~75%改善効果があることを示しています。

研究者たちは続いてアルバータ州のInnoTech Alberta の研究施設を使ってフィールドテストを行い、さらにグルコースとCNCの生産効率の向上を目指す予定です。

詳しい内容はTroy Mediaの記事をご覧ください。

Rayonier Advanced Materials(RYAM)がCNCを製造するAnomeraへ追加投資(2021.5.6)

高純度のセルロース製品やフィルター、食品、医薬品向けのセルロースを製造するRayonier Advanced Materials(アメリカ・フロリダ州)は、独自技術でカルボキシル化セルロースナノクリスタル(CNC)を製造するAnomera(カナダ・モントリオール)に追加投資することを、5月5日付のプレスリリースで発表しました。

RYAMは2017年からAnomeraに投資しており、3月27日時点での投資額は800万ドルで、44%の議決権を持っています。投資には現金と現物サービスの両方を含んでいます。今後5年間のさまざまな時期に追加投資を行い、セルロース技術プラットフォームを拡大する予定です。

一方Anomeraは、RYAMの高純度セルロースから特許を取得した独自技術でCNCを製造しています。AnomeraのCNCは、化粧品やパーソナルケア製品に使用されるプラスチックやシリカのテクスチャリングパウダーの生分解性代替品であるChromaPur™マイクロビーズなど、さまざまな素材に変換できます。またカルボキシル化CNCであるDextraCel™は、セメント、複合材料、接着剤、農業、医療、製薬、ライフサイエンス分野で、使用が可能です。さらに染料分子に結合するCNCであるChromAllur™は、化粧品およびコーティングのカラー顔料のための新しい生分解性材料を提供します。

なおAnomeraは、英国を拠点とする世界的な化粧品メーカーであるCrodaと、化粧品およびパーソナルケアのChromaPur™製品の世界的な健康および美容分野における販売契約を締結しています。Crodaは、健康と美容、エンジン潤滑油、プラスチックなど、さまざまな製品にメリットをもたらす特殊化学品の作成、製造、販売のリーディングカンパニーで、世界中に戦略的に配置された販売、カスタマーサービス、研究開発施設で、年間10億ドルのパーソナルケアおよび化粧品原料を製造・販売しています。

詳しい内容は、プレスリリースをご覧ください。

バクテリアナノセルロースの上に微細藻類を印刷する(2021.5.6)

オランダのデルフト工科大学とロチェスター大学の研究チームは、3Dプリンターを使って、バクテリアナノセルロース(BNC)のシート上に微細藻類を印刷することに成功しました。研究成果はAdvanced Functional Materialsに掲載されています。デルフト工科大学のニュースリリースに4月27日に掲載されたあと、多数のメディアが自社のウェブサイトで紹介しています。

BNCはプリンターの紙のようなものですが、生きている微細藻類はインクとして機能します。研究チームは3Dプリンターを使用して、生きている微細藻類をBNCに堆積させました。生きている成分と生きていない成分の組み合わせにより、微細藻類の光合成機能とBNCの堅牢性を備えたユニークな素材が生まれました。素材は丈夫で弾力性があり、環境に優しく、生分解性があり、シンプルでスケーラブルに製造できます。材料の植物のような性質は、光合成を使用して何週間にもわたってそれ自体を養うことができ、再生させることもできます。

この素材は人工葉や光合成ができるTシャツなどの新製品や、感覚応答素材など、さまざまな用途に使えます。人工葉は、太陽光を利用して、水と二酸化炭素を酸素とエネルギーに変換するという点で、実際の葉を模倣した材料です。葉はエネルギーを化学的な形で糖として貯蔵し、それを燃料に変換することができます。したがって人工葉は、宇宙のコロニーなど、植物がうまく成長しない場所で持続可能なエネルギーを生み出す方法を提供します。有毒な化学的方法を使用して生産されるほとんどの既存の人工葉技術とは対照的に、この人工葉は環境に優しい材料から作られています。

持続可能な方法で製造されることに加えて、材料中の生細胞は、環境内の手がかりを感知して応答するために使用でき、最終的には新しい光合成および応答性のある生体材料の開発を可能にします。

さらに詳しい内容は、デルフト工科大学のニュースリリースをご覧ください。

ナノセルロースを絶縁性インクの材料として使用する(2021.4.30)

電子機器へのニーズは今後ますます高まることが予想されますが、現在使われている半導体は使用後に有害な廃棄物が発生し、リサイクル可能ではありません。デューク大学の研究チームは、リサイクル可能なカーボンエレクトロニクスの実現を目指して、紙に印刷され、使用後に完全にリサイクルできる、カーボンナノマテリアルインクで書かれたデバイスを開発しています。

電気・情報工学分野の学術研究団体IEEEが運営するウェブサイトIEEE Spectrumに4月28日に掲載された記事によりますと、このデバイスでは、薄膜トランジスタの3つの主要な要素である半導体、導体、絶縁体すべてにカーボンインクを使用しています。半導体および導電性インクは、既製のカーボンナノチューブとグラフェンから作られました。特筆すべき点は、新しい絶縁体インクをナノセルロースから作ったことです。ナノセルロースは木材パルプから作られた生分解性材料で、資源量は豊富にあります。すでに食品包装、化粧品、木製品などに使用されており、ナノセルロースのシートは電子機器の絶縁体としても使用されています。

リサイクル可能なカーボンエレクトロニクスは、既存の半導体に取って代わるものではなく、今後ますます広がる電子機器へのニーズに対応するものです。人々はますます多くのデータを収集するために、そのデータをキャプチャするためのより多くのセンサーを必要としています。農業用センサーであれ、医療用センサーであれ、環境センサーであれ、あらゆる場所で電子機器へのニーズが高まっています。

このセンサーは役目が終わると、新しいデバイスに作り直すことができます。頑丈で高性能なデバイスは数か月間使用でき、最後に分解して炭素材料を回収できるため、印刷に再利用できます。現在、このデバイスのアプリケーション開発も進められています。

詳しい内容は、IEEE Spectrumの記事をご覧ください。

CNCをフィルターにコーティングすることで大腸菌が死滅(2021.4.29)

ブラジルのセアラ連邦大学Universidade Federal do Ceará (UFC)が、水処理に用いるフィルターをセルロースナノクリスタルでコーティングすることで、大腸菌 E. coliによる汚染を最大90%減少できる技術を見出したことを、ブラジルのニュースサイト tempo.com が4月27日に報じました。

この研究はカンピーナス大学とフロリダ大学との共同で行われたものです。大腸菌による飲料水の汚染は、水道が整備されていない地域では一般的で、胃や腸の感染症の主な原因となっています。細菌は人間の健康に明らかなリスクをもたらすだけでなく、ろ過中に使用される膜に細菌が付着して蓄積する「バイオクラスト」と呼ばれるプロセスを通じて、水ろ過システムを破壊することも知られています。このように、水からバクテリアを排除することは、人々の健康だけでなく、より効率的で長持ちする水処理装置にもメリットがあります。

この研究は、CNCが大腸菌と接触したときに与える影響に基づいています。CNCはとげに似た構造をしているため、細菌の細胞膜に穴を開け、物理的に接触するとそれらを破壊することができます。このように、材料はバクテリアの蓄積からフィルターを保護するだけでなく、水を消毒します。

殺菌プロセスは化学物質によるものが大半ですが、CNCを用いるこの方法は微生物に物理的なストレスを与えることによって効果を発揮します。一般的なフィルターと比較して、CNCでコーティングされたフィルターは、E. coliによる汚染率の最大90%の減少を記録し、優れた結果と見なされました。

セルロースは、紙の製造に使用されることが知られている材料です。自然界に豊富にあり、人工的ではなく、葉、繊維、植物の幹から簡単に入手できます。これによりCNCをより簡単かつ安価に製造するプロセスが可能になり、環境への影響は最小限に抑えられます。

詳細は、tempo.comの記事ご覧ください。

ナノセルロースが食品の消化を遅らせ、長く満腹感を感じるようにする(2021.4.24)

ジョージア大学(University of Georgia, UGA)のウェブサイトの中のUGA Todayに掲載された記事によりますと、人工胃モデルを構築して人間の消化プロセスを研究している同大学のFanbin Kong教授は、木材パルプから製造された新しいナノ材料であるナノセルロースが、人間の消化管でどのように変化し、食物の消化・吸収にどのような影響を与えるかを調べています。

初期段階で、一部のナノセルロースが胃の中でゲル状の物質を生成し、他の食品の消化を遅らせ、人々がより長く満腹感を感じるようにする可能性があることがわかりました。これはダイエットに効果がある可能性があるということです。

ただ研究は現在も継続中で、食品添加物としてのナノセルロースの毒性については、いま調べているところです。現在Kong教授は、UGAの獣医学部、農業環境科学部と共同で、ナノセルロースを使って食品の消化を遅らせ、長く満腹感を感じるようにするための研究を行っています。

なおこの研究は米国農務省の助成金を受けて、行われています。

詳しくは、UGA Todayの記事をご覧ください。

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