- 1 セルロースを有効利用するための新しい技術の開発がフィンランドで進む(2021.3.30)
- 2 バイオプラスチックを木質廃棄物から製造する新しい方法(2021.3.26)
- 3 セルロースナノファイバー材料の強度を電圧で調節する(2021.3.25)
- 4 ナノセルロースなどのバイオマスマテリアルの開発を行う新会社を横河電機が設立(2021.3.23)
- 5 セルロースナノファイバーを使用した生コン付着防止コーティング剤をタケ・サイトが発売(2021.3.23)
- 6 ナノセルロースが航空機産業で使用が検討される(2021.3.20)
- 7 セルロースナノクリスタル(CNC)を使って超低温で作動するスーパーキャパシタを開発(2021.3.16)
- 8 フィリピンでセルロースナノクリスタル(CNC)の製造が始まる(2021.3.16)
- 9 セルロースナノファイバー複合樹脂を使ったスプーン・ナイフ・フォークの販売を開始(2021.3.11)
- 10 バクテリアナノセルロースを使ったマスクをベトナム企業が商品化(2021.3.11)
- 11 バクテリアナノセルロースの膜で水と油を分離(2021.3.9)
- 12 セルロースナノクリスタルを使って軽量の耐火性プラスチックを作る(2021.3.5)
- 13 セルロースナノクリスタルを木材の強度向上に使用する(2021.3.5)
- 14 セルロースナノクリスタルを麻の茎から作り化粧品のベースに(2021.3.3)
- 15 バクテリアナノセルロースとHPMCから作る食品包装フィルム(2021.3.2)
セルロースを有効利用するための新しい技術の開発がフィンランドで進む(2021.3.30)
繊維業界の専門ウェブサイトInnovation in Textilesが3月29日付でこの内容を報道していますので、セルロースに関係する部分を紹介します。
- Spinnova
パルプや木質廃棄物から取り出したセルロースを電界紡糸して、従来の化繊や綿に代わる木質由来の繊維を製造する技術を保有している。世界最大の木材パルプ生産会社であるSuzanoから、フィンランドに最初の商業規模のSpinnova生産施設を建設するために、2,200万ユーロの投資を受けています。 - Ioncell
使用済みの繊維、パルプ、さらには古い新聞を持続可能な方法で新しい繊維に変えるアールト大学の技術。 - ShimmeringWood
ファッション業界で使用される有毒な顔料やプラスチックベースの材料の持続可能な代替品として、ナノセルロースの薄層から色を作成する。日光で色落ちしない。アールト大学が開発した。 - NordShield
バクテリア、ウイルス、真菌を不活化するセルロース由来の天然抗菌溶液。 - Coverossテクノロジー
日本で最初に開発され、現在はフィンランドでのアップサイクリングに適応している、テキスタイルのさまざまな機能的処理。 - ResterOy
フィンランドのパイミオに本拠を置く新しいリサイクルプラントで、年間12,000トンの使用済み繊維をリサイクルする能力があります。その2つの生産ラインは、建設および海運業界向けの絶縁材料、音響パネル、ジオテキスタイルなど、さまざまな産業用途向けに廃棄物をリサイクル繊維に変えます。フィンランドの作業服ブランドTouchpointによって開発されたプロセスで、このプラントに出資しています。 - Woodly
セルロース製のカーボンニュートラルなバイオベースのプラスチックで、アパレルパッケージの従来の化石ベースのプラスチックの代わりに使用できます。 - RePack
再利用可能なパッケージング、返品ロジスティクス。すでに150を超えるアパレルブランドと小売業者がヨーロッパと北米での単回配達から離れるのに役立っています。
詳しい内容は、Innovation in Textilesの記事をご覧ください。
バイオプラスチックを木質廃棄物から製造する新しい方法(2021.3.26)
また数多くの科学技術情報サイトがこれを引用した記事を掲載しています。それによると、木粉をDESで分解すると、再生リグニンとセルロースマイクロファイバー(CMF)とセルロースナノファイバー(CNF)の間の繊維がナノスケールで絡み合い、さらに水素結合で結合することで、高い固形分と高い粘度を持ち、壊れることなく鋳造および圧延することができるプラスチックが得られたとのことです。きわめて簡単なプロセスで、十分な機械的強度を持つ材料です。しかもこのバイオプラスチックのシートは土壌中で2週間後に破砕し、3か月後に完全に劣化しました。さらに、このバイオプラスチックは機械的攪拌によってスラリーに分解できるため、DESを回収して再利用することもできるとのことです。 この研究は、Nature Sustainabilityに掲載されました。
詳しい内容はYale Universityのウェブサイトをご覧ください。
セルロースナノファイバー材料の強度を電圧で調節する(2021.3.25)
それによると、スイッチを押して材料に電流を流すと、ナノペーパーは柔らかくなります。電流が止まると、強度を取り戻します。この切り替え可能性は制振材に利用できる可能性があります。この研究はもともと、ナマコの防御機構をヒントにしたものです。ナマコは捕食者に襲われると、組織を順応させて強化し、柔らかい外観がすぐに硬くなります。研究では木質から抽出・処理されたセルロースナノフィブリル(=セルロースナノファイバー、CNF)を使用しています。これは標準的な紙のマイクロファイバーよりもさらに細く、完全に透明な、ほぼガラスのような紙になります。素材は硬くて丈夫で、軽量です。その特性は、アルミニウム合金の特性にも匹敵します。電流を流すことで、可逆的架橋点が破壊され、材料が柔らかくなると考えられます。印加電圧に比例して材料が軟化します。つまり電圧が高いほど、より多くの架橋点が破壊され、材料が柔らかくなります。
詳しい内容は、Phys.Orgの記事をご覧ください。
ナノセルロースなどのバイオマスマテリアルの開発を行う新会社を横河電機が設立(2021.3.23)
新会社では、化石資源に由来する化学製品や材料などの代替として使用できる、ナノセルロースやリグニンモノマーなどの高付加価値な植物由来のバイオマスマテリアルの開発と商業化に注力し、持続可能な炭素循環の実現を目指します。また横河電機のIndustrial Automation業界における長年の経験を活かして、自社において高効率の抽出技術および製造工程や設備を開発し、化学、食品や製薬業界をはじめとする多くのお客様にバイオマスマテリアルを提供します。
詳しい内容は、同社のプレスリリースをご覧ください。
セルロースナノファイバーを使用した生コン付着防止コーティング剤をタケ・サイトが発売(2021.3.23)
「オビス」はコンクリートポンプ車のホッパー部分に生コンクリートが付着するのを防ぐコーティング剤です。従来のコンクリートポンプ車剥離剤は、廃棄作動油や軽油、グリスなどをホッパーに塗布または噴霧することで使用されていました。剥離剤を塗布したのち、打設初期においては、先行水がホッパーに投入されるため、剥離剤由来の大量の油脂と先行水が混ざり合います。この状態で生コンを圧送すると、打設打ち継ぎ面に油膜を形成してしまうため、施工品質と現場環境の両方に問題がありました。「オビス」はこの問題を解決するために誕生した製品で、次のような特徴があります。
- 油系ではないので現場環境を汚染しません。特に汚染が許されない現場や海上打設といった油を特に嫌う現場では特に有効です。
- 油系ではないでので、水で簡単に落ちます。
- CNFを用いる事でチキソ性が付与されており、従来の油系のように液ダレしません。
- CNFと生コンスラッジの複合効果により、塗布後は直ぐに乾燥し強固な付着防止膜を形成します。
- 油系材料に比べ、生コンに混ざった場合に生コンの品質に与える影響が極小です。
詳しい内容は、同社のウェブサイトをご覧ください。
ナノセルロースが航空機産業で使用が検討される(2021.3.20)
内容は、ナノテクノロジーが航空機産業にどのようなイノベーションをもたらすのか、についてのインタビュー記事ですが、その中でナノセルロースの利用について、触れられた部分は次の通りです。
- セルロースナノクリスタルを使ったフィルター
セルロースナノクリスタルには、防臭性があり、これらのタイプの材料を使用するフィルターがあります。それらはHEPAフィルターと同じように機能しますが、より優れています。臭気に関しては、細菌のような臭いを発生させる可能性のあるものを殺します。またこれ以外にも、ナノスケールフィルターの戦略もあります。 - 窓ガラス
明日の航空宇宙ナノ材料も有機的で生分解性である可能性があります。ナノセルロースは廃材またはさまざまな植物材料から作ることができ、強度は非常に高いのに軽量です。それらは、カーボンナノチューブベースの複合材料で耳にするものと似ていますが、ナノセルロースです。ナノセルロースは興味深い光学特性を持っています。高強度で透明な鎧のような、軽量の防弾窓を作ることができるため、多くのアプリケーションへの適用が検討されています。
その他の内容については、Aircraft Internationalの記事をご覧ください。
セルロースナノクリスタル(CNC)を使って超低温で作動するスーパーキャパシタを開発(2021.3.16)
UC Santa Crus(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)のウェブサイトのUniversity Newsに3月10日に掲載された記事によりますと、この研究は同校の化学・生化学の教授であるYat Li教授らの研究グループによるもので、得られた材料は、格子状構造の500µmの細孔から、格子のバー内のナノメートルサイズの細孔まで、複数のレベルの細孔を持っていました。このマルチスケール多孔質ネットワークは、-70 Cの電極を介した適切なイオン拡散と電荷移動を維持し、低温スーパーキャパシタとして以前に報告されたよりも高いエネルギー貯蔵容量を実現しました。地球の極地や、月や火星などの宇宙空間は極寒の環境であるため、ここを探索するには、超低温で電気を迅速に貯蔵して供給することができる技術が必要です。NASAが火星探査で使用しているシステムでは、バッテリーが凍結しないようにするため、ヒーターを使っていますが、ヒーターを使うことで重量が増え、一定の電力を必要とするため、超低温で作動するキャパシタにはニーズがあります。
なおこの研究は、米国エネルギー省の資金を使って、同校とUCMercedなどの共同で行われたものです。
詳しい内容は、同校のNewsをご覧ください。
フィリピンでセルロースナノクリスタル(CNC)の製造が始まる(2021.3.16)
同社はフィリピンを拠点とするテクノロジー企業であり、すでにナノコンポジットポリマーや、積層造形または3D印刷技術によるナノ構造材料製品の開発サービスを提供しています。CNCの用途については報道されていませんが、同社がすでに製品として販売しているナノコンポジットポリマーに使用されるものと思われます。
セルロースナノファイバー複合樹脂を使ったスプーン・ナイフ・フォークの販売を開始(2021.3.11)
見た目はプラスチックと同じですが、生分解性プラスチックにセルロースナノファイバー(CNF)と石を使った成分を添加材として入れることで、弱点といわれていた強度、耐久性、成形性などを克服した新素材、NANO SAKURAを使っています。
以前は飲食店のテーブルの上に当たり前のように置いてあったカトラリー類は、コロナ禍で姿を消し、使い捨てのよさも見直されています。一方で温室効果ガス排出抑制の観点から、プラスチックを使った容器や袋を減らす動きもあります。この商品はこの2つのニーズにこたえることができるものです。なお楽天市場Nano Sakura Shopで、スプーン・フォーク・ナイフのセットを150円(税込)で販売しているとのことです。
バクテリアナノセルロースを使ったマスクをベトナム企業が商品化(2021.3.11)
ベトナムのSai Gon Giai Phong ONLINEに3月11日に掲載された記事によると、この製品は、ニキビ治療後、肌を育み、深く保湿するために必要な栄養素を提供するために、新しい材料技術を実装しています。また肌の老化を防ぐのにも役立ちます。同等の製品と比較したこの製品の利点は、そのベースが、バクテリアセルロース(BNC)から作られていることです。したがって、それは非常に弾力性があり、すべての肌タイプに適しています。
詳しい内容は、Sai Gon Giai Phong ONLINEの記事をご覧ください。
バクテリアナノセルロースの膜で水と油を分離(2021.3.9)
同大学のウェブサイト、NC State Newsに3月8日に掲載された記事によりますと、まずBNCを作るために酢酸菌を培養し、そのあと、酢酸菌とセルロース以外の物質を除去しました。膜は非常に丈夫で、親水性がありますが、油に対しては反発効果がありました。油と水を高度に混合した場合でも、水だけを分離することができました。この結果は、繊維染料で汚染された水をきれいにするためであれ、環境修復のためであれ、油性混合物から水を回収する必要がある状況で、この素材が使える可能性があることを示しています。
詳しい内容は、NC State Newsの記事をご覧ください。
セルロースナノクリスタルを使って軽量の耐火性プラスチックを作る(2021.3.5)
モンタナ州立大学のウェブサイトのMSU Newsに3月4日に掲載された記事によりますと、同大学では米国国立標準研究所(NIST)から22万ドルの助成金を受けて、CNCをポリマーに混和する方法を開発しています。通常のプラスチックは、火や非常に強い熱にさらされると燃焼する可能性がありますが、酸化亜鉛でコーティングしたCNCをポリマーに混ぜると、炎の広がりを防ぐことができます。従来の耐火性ポリマーは粒子が大きいため重くなりますが、CNCの添加によって軽量化が可能です。このプラスチックの主な用途は自動車産業ですが、住宅用サイディングや耐火性が必要な耐久消費財への適用を検討していくとのことです。
詳しくは、同大学のウェブサイトをご覧ください。
セルロースナノクリスタルを木材の強度向上に使用する(2021.3.5)
手順は、まず木材の細孔を詰まらせている可能性のある樹脂を溶解するため、化学溶剤で木材を処理します。次に木材を気密チャンバーに入れ、真空にして化学溶剤を吸引します。最後にCNCを注入すると、それが細孔に詰め込まれて固化します。予備実験の結果、剛性が2倍になり、構造強度が40%増加したことが確認されました。さらにCNCを木材に効率よく浸透させるために、高周波を使用するなどの新しい技術をさらにテストするために、米国農務省から助成金を獲得しました。CNCによる処理は、木材の強度を高めるだけでなく、1本の木の中でも木材が持つ自然のばらつきを減らすのに役立つ可能性があります。また間伐材のように、従来は構造材として使用できなかったものを、構造材として使用できるようになる可能性があります。詳しくは、同大学のウェブサイトをご覧ください。
セルロースナノクリスタルを麻の茎から作り化粧品のベースに(2021.3.3)
Cosmetics Design Asiaに3月2日に掲載された記事によりますと、麻のCNCから作られたこの化粧品では、一般的に使用される鉱油や酸化チタンを使っていないため、ふき取りの際に必要な強力なクレンザーが不要で、過度の洗浄によって引き起こされる皮膚バリアの損傷を回避することができます。
麻ベースのファンデーションと従来のファンデーションを人間の皮膚に塗って、綿のパッドだけで拭きとりをした場合、麻ベースのファンデーションの方が、皮膚上の残留物が少ないという結果が得られました。従来のファンデーションは成分が真皮または第2の皮膚層に浸透し、損傷する危険性があります。ただ綿のパッドによる拭き取りだけでは、麻ベースのファンデーションも、皮膚の表面に残りました。
ヘンプシードオイルやヘンプフラワーからの抽出物は、化粧品や健康製品に広く使用されています。また、他の植物から作られたナノセルロースは、化粧品の原料としてでますます一般的になりつつあります。四川大学の研究は、麻の成分を健康と美容の分野の活用を広げる可能性があります。
詳しい内容はCosmetics Design Asiaの記事をご覧ください。
バクテリアナノセルロースとHPMCから作る食品包装フィルム(2021.3.2)
ウェブサイトIntelligent Livingに2月28日に掲載された記事によりますと、HMPCマトリックスにBNCを充填して、その特性を強化することで、機械的強度が高く、ガス透過性の低いフィルムを作ることができたとのことです。原料のBNCは、パラナ州で創傷被覆材バイオフィルムを製造しているSeven Indústriade Produtos Biotecnológicosから入手しています。入手したBNCの廃棄物を粉砕して粉末にし、硫酸で加水分解し、BNCのセルロースナノクリスタル(CNC)懸濁液を作ります。これを水で希釈したHPMCと混合して得たフィルム形成分散液を基板上に堆積させると、24〜48時間後、溶媒が蒸発して、HPMCのみのフィルムよりも強固でガス透過性の低いフィルムができ上ります。BNCの添加によっても、HPMCの透明度は変わりません。しかしこの材料は水を吸収するため、今のところパッケージングでの使用に制約があります。
詳細は、同サイトの記事をご覧ください。