ナノセルロース、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)、バクテリアナノセルロース(BNC)に関する、国内・海外の最新ニュースを掲載しています。
こちらは 2026 年 7 月以降に報道されたニュースを、日付が新しいものから順に掲載しています。新しいニュースは適宜追加しています。
- 1 あいち産科技センターと地元企業、伝統工芸品の絞り染めにCNFで抗菌加工(2026 年 10 月 1 日)
- 2 エルサレム・ヘブライ大学、CNCと氷から高強度の新素材を開発(2026 年 9 月 28 日)
- 3 中越パルプの CNF が 3Dプリンター用フィラメントに採用(2026 年 9 月 25 日)
- 4 中越パルプの CNF を使った腕時計用バンドがカシオの新機種に採用(2026 年 9 月 17 日)
- 5 独 BIOWEG社、欧州最大規模の BNC 工場を建設へ(2026年9月12日)
- 6 中越パルプの竹由来 CNF がシャンプーの原料に採用(2026 年 9 月 3 日)
- 7 インドの大学、銀ナノ粒子とBNCを含む生体複合創傷被覆材を開発(2026 年 9 月 1 日)
- 8 米陸軍、ニトロセルロース不足対策として BNC の研究に着手(2026 年 8 月 24 日)
- 9 韓国 Moorim、CNFを使った農作物の凍結保護剤の開発を推進(2026 年 7 月 24 日)
- 10 アトラックラボ、CNF を機体材料に採用したドローンを開発(2026 年 7 月 22 日)
- 11 ニュージーランドでビール粕をナノセルロースに変換(2026 年 7 月 20 日)
- 12 フィンランドでナノセルロースを用いたキャパシタを開発(2026 年 7 月 20 日)
あいち産科技センターと地元企業、伝統工芸品の絞り染めにCNFで抗菌加工(2026 年 10 月 1 日)
あいち産業科学技術総合センターは、愛知絞販売(屋号:絞りの久田、名古屋市緑区)、水野金属商事(名古屋市東区)と共同で、愛知県の伝統工芸品である絞り染めである有松・鳴海絞に抗菌加工を行う技術を開発し、製品化しました。
愛知県のホームページに 9 月 30 日に掲載されたプレスリリースによりますと、有松・鳴海絞は、400 年以上の歴史を持つ絞り染めで、糸で生地を括る、縫う、巻くなど、100 種類を超える多彩な絞り技法があり、立体的な模様(凹凸(しぼ))による、涼しくやわらかい独特の風合いと模様が生まれます。
この抗菌加工技術では、銅の微粒子とセルロースナノファイバー(CNF)の水分散液を抗菌剤として使っています。この抗菌剤は綿への親和性が高く、糸抜き前の綿生地に容易に吸収されます。また、高温での乾燥が不要で、日陰干し乾燥だけで抗菌加工を施すことができます。この結果、熱による立体的な凹凸(しぼ)の損失を抑え、絞り独特の風合いを保った抗菌性有松・鳴海絞製品を実現しました。
その結果、洗濯したときの生乾き臭・汗臭の原因菌を抑制し、50 回洗濯しても効果が続く、高い抗菌耐久性を実現しています。さらに石油化学製品のバインダーを使わずに、綿本来の吸水性と肌触りをキープしています。
詳細は愛知県のプレスリリースをご覧ください。
写真はプレスリリースより引用させていただきました。

エルサレム・ヘブライ大学、CNCと氷から高強度の新素材を開発(2026 年 9 月 28 日)
エルサレム・ヘブライ大学の研究者らは、コンクリートと同等の強度、氷の 10 倍の強度を持つ独自の複合材料を開発しました。BioPykrete(バイオピクリート)と呼ばれるこの革新的な素材は、極寒地での建設工事に革命をもたらす可能性があります。
ウズベキスタンのニュースサイト ZAMIN が 9 月 27 日に伝えた内容を要約します。
第二次世界大戦中、科学者たちは氷と木材セルロースを混合したPykrete(ピクリート)と呼ばれる材料の実験を行いました。この混合物は通常の氷よりも強度が高く、融解速度も遅いことが証明されています。
今回の新素材では、CNC(セルロースナノクリスタル)が用いられています。水の凍結過程において、CNC は氷の構造内に独自の三次元ネットワークを形成します。その後、氷と CNC をしっかりと結合させる特殊なタンパク質を添加します。このタンパク質は、材料のさまざまな部分をしっかりと結合させる独自の分子接着剤として機能します。
バイオピクリートの圧縮強度は、通常の氷の約 10 倍で、コンクリートに匹敵するレベルに達しています。またこの材料は瞬時に砕けるのではなく、変形して大量のエネルギーを吸収してから破壊されます。
バイオピクリートは将来、北極や南極といった遠隔地での建設工事に利用する計画です。こうした寒冷地にコンクリートや鉄鋼などの重厚な建設資材を輸送するのは手間と費用がかかります。バイオピクリートの原料は水と植物セルロースなので、極寒地での仮設構造物の建設において、環境に優しい代替材料となる可能性があります。
詳細は ZAMIN の記事をご覧ください。
中越パルプの CNF が 3Dプリンター用フィラメントに採用(2026 年 9 月 25 日)
中越パルプ工業は、竹由来のセルロースナノファイバー(CNF) nanoforest® が、3D プリンター用フィラメントに採用されたことを、24日、プレスリリースで発表しました。
採用したのはホッティーポリマー株式会社(東京都墨田区)で、ゴム・プラスチックの押出成形によるシール・ガスケット製品を主力として製造・販売している会社です。両社は、ポリプロピレンに CNF を配合することで、引張弾性率および耐熱性を向上させ、成形収縮率を改善した 3D プリンター用フィラメントを開発しました。このフィラメントは、熱で溶かした樹脂をノズルから押し出して積層する方式で用いられ、大型造形品の製造にも対応可能です。
詳細は、同社のプレスリリースをご覧ください。
中越パルプの CNF を使った腕時計用バンドがカシオの新機種に採用(2026 年 9 月 17 日)
中越パルプ工業は、竹由来のセルロースナノファイバー(CNF) nanoforest® を使った腕時計用バンドが、カシオ計算機株式会社のアウトドアウォッチ PRO TREK®(プロトレック)のデュラソフトバンドに新機種に採用されたことを、16日、プレスリリースで発表しました。
腕時計用バンドは、樹脂・ゴムに分散しやすい粉末状 CNF nanoforest®-PDP をゴム素材に練り込んだもので、装着性と耐低温・高強度のタフネスの機能性を両立させています。
詳細は、同社のプレスリリースをご覧ください。
独 BIOWEG社、欧州最大規模の BNC 工場を建設へ(2026年9月12日)
ドイツの BIOWEG 社は、3500万ユーロの資金援助を受け、欧州最大規模のバクテリアナノセルロース(BNC)の生産工場の建設することを、複数のメディアが報じました。
それによりますと、工場はドイツ西部の Nordrhein-Westfalen (ノルトライン・ヴェストファーレン)州の Elsdorf (エルスドルフ)にある、ドイツの大手製糖工場の敷地内に建設され、生産能力は年間最大 1 万トンです。2028 年に商業生産を開始する予定で、この工場の稼働することよって、現在欧州が輸入している BNC を全量、まかなうことができるようになります。
BNC の原料には、糖蜜やその他の製糖副産物を利用する予定で、約 30 人の雇用を創出する計画です。総資金調達額は 3,500万ユーロ(=630億円)です。
BNC は肥料コーティング、種子コーティング、押出成形助剤として用いることで、化石燃料由来のマイクロプラスチックを、合成代替品よりも最大 70% 少ない使用量で置き換えることができます。
詳細は iGrow News の記事をご覧ください。
中越パルプの竹由来 CNF がシャンプーの原料に採用(2026 年 9 月 3 日)
中越パルプ工業は、竹由来のセルロースナノファイバー(CNF)nanoforest®が、ヘアケア製品原料に採用されたことを、1日、プレスリリースで発表しました。
CNFが採用されたのは、ヘアケア製品を販売する株式会社nijito(福岡市)が展開する新ブランド urah(ユラ)の、シャンプーとヘアミルクです。
オールインワンシャンプー
商品名:シグネチャクレンザー 150g入り(約1か月分)
特徴:スキンケア発想で地肌と髪を同時に底上げし、年齢とともに失われがちなハリ・コシ・ツヤ・まとまりを、この1本で満たします。手のひらで泡立てることにより、洗うひとときが、静かな贅沢へと変わります。nanoforest®の繊維が微細な泡を作り、泡持ちを良好にし、洗うたびに頭皮と髪をすこやかな状態へと導きます。
ヘアミルク
商品名:リポレイヤードミルク 50ml入り(約1か月~1.5か月分)
特徴:手のひらでとろけるようになじみ、内側から満たしながら、軽やかなツヤとまとまりを叶えるアウトバストリートメントです。
価格は、シャンプーとヘアミルク各 1 本のセットで、10,384円(税込)とのことです。
詳細は、同社のプレスリリースをご覧ください。
インドの大学、銀ナノ粒子とBNCを含む生体複合創傷被覆材を開発(2026 年 9 月 1 日)
インド情報技術大学アラハバード校(IIIT-A)とモティラル・ネルー国立工科大学(MNNIT)は共同で、銀ナノ粒子とBNC(バクテリアナノセルロース)含む生体複合創傷被覆材を開発し、特許を取得しました。
The Times of India に 8 月 25 日付で掲載された記事によりますと、このバイオコンポジットは、銀ナノ粒子とポリカプロラクトン、BNCを組み合わせて作られており、傷口を覆う保護層として使用できます。
皮膚が損傷を受けると本来の保護機能が失われ、感染症にかかりやすくなりますが、銀ナノ粒子には抗菌作用があるため、傷口での細菌の増殖を抑制するのに役立ちます。
そのため、この被覆材は、重度の火傷、深い傷、広範囲の皮膚損傷を負った患者を感染症から守るのに役立つ可能性があります。
詳細は The Times of India の記事をお読みください。
米陸軍、ニトロセルロース不足対策として BNC の研究に着手(2026 年 8 月 24 日)
The U.S. Army Combat Capabilities Development Command (DEVCOM) Armaments Center (米陸軍戦闘能力開発コマンド兵器センター)の関係者は、現在も続くセルロース不足、そしてそれに伴うニトロセルロースのサプライチェーン問題を、バクテリアナノセルロース(BNC)によって解決することを検討しています。
米国政府のオフィシャルサイトの一つである U.S. ARMY に 8 月 10 日に掲載された記事から紹介します。
ニトロセルロースは、火薬や一部のロケット推進剤の主要成分として用いられますが、セルロースを硝酸処理、精製、洗浄することが必要です。
軍では現在、ニトロセルロースの製造原料として、木材と綿を使っていますが、これらの原料は、サプライチェーンの不安定さ、植物の成長の遅さ、品質のばらつきといった問題を抱えています。
成長が速く、ニトロ化が容易で、材料の無駄が少ないトウモロコシの皮や竹が注目されていますが、陸軍の研究者たちは、BNCに注目しています。
BNCは、従来のセルロースに比べて硝化処理や精製がはるかに容易であり、廃棄物の発生も最小限で、管理された環境下で培養できることが証明されています。さらに、その構造特性により、非常に強度が高く、さまざまな可能性を秘めた繊維が得られます。
BNCはすでにいくつかの産業で使用されていますが、まだ十分に実証されておらず、ニトロセルロースとして実用化されていません。
今後の研究で良好な結果が得られれば、BNCは将来の弾薬製造において、有力な原料となる可能性があります。
詳細は U.S.ARMY の記事をご覧ください。
韓国 Moorim、CNFを使った農作物の凍結保護剤の開発を推進(2026 年 7 月 24 日)
韓国の Moorim Pulp & Paper は、国立園芸特作科学院、慶尚国立大学と共同で、ナノセルロースを用いた農作物の凍結保護剤の実証から量産までを推進します。
7 月 24 日付の朝鮮日報のウェブページによりますと、Moorim P&P は、韓国農村振興庁 国立園芸特作科学院、慶尚国立大学とMOU を締結し、天然パルプ由来のナノセルロースを使った、環境配慮型凍結保護剤の開発に着手したことを、明らかにしました。
この凍結保護剤は、果樹の花芽表面に薄い保護膜を形成し、寒さから花を守る農業用新素材です。近年、気候危機により春季の異常低温現象が増え、果樹農家の冷害被害が拡大する中で、新たな技術として注目されています。
中核素材には、Moorim P&P が国内で生産する天然パルプから抽出した CNF を用います。
同社の説明では、この凍結保護剤が商用化されれば、既存品に比べて果樹農家の低温被害を最大 20 %程度減らせるとのことです。
詳細は朝鮮日報のウェブページをご覧ください。
アトラックラボ、CNF を機体材料に採用したドローンを開発(2026 年 7 月 22 日)
株式会社アトラックラボ(埼玉県三芳町)は、7 月 21 日、セルロースファイバー(CNF)を機体材料に採用した産業用ドローンを開発したことを、プレスリリース・ニュースリリース配信サービスの PR Times で発表しました。
このドローンは、比重が軽く耐衝撃性に優れた CNF を機体材料として採用することで、軽量化、高い生産性、優れた保守性を実現しています。また、機体性能を最大限に引き出す専用フライト制御ボードも同時に開発しており、機体・制御・AI を一体で最適化したアトラックラボ独自の産業用ドローンプラットフォームを構築しています。
インフラ点検、災害対応、物流、農業、防災など幅広い分野での活用を想定し、導入から運用、保守までのトータルコストを抑えた次世代産業用ドローンとして展開していくとのことです。
産業用ドローンは、インフラ点検や測量、物流、災害対応など、さまざまな分野で活用が広がっています。一方で、多くの機体はカーボン素材を採用しているため、製造工程が複雑で、修理や部品交換にも時間とコストがかかるという課題があります。
そこで同社では、現場で本当に使えるドローンの実現を目指し、軽量で製造しやすく、修理しやすい機体構造の研究・開発を進めてきました。その成果として、CNF を採用した新しい産業用ドローンを開発しました。
このドローンには、以下の特徴があります。
① 軽量設計
比重が軽い CNF を採用することで、機体重量を低減し、飛行性能や運搬性を向上させています。
② 高い耐衝撃性
飛行中の接触や着陸時の衝撃に強い機体構造を採用しています。過酷な現場環境でも安定した運用を支える設計です。
③ 高い生産性
部品構成や製造方法を最適化することで、生産効率を向上し、量産にも対応しやすい機体構造を実現しています。
④ 修理しやすい構造
機体をモジュール化し、損傷した部位のみを交換できる構造を採用しています。修理時間を短縮し、ダウンタイムを抑えることで、運用コストの低減に貢献します。
⑤ 専用フライト制御ボードを開発
CNF 製ドローン専用のフライト制御ボードを開発しています。機体設計と電子回路を一体で最適化することで、小型・軽量化、省電力化、高い拡張性を実現し、用途に応じた各種センサーや通信機器との柔軟な連携を可能にしています。
詳細はプレスリリースをご覧ください。
ニュージーランドでビール粕をナノセルロースに変換(2026 年 7 月 20 日)
ニュージーランドの University of Canterbury (カンタベリー大学・クライストチャーチ)では、NanoBrew プロジェクトとして、ビール醸造廃棄物をナノセルロースに変換する方法を研究しています。
ヴィーガン食品専門サイトである Planet Food News が 7 月 16 日に報じた内容によりますと、ニュージーランドでは、毎年 3万5000~4 万5000 トンのビール粕が発生すると推定されており、そのほとんどは低価値の動物飼料や堆肥として販売されていますが、これをより高付加価値材料として活用することを検討しているとのことです。
ナノセルロースは、高強度、軽量、生分解性という特徴を持ち、石油由来製品の代替品を求める産業界から関心が高まっています。市場アナリストは、ヘルスケア、包装、エレクトロニクス、産業用途など幅広い分野での需要に牽引され、この分野の市場規模は今後 10 年以内に 30 億ドルから 40 億ドルに達する可能性があると予測してます。
ナノセルロースはすでに、医療用包帯、持続可能な包装材、化粧品、ろ過システム、先進複合材料などに広く利用されています。
詳細は Planet Food News の記事をご覧ください。
フィンランドでナノセルロースを用いたキャパシタを開発(2026 年 7 月 20 日)
フィンランドの Granarium Technologies が、ナノセルロースを用いたキャパシタを開発していることを、技術情報サイト IOM3 が 7 月 3 日に伝えました。
キャパシタは、電荷を蓄えたり放出したりする電子部品で、一般的な電池と違い、化学反応を伴わず物理的に電気を蓄えるため、素早い充放電が可能で、劣化しにくく、幅広い温度環境で安定して動作します。
フィンランドの国立研究機関 VTT から生まれたスタートアップ企業である Granarium Technologies は、ナノセルロースをベースとした材料にバイオカーボン構造を結合させて、エネルギー貯蔵に利用するそうです。
すでに特許を取得済みで、技術成熟度レベル(TRL)5 が検証されています。
このデバイスは、エネルギーシステム内の高速応答レイヤーとして機能し、バッテリーを補完するとともに、グリッドバランス、周波数応答、産業用電力品質といった短時間の電力ニーズに対応します。そして、ピーク負荷の管理、電力品質の向上、分散型発電の管理に役立つとのことです。
同社は実証を進めるための顧客とパートナーを確保しており、資金調達後6か月以内に最初の試験運用を開始する準備を進めています。
そして、初期の商業生産は小規模な工業規模で開始され、年間最大50台の生産能力を持つ予定です。
詳細は IOM3 の記事をご覧ください。