ナノセルロース、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)、バクテリアナノセルロース(BNC)に関する、国内・海外の最新ニュースを掲載しています。こちらは 2026 年 7 月以降に報道されたニュースを、日付が新しいものから順に掲載しています。新しいニュースは適宜追加しています。
韓国 Moorim、CNFを使った農作物の凍結保護剤の開発を推進(2026 年 7 月 24 日)
韓国の Moorim Pulp & Paper は、国立園芸特作科学院、慶尚国立大学と共同で、ナノセルロースを用いた農作物の凍結保護剤の実証から量産までを推進します。
7 月 24 日付の朝鮮日報のウェブページによりますと、Moorim P&P は、韓国農村振興庁 国立園芸特作科学院、慶尚国立大学とMOU を締結し、天然パルプ由来のナノセルロースを使った、環境配慮型凍結保護剤の開発に着手したことを、明らかにしました。
この凍結保護剤は、果樹の花芽表面に薄い保護膜を形成し、寒さから花を守る農業用新素材です。近年、気候危機により春季の異常低温現象が増え、果樹農家の冷害被害が拡大する中で、新たな技術として注目されています。
中核素材には、Moorim P&P が国内で生産する天然パルプから抽出した CNF を用います。
同社の説明では、この凍結保護剤が商用化されれば、既存品に比べて果樹農家の低温被害を最大 20 %程度減らせるとのことです。
詳細は朝鮮日報のウェブページをご覧ください。
アトラックラボ、CNF を機体材料に採用したドローンを開発(2026 年 7 月 22 日)
株式会社アトラックラボ(埼玉県三芳町)は、7 月 21 日、セルロースファイバー(CNF)を機体材料に採用した産業用ドローンを開発したことを、プレスリリース・ニュースリリース配信サービスの PR Times で発表しました。
このドローンは、比重が軽く耐衝撃性に優れた CNF を機体材料として採用することで、軽量化、高い生産性、優れた保守性を実現しています。また、機体性能を最大限に引き出す専用フライト制御ボードも同時に開発しており、機体・制御・AI を一体で最適化したアトラックラボ独自の産業用ドローンプラットフォームを構築しています。
インフラ点検、災害対応、物流、農業、防災など幅広い分野での活用を想定し、導入から運用、保守までのトータルコストを抑えた次世代産業用ドローンとして展開していくとのことです。
産業用ドローンは、インフラ点検や測量、物流、災害対応など、さまざまな分野で活用が広がっています。一方で、多くの機体はカーボン素材を採用しているため、製造工程が複雑で、修理や部品交換にも時間とコストがかかるという課題があります。
そこで同社では、現場で本当に使えるドローンの実現を目指し、軽量で製造しやすく、修理しやすい機体構造の研究・開発を進めてきました。その成果として、CNF を採用した新しい産業用ドローンを開発しました。
このドローンには、以下の特徴があります。
① 軽量設計
比重が軽い CNF を採用することで、機体重量を低減し、飛行性能や運搬性を向上させています。
② 高い耐衝撃性
飛行中の接触や着陸時の衝撃に強い機体構造を採用しています。過酷な現場環境でも安定した運用を支える設計です。
③ 高い生産性
部品構成や製造方法を最適化することで、生産効率を向上し、量産にも対応しやすい機体構造を実現しています。
④ 修理しやすい構造
機体をモジュール化し、損傷した部位のみを交換できる構造を採用しています。修理時間を短縮し、ダウンタイムを抑えることで、運用コストの低減に貢献します。
⑤ 専用フライト制御ボードを開発
CNF 製ドローン専用のフライト制御ボードを開発しています。機体設計と電子回路を一体で最適化することで、小型・軽量化、省電力化、高い拡張性を実現し、用途に応じた各種センサーや通信機器との柔軟な連携を可能にしています。
詳細はプレスリリースをご覧ください。
ニュージーランドでビール粕をナノセルロースに変換(2026 年 7 月 20 日)
ニュージーランドの University of Canterbury (カンタベリー大学・クライストチャーチ)では、NanoBrew プロジェクトとして、ビール醸造廃棄物をナノセルロースに変換する方法を研究しています。
ヴィーガン食品専門サイトである Planet Food News が 7 月 16 日に報じた内容によりますと、ニュージーランドでは、毎年 3万5000~4 万5000 トンのビール粕が発生すると推定されており、そのほとんどは低価値の動物飼料や堆肥として販売されていますが、これをより高付加価値材料として活用することを検討しているとのことです。
ナノセルロースは、高強度、軽量、生分解性という特徴を持ち、石油由来製品の代替品を求める産業界から関心が高まっています。市場アナリストは、ヘルスケア、包装、エレクトロニクス、産業用途など幅広い分野での需要に牽引され、この分野の市場規模は今後 10 年以内に 30 億ドルから 40 億ドルに達する可能性があると予測してます。
ナノセルロースはすでに、医療用包帯、持続可能な包装材、化粧品、ろ過システム、先進複合材料などに広く利用されています。
詳細は Planet Food News の記事をご覧ください。
フィンランドでナノセルロースを用いたキャパシタを開発(2026 年 7 月 20 日)
フィンランドの Granarium Technologies が、ナノセルロースを用いたキャパシタを開発していることを、技術情報サイト IOM3 が 7 月 3 日に伝えました。
キャパシタは、電荷を蓄えたり放出したりする電子部品で、一般的な電池と違い、化学反応を伴わず物理的に電気を蓄えるため、素早い充放電が可能で、劣化しにくく、幅広い温度環境で安定して動作します。
フィンランドの国立研究機関 VTT から生まれたスタートアップ企業である Granarium Technologies は、ナノセルロースをベースとした材料にバイオカーボン構造を結合させて、エネルギー貯蔵に利用するそうです。
すでに特許を取得済みで、技術成熟度レベル(TRL)5 が検証されています。
このデバイスは、エネルギーシステム内の高速応答レイヤーとして機能し、バッテリーを補完するとともに、グリッドバランス、周波数応答、産業用電力品質といった短時間の電力ニーズに対応します。そして、ピーク負荷の管理、電力品質の向上、分散型発電の管理に役立つとのことです。
同社は実証を進めるための顧客とパートナーを確保しており、資金調達後6か月以内に最初の試験運用を開始する準備を進めています。
そして、初期の商業生産は小規模な工業規模で開始され、年間最大50台の生産能力を持つ予定です。
詳細は IOM3 の記事をご覧ください。