ナノセルロース・セルロースナノファイバーに関する世界のニュース 2025年9月~

ナノセルロース、セルロースナノファイバー(CNF)、セルロースナノクリスタル(CNC)、バクテリアナノセルロース(BNC)に関する、国内・海外の最新ニュースを掲載しています。こちらは 2025 年 9 月以降に報道されたニュースを、日付が新しいものから順に掲載しています。新しい情報は、適宜追加しています。

目次

米国で BNC の製造・利用を手掛けるスタートアップ企業が注目(2025 年 12 月 8 日)

HudsonAlpha Institute for Biotechnology は、スタートアップ アクセラレータgener8torと提携して、対象に選ばれた 10 社のスタートアップ企業とともに、AgTech Accelerator を立ち上げあげたことを、米国の Huntsville Business Journal のウェブ版が 12 月 5 日に伝えました。

その 10 社の中に、バクテリアナノセルロース(BNC)の製造・利用を手掛ける企業が含まれていたので紹介します。

  • 会社名:Khaya Biosciences
  • 創設者兼CSO: J. Sebastian Garcia-Medina
  • Khaya Biosciences は、産業食品および農業廃棄物を高性能バクテリアナノセルロースに変換するプラットフォームとプロセスを有しており、化粧品、農業、ファッション、包装業界向けの代替プラスチック、皮革、その他の持続可能な素材に変換できます。
  • ホームページ https://www.khaya.bio/

詳細はHuntsville Business Journalの記事をお読みください。

フジッコ、ナタデココ(BNC)の製造端材をウエディングドレスに(2025 年 12 月 4 日)

食品メーカーのフジッコ(神戸市)は、ナタデココの製造工程で発生する端材を、九州大学大学院芸術工学研究院の田羅義史助教の芸術作品 ウェディングドレス の素材として提供したことを、12 月 3 日にプレスリリースで発表しました。

ナタデココは酢酸菌の発酵によってつくられるバクテリアナノセルロース(BNC)で、同社は国内でナタデココを製造する唯一の企業です(コメント参照)。

今回の取り組みは、食品製造で発生する副産物をデザート・アート分野で活用することで、持続可能な社会の実現に貢献する新たな試みとのことです。

詳細は同社のプレスリリースをご覧ください。

ナノセルロース・ドットコムコメント

国内でBNCを製造している企業はフジッコを含め、数社あります。
一方、国内でナタデココ(食品)を販売している企業は複数ありますが、東南アジアからの輸入が大半で、国内で食品用途のナタデココを製造しているのは、フジッコだけです。

東ソー、CNF複合化クロロプレンゴムの生産体制を強化(2025 年 11 月 28 日)

東ソーは、クロロプレンゴム スカイプレン® にセルロースナノファイバー(CNF)を複合化した新グレード SG シリーズ の生産拡大のため、南陽事業所(山口県周南市)の生産設備を拡大し、10 月から商業運転を開始したことを、10 月 30 日にニュースリリースで発表しました。

クロロプレンゴムは、耐候性、耐オゾン性、耐油性、耐薬品性、難燃性の性質に優れている上に、機械的強度も兼ね備えた、特性バランスのよいゴムです。そのため、伝動ベルトをはじめとする自動車部品の他、各種工業用ゴム製品、電線ケーブル、スポンジ、接着剤、手袋等の幅広い分野で使用されています。

化石燃料由来のゴム補強材の使用量を低減できる SGシリーズ は、2024 年 3 月より南陽事業所のクロロプレンゴム製造プラントで生産・販売を開始していましたが、将来的な環境配慮型製品へのニーズの高まりを見据えて既存設備の一部を改良し、既存グレードと同等のロットサイズで製造できるよう生産体制を強化しました。

詳細は同社のニュースリリースをご覧ください。

韓国 ANPOLY、現代 Chung Mong Koo 財団から Impact Startup 賞受賞(2025 年 11 月 19 日)

韓国の現代 Chung Mong Koo 財団は、18日、国内の国内のインパクトスタートアップの成果とビジョンを共有する「2025インパクトスタートアップデー」を開催しました。

韓国の複数メディアでの報道によりますと、アクセラレーティング分野で、さまざまな分野に応用可能な環境に優しいナノセルロースを開発する ANPOLY が表彰されたとのことです。

ANPOLY は浦項工科大学のベンチャー企業で、同校の教授が 2017 年に設立した企業で、ナノセルロースの製造とアプリケーション開発を行っています。

同社の情報については、ナノセルロース・ドットコムの検索窓に ANPOLY と入れて検索すると、過去のニュースも含めて、同社関連の情報一覧を得ることができます。

ドイツの Bioweg、化粧品原料向けに BNC 由来材料を開発(2025 年 11 月 18 日)

ドイツの BIOWEG GmbH(クヴァーケンブリュック市) は、化石燃料や環境に有害な材料の代替を目的として、工業用途向けのバイオベースの有機酸、ポリマー、配合物の開発、製造、販売を行っている企業です。

11 月 17 日に化粧品業界向けのサイトである personal care insights に掲載された記事によりますと、バクテリアナノセルロース(BNC)を、マイクロパウダーや増粘剤へ加工しています。

これらはセルロースレオロジー改質剤のような、一般的な界面活性剤や塩と相溶性があり、幅広いpH範囲、温度範囲で安定性を維持することができるため、採用にあたって、製造プロセス全体を再設計する必要がありません。

欧州ではマイクロプラスチックに対する規制が進んでいるため、生分解性の高い材料へのニーズが高まっています。

詳しい内容は、personal care insights の記事をご覧ください。

日本製紙の CNF セレンピア®が食品産業技術功労賞を受賞(2025 年 11 月 14 日)

日本製紙のセルロースナノファイバー(CNF)セレンピア® は、食品添加物としても販売されていますが、この食品添加物が食品産業新聞社主催の 第 55 回食品産業技術功労賞 サステナビリティ部門 を受賞したことを、ニュースリリースではなくお知らせで、11 月 13 日に公表しました。

それによると、セレンピアは木材を原料とした食物繊維で、安全性が高く、保水性・保形性の向上、気泡安定性、分散安定性に優れた特長があり、加工食品ではパンクや型崩れの防止、菓子類ではおいしく食べられる期間を延長することができるなどの効果があります。

そのため、フィリング用途(パンやケーキの中身のクリーム類)における乳化安定や離水防止機能と、食感を邪魔しない部分が評価され採用が増加しているほか、食肉用途(ハム・ソーセージ)での採用も増えています。一般的にハム・ソーセージは肉の保水性や結着性を高めるためにリン酸塩が広く使われますが、この代替品として当該商品が評価され、食肉加工メーカーでの採用件数が増えているそうです。

詳細は同社のお知らせをご覧ください。

カミ商事、宇宙ゴミ削減に CNF 成形材料(2025 年 11 月 7 日)

カミ商事(愛媛県四国中央市)が開発した高密度セルロースナノファイバー(CNF)成形材料 アモルセル が、強化プラスチックの代替素材として、小型衛星の部材や半導体用電子基板などへの応用進んでいるようです。

11 月 6 日に The Japan Times の電子版に掲載された記事によりますと、破棄された衛星は軌道上のゴミを増加させているほか、大気圏への再突入時に完全に燃え尽きなかった宇宙船の破片が、地球表面に落下する危険性があります。

木材由来の素材であるAmorcell(アモルセル )は、大気圏で完全燃焼するため、宇宙ゴミ削減に役立つ可能性があります。

アモルセルは独自の圧縮プロセスで製造され、一部のステンレス鋼よりも高い硬度を実現しています。引張強度と曲げ強度は一般的なプラスチックの約3倍です。また酸素透過性が低く、スナック菓子の包装に一般的に使用される薄い金属化プラスチックフィルムに匹敵します。

従来の CNF 強化プラスチックには、石油由来の樹脂と化学添加剤が使われていますが、アモルセルは熱、水、圧力のみで加工され、化学薬品を一切使用しておらず、ナノメートルレベルにまで微細化された CNF のみで構成されています。

そのため土壌と海水中で微生物の働きによって生分解され、焼却しても有毒ガスを排出しません。

カミ商事では製造プロセスの改良も行っており、山本製作所(徳島県小松島市)と共同で、CNF の乾燥時間を従来の 1 か月から 30 分に短縮し、製造コストを従来の 100 分の 1 以下にまで削減することにも成功しているそうです。

詳細は The Japan Times の記事をご覧ください。

化学品専門商社のオー・ジー、BNC の取り扱いを開始(2025 年 11 月 6 日)

化学品専門商社のオー・ジー株式会社(大阪市)は、11 月 12 日から開催される展示会 第5回サステナブルマテリアル展 に、セルロースナノファイバー BacFiber を出展することを、11 月 5 日付のプレスリリース配信サービス PR TIMES で発表しました。

このセルロースナノファイバーは細菌の糖発酵によって生成されるバクテリアナノセルロース(BNC)で、保水性・分散性・増粘性に優れ、化粧品や塗料、農業など幅広い分野で活用が期待されているとのことです。

PR TIMES の記事はこちらからご覧ください。

米国 Searce社、海藻由来のナノセルロースを用いた添加剤を販売(2025 年 10 月 27 日)

Searce 社(フロリダ州オーランド)では、海藻から作ったナノセルロースを、ナノファイバー添加剤として販売しています。

同社のホームページによりますと、Seabind ™ と名付けられた添加剤に含まれるナノセルロースは、長さ301~500 nm、直径 50 nm 未満の繊維で、非荷電のため、配合物のイオンバランスを変化させることなく、添加剤として優れた補強性、粘度制御の向上、機械強度を実現します。

以下、ホームページに記載されている内容です。

  • 重量比で鋼鉄の最大 8 倍の優れた機械的強度を備えながら、ケブラーよりも軽量であるため、複合材、セメント、プラスチックなどの高性能材料の強化に最適です。
  • 高密度のナノファイバーネットワークを備え、ガス、油、湿気に対する効果的なバリアを形成し、保存期間を延長し、製品の完全性を保護します。
  • 強固で柔軟なフィルムを形成し、せん断減粘性を示すため、加工が容易です。また、強力なバインダーおよび分散剤としても機能し、他の添加剤を高性能ハイブリッド処方にシームレスに統合することを可能にします。
  • 米国産の様々な天然原料から作られています。従来のナノマテリアルは有害な溶剤に依存し、有毒な微粒子を生成しますが、当社のナノファイバー添加剤は水系システムにシームレスに溶け込み、微粒子の発生を抑えることで、より安全な取り扱いとより持続可能な生産を実現します。

詳細は、同社のホームページをご覧ください。

ニュージーランドに海藻ナノセルロース工場が開設(2025 年 10 月 20 日)

ニュージーランドの企業 AgriSea が、世界初の海藻ナノセルロース工場をニュージーランドの Paeroa に開設したことを、漁業・水産業関係のニュースサイト The Fish Site が 10 月 17 日に伝えました。

これは、海藻から Bio stimulant を製造する工程の残渣をナノセルロースハイドロゲルに変換するもので、ハイドロゲルは、医療、農業、製造、化粧品など、さまざまな用途に使用できます。ナノセルロースはその優れた特性から非常に汎用性の高い素材ですが、現在、世界の供給量の大部分は化学処理された木材パルプから生産されています。

AgriSea と Bioeconomy Science Institute(ニュージーランド)は協力して、海藻からこの素材を製造し、持続可能な代替品を提供することを目指しています。

この施設では、週に最大 1.6 トンのナノセルロースハイドロゲルを生産できます。このハイドロゲルの用途としては、高度な創傷被覆材や薬物送達、保水性を活かした農業における苗の生育改善、そして接着剤、電池、電子機器メーカー向けの生分解性機能性材料としての可能性などが挙げられます。化粧品メーカーは、再生可能なクリーム基剤としても活用できると考えています。

詳細は The Fish Site の記事をご覧ください。

写真はThe Fish Site の記事より引用しました。

 

シャンソン化粧品、CNF を配合したボディミルクを限定販売(2025 年 10 月 15 日)

株式会社シャンソン化粧品(静岡市)は、セルロースナノファイバー(CNF)を配合したボディミルクを、数量限定商品として10 月 15 日から発売することを、PR TIMES を通じてプレスリリースしました。

この商品は、今年 6 月に大阪・関西万博で展示された CNF を配合したボディミルクをベースに商品化されたもので、同社の創立 80 周年を記念した限定商品です。200 mL 入り、4,620 円(税込)で、シャンソン化粧品サロンなどで販売されるとのことです。

詳細は PR TIMES のプレスリリースをご覧ください。

愛知県手帳の限定版に三河木綿 CNF を用いた抗菌加工(2025 年 10 月 11 日)

愛知県統計協会は、愛知県手帳の 2026 年版を 10 月 20 日から一般販売しますが、限定版では、三河木綿セルロースナノファイバー(CNF)を用いた抗菌加工が施されています。

10 月 10 日に愛知県のホームページにプレスリリースとして公表された内容によりますと、三河木綿の表紙生地には、あいち産業科学技術総合センターと日清紡テキスタイル、水野金属商事が連携して開発した技術が使われています。三河木綿の色調を生かした三河木綿CNFを使用することで、生地本来の天然繊維の風合いを損なわずに抗菌加工を施されています。

愛知県手帳は本体(日記部)と便覧の2分冊で、三河木綿を使用した限定版は 990 円(税込)です。
詳細は愛知県のプレスリリースをご覧ください。

写真は愛知県のホームページより引用しました。

BNCを使ったフェイスマスクが発売(2025 年 10 月 6 日)

美容機器、化粧品、健康食品の製造メーカーである株式会社アイビビッド(東京都小金井市)は、ココナッツ果汁にナタ菌を加え、培養発酵して作られたバクテリアセルロース(BNC)に、自然由来美容成分を配合したシートマスクを 10 月から販売することを、3 日にプレスリリース配信サービスの PR TIMES を通じて、発表しました。

従来、フェイスマスクの基材として使われている不織布に比べ、BNC には高い保湿性があり、肌に密着することで、保湿成分を角質層まで届ける効果があるとしています。

家庭用の美容機器ブランド LINKA から、LINKA esthé フェアスキン ラッピングマスク(5枚入)として発売され、価格は 3,630 円(税込)とのことです。

詳細は PR TIMES の記事をご覧ください。

中越パルプのCNF、腕時計用バンドに採用(2025 年 10 月 2 日)

中越パルプ工業は、同社のセルロースナノファイバー(CNF) nanoforest® が、カシオ計算機のアウトドアウォッチ PRO TREK®(プロトレック)のデュラソフトバンドに採用されたことを、1 日にプレスリリースで発表しました。

これは、樹脂・ゴムに分散しやすい粉末状 CNF nanoforest® – PDP をゴム素材に練り込んだ製品を、腕時計のバンド用にカスタマイズし、フィット感を重視させながらも強度 UP を実現させたものです。

PRO TREK® の10月販売予定の新作モデル (PRW-B1000)のバンドに採用されています。

詳しくは同社のプレスリリースをご覧ください。

イランの大学、ポリウレタンに CNC 添加した繊維を開発(2025 年 9 月 30 日)

イランのシャーラウド工科大学の研究者らは、インドの KLE 大学、中国の西安理工大学、南京林業大学などと協力し、自己修復特性、疲労および老化耐性、高い柔軟性を備えたナノ構造繊維の設計と製造に成功しました。

イランのアザド通信社が 9 月 22 日に配信した英語記事によりますと、この繊維はポリウレタンとセルロースナノクリスタル(CNC)の組み合わせに基づくもので、高い柔軟性に加え、自己修復能力と疲労や老化に対する優れた耐性を備えているとのことです。

ポリウレタンに CNC をわずか 1 % 添加するだけで、破断点までの弾性が 34 % 増加し、繊維の引張強度が 18 % 増加することが示されました。

この繊維は、呼吸用フェイスマスク、エアフィルター紙の製造、液体からの化合物の分離に使用できます。

詳細はアザド通信社の記事をご覧ください。

カナダ CelluForce、包装向けのバリアコーティング剤を発売(2025 年 9 月 24 日)

カナダの セルロースナノクリスタル(CNC製造会社 CelluForce は、包装用のバイオベースバリアコーティング剤 CelluShield™ を発売しました。

アメリカのニュースサイト business wire が22日に配信した記事によりますと、このコーティング剤は、世界最大の CNC メーカーである CelluForce(カナダ・モントリオール)と、カナダの森林・林業分野の公的研究機関である FPInnovations (同)が共同で開発したもので、有害な化学物質や複雑な多層ラミネートを使用せずに、食品、医薬品、その他の敏感な製品を保護します。

主な利点としては、高いバリア性能を有すること、リサイクルが可能であること、安全でサステナブルあること、が挙げられています。
さらに、この製品は水溶性であるため、既存の設備で稼働する水ベースの技術を採用しながら、製品を保護し、二酸化炭素排出量を削減し、リサイクルを簡素化する実用的なソリューションを提供することができます。

詳細は Business Wire の記事をご覧ください。

独 BIOWEG、BNC 製造工場建設のため 28 億円調達(2025 年 9 月 17 日)

ドイツのバイオテクノロジー企業 BIOWEG は、工業規模のバクテリアナノセルロース(BNC)製造工場をドイツ国内に建設するため、1,600 万ユーロ(= 28 億円)の資金調達を完了しました。

農業分野のニュースサイトである iGrow News が16日に掲載した記事によりますと、BIOWEG は、マイクロプラスチックに関する EU の規制に対処するため、化石由来のポリマーに代わる生分解性のある代替品を開発しています

BIOWEG は 2019 年に Dr. Prateek Mahalwar と Mr. Srinivas Karuturi によって設立され、食品産業の副産物を BNC に変換し、グリーンケミストリーで精製してポリマー代替品の製造を目指しています。

開発中の製品には、 Micbeads(化粧品用の生分解性マイクロパウダー)、RheoWeg(パーソナルケア・ホームケア向けの分散剤)、AgriWeg(制御可能な種子および肥料コーティング)などがあります。

同社はドイツ北部の Quakenbrück に、最大 6 トンの生産能力を持つパイロットプラントを保有するほか、Bayer Crop Science の研究施設内に研究室を設置していますが、新しいプラントはドイツの大手砂糖生産会社と併設される予定です。

詳細は iGrow News の記事をご覧ください。

岡山大、CNF を土壌に混ぜることで渇水時の農業生産をサポート(2025 年 9 月 8 日)

岡山大学は、セルロースナノファイバー(CNF)を土壌に対して 1 %混ぜることにより、灌漑水が 50 %に減っても、100 %灌漑と同等の植物生長が期待されることから、将来の水不足に備えられるという内容を、9 月 7 日にプレスリリースで発表しました。

気候変動のもとで、渇水が予想されている地域が世界中にあります。東南アジアの一部地域でも灌漑水の不足が予想されており、世界の食糧生産基地としては大変な打撃になります。
CNF は保水性に優れ、植物が利用可能な領域の水分を多量に貯留し、植物の発芽と成長を助けることがわかりました。CNF

土壌に対して 1 %の CNF を施用することで、発芽率を改善し、植物が利用可能な水量が増加するとともに、灌漑水が 50 %に減少しても 100 %灌漑と同等の植物生長を促せることが分かったとのことです。

詳細は岡山大学のプレスリリースをご覧ください。

ナノセルロース・ドットコムコメント

ありえない話です。土壌に対して CNF を 1 % 混ぜるというのが、重量比 1 %なのか、体積比 1 %なのか分かりませんが、仮に(混ぜる量が少ない)体積比として、例えば 1 haの耕作地に、深さ 20 cmで施用するためには、100 × 100 × 0.2 × 0.01 = 20 m3 の CNF が必要です。CNF の比重は 1.5 g/cm3 (= 1.5 t/m3 )なので、これは 30 t になります。現在、最も安いと思われる中国産の CNF でも、800 円/kg (輸送コストを除く)なので、1 haの耕作地に必要な CNF の金額は 2,400 万円となります。しかも、CNF には生分解性があるので、繰り返し施用しないと、この機能は保たれません。さらに、CNF を製造するためには、大量のエネルギーを消費することも忘れてはいけません。
岡山大学のプレスリリースでは、この研究を自画自賛していますが、このような経済性や環境性を無視した研究を、科研費(=税金)を使って留学生が行っていることについて、疑問を感じます。