ナノセルロースニュース2021年7月

セルロースナノファイバーをホイップクリームやあんこジャムに利用(2021.7.29)

セルロースナノファイバー(CNF)の食品分野での活用が広がっていることが、7月29日付の静岡新聞のウェブサイト「あなたの静岡新聞」に掲載されました。使われているのは日本製紙のセレンピアで、記事には書かれていませんが、カルボキシメチル化CNFと思われます。

活用事例として紹介されているのは、静岡県富士宮市の洋菓子店「フルーリス」と同富士市の和菓子店「わかつき」です。

洋菓子店ではCNFをホイップクリーム全般に使用しているとのことで、低脂肪生クリームが泡立てやすく形も保持できたほか、チーズケーキは気泡が維持され、焼き上がりがよく、しっとりした食感が増したとのことです。

和菓子店ではCNFをこしあんのあんこジャムに使用したところ、時間とともに起きる離水を防ぐことができたとのことです。また水ようかんでは小豆が沈殿せず、品質保持期間が延長したほか、どらやき生地も食感が増したとのことです。

詳しくは静岡新聞の記事をご覧ください。

紙・パルプ産業における新技術の一つとしてナノセルロースが注目(2021.7.28)

カナダの紙・パルプ関連ウェブサイトであるPulp & Paper Canadaに、転換のための新技術というタイトルの記事が7月27日に掲載されました。内容はTAPPI(紙パルプ技術協会)が主催する国際会議で取り上げられた新技術を紹介したものですが、その中にナノセルロースについて触れた部分があるので、紹介します。すでに知られている内容ばかりです。

ナノセルロースを板紙に添加することで、強度を高めたり、軽量化したり、バリア特性を与えたりできます。ナノセルロースは紙の内層に添加することも、表面にコーティングすることもできます。

ナノセルロースは大きく2つの種類に分類できます。1つはセルロースナノクリスタル(CNC)で、直径約5nm、長さ100nm サイズの個別のナノ物質であり、酸加水分解で製造されます。

もう1つはセルロースナノフィブリル(CNF)で、直径5〜20nm、長さ500〜3,000nmのナノサイズの繊維の束で、通常は機械的方法で、ときには酵素による前処理によって製造されます。

CNCはその光学的、電気的、化学的特性に基づいて可能な用途があります。CNFは強度と補強に適しています。どちらも掘削液の粘度調整剤、セメント添加剤、創傷被覆材、足場など、紙以外の用途にも役立ちます。

ナノセルロースの問題は、材料をサイズで特徴づける際の一般的な定義がないことです。生産者がさまざまな形状のナノセルロースをさまざまに定義しています。用語の標準化が必要です。

ナノセルロース材料の最大の生産者はFiberLean Technologiesです。同社はパルプをマイクログラインド媒体として機能するミネラルと共粉砕することによってミネラル/ MFC複合材料を製造しています。用途に合わせて特性を調整するために、鉱物と繊維の幅広い選択肢があります。製品はスラリー状です。

ナノセルロースの総生産量は、2017年に11,000t、2020年に30,000t、2025年に60,000tと推定されています。ただしMFCは製紙工場内で繊維を高度に精製することで製造できるため、ナノセルロースの生産量はさらに増える可能性があります。報告されているナノセルロース生産のうち、75%はそれが生産されている工場内で使用されています。

詳しい内容は、元の記事をご覧ください。

ナノセルロースとマンゴーの葉から食品包装用フィルムを開発(2021.7.27)

カディス大学(University of Cadiz、スペイン)とアベイロ大学(University of Aveiro)の研究グループが、ナノフィブリル化セルロース(NFC)とマンゴーの葉の抽出物から、紫外線保護効果、抗酸化特性、グラム陽性菌とグラム陰性菌に対する抗菌活性を備えた機能性フィルムを開発しました。科学技術情報サイトPhys.orgに7月26日に掲載された記事などによりますと、化学物質を加えなくとも、食​​品の特性を長期間維持することをができるアクティブバリアフィルムの開発を目指しているそうです。

マンゴーの葉の抽出物には抗菌性と抗酸化性があり、紫外線に対する保護バリアを高めます。これをNFCフィルムに担持する方法として、超臨界溶媒含浸(SSI)と従来の溶媒キャスティングフィルム処理を比較したところ、マンゴー抽出物が表面レベルでナノセルロースの組成物に浸透し、活性化合物の移動を促進するため、短い時間でマンゴー抽出物を担持できることがわかりました。なおポリマーを形成するNFCは製紙業の廃棄物の化学的および酵素的処理から調製されたとのことです。

詳しい内容はPhy.orgの記事をご覧ください。

またこの研究内容はすでに公開されている下記の論文に掲載されています。

Cristina Cejudo Bastante et. al., Biobased films of nanocellulose and mango leaf extract for active food packaging: Supercritical impregnation versus solvent casting, Food Hydrocolloids, 117, 106709 (2021)

Bucha Bioが再生可能なビーガンレザーの開発を加速(2021.7.27)

アメリカのバイオテクノロジー企業であるBucha Bioは、バクテリアナノセルロースを原料としたビーガンレザーの開発を加速しているとのことです。ビーガンとは絶対菜食主義のことで、ビーガンレザーとは動物を原料としない革のことです。ビーガンレザーの多くはいわゆる合成皮革で、化石燃料由来のプラスチックから作られいることから、批判をされてきました。ビーガン向けのウェブサイト版ビジネスマガジンであるVeconomistに7月26日に掲載された記事によりますと、Bucha Bioはバクテリアナノセルロースを原料とするビーガンレザーの開発に力を入れているとのことです。

ナノセルロースはセルロース繊維の強固なネットワークからできており、いくつかの層が一緒に結合されているため、柔軟性があり、破れにくい耐久性のある生地になります。これを革に変えるため、ナノセルロースを藻類から抽出された染料で着色し、植物由来の高分子物質でコーティングし、さらに綿の帆布で裏打ちします。Bucha Bioの説明では、この生地は動物の革と同じ特性を持ち、耐久性にすぐれ、生分解性があるとのことです。またさまざまな色や質感を持つように、カスタマイズすることも可能です。

バクテリアナノセルロースを生産するには時間がかかりますが、BuchaBioはわずか22日でそれを行うことができます。多くの企業が以前にバクテリアナノセルロースから繊維を作ろうと試みましたましたが、Buchaはそれに初めて成功したといっています。ビーガンレザー産業は急速に成長しており、2025年までに896億ドル(=約10兆円)の市場に成長すると予測されています。

セルロースナノクリスタルを農業廃棄物と産業廃棄物から回収(2021.7.25)

メキシコ・コアウイラ州にあるコアウイラ自治大学(UAdeC)では、農業廃棄物と産業廃棄物からセルロースナノクリスタルを回収するプロジェクトを実施しています。英国のニュースサイトSmall Cap News.co.ukに7月24日付で掲載されたニュースによりますと、フランスのグルノーブル国立工科大学で材料科学と工学(高分子化学)の博士号を取得した理学部のCatalinaPérez-Berumin教授は、セルロースナノクリスタルをプラスチックなどの補強材として利用したり、廃水中の色素を除去するための材料として利用するための研究を進めています。またあわせて農業廃棄物と産業廃棄物からセルロースナノクリスタルを回収(生成)するための研究も行っているとのことです。

詳しくはSmall Cap News.co.ukの記事をご覧ください。

ナノセルロースとヒト幹細胞を使ったバイオインクで顔の再建(2021.7.22)

英国ウェールズのウェールズのスウォンジー大学は、体の一部がない状態で生まれた人、または火傷、外傷、がんの結果として顔面の傷跡が残っている人を治療するために、軟骨に特異的な幹細胞とナノセルロースを用いたバイオインクを使った3Dプリンティングによる顔の再建研究を進めています。

Scar Free Foundationがウェブサイトで7月22日に発表した内容によると、この方法によって鼻、耳などの体の部分を作り、顔の再建を行うとのことです。英国では100人に1人が顔に大きな違いがあり、これは患者のメンタルヘルスに大きな影響を与える可能性があります。

スウォンジー大学を拠点とするScar Free Foundationは、Health and Care Research Walesとともに、3年間で250万ポンド(=3億8千万円)の再生研究プログラムをスタートし、臨床試験を進めます。そして近い将来、顔の再建手術などに役立つ3Dバイオプリント顔面軟骨再建技術を確立する予定です。

再建手術では、患者はプラスチックなどの人工物ではなく、自分の細胞を使うことを希望する場合が多いそうです。しかし従来の軟骨を使う方法では、再建手術のために、からだのいろいろなところから軟骨を集める必要があり、そのため痛みや痕跡を伴っていました。新しい方法では軟骨を採取する必要はなくなります。この技術は小耳症で、生まれつき片耳がない患者に適用される予定とのことです。詳しくはScar Free Foundationのニュースリリースをご覧ください。

LG電子がバッテリー分離膜コーティング素材としてCNFを検討(2021.7.16)

KOPOST (Korea Indusry Post)に7月15日に掲載された記事によりますと、LG電子がバッテリーの次世代分離膜コーティング素材としてパルプ抽出素材であるセルロースナノファイバー(CNF)を検討しているとのことです。韓国国内のCNF製造メーカーと機密保持契約を締結し、研究開発を進めていると報じています。これ以上の内容は有料配信記事なので、不明です。

https://www.kipost.net/news/articleView.html?idxno=209161

日本製紙がバイオマスマテリアル&パッケージング展を開催(2021.7.15)

日本製紙がバイオマスマテリアル&パッケージング展「ビオコレ」を、本社のある御茶ノ水ソラシティで7月28日~30日に開催することが、株式会社科学企画出版社が発行する日刊ケミカルニュースに掲載されました。ただし入場するためには、招待状が必要です。

持続可能資源である木材由来のバイオマスマテリアルは、気候変動やプラスチックごみ問題など、地球規模で影響を及ぼす社会課題の解決に寄与します。日本製紙は循環型社会構築への寄与と事業成長の両立を目指す「総合バイオマス企業」として、セルロースナノファイバーをはじめとするバイオマスマテリアルの開発と市場開拓に積極的に取り組んでいます。今年6月には既存の事業領域を超えて、新たに育成していく事業の成長を加速させるため、バイオマスマテリアル事業推進本部を設立しています。

展示会ではバイオマスマテリアルと、紙化ソリューションの役割を担うパッケージを中心に、同社グループの製品が紹介されるほか、特種東海製紙グループの製品も紹介されるとのことです。

詳しくは日刊ケミカルニュースの記事をご覧ください。

ナノセルロースを使った自動車部品を韓国の製紙会社が展示会に出品(2021.7.10)

韓国のビジネスニュースサイトBusiness Koreaに7月9日に掲載された記事によりますと、7月7日~9日に韓国・高陽市のKINTEXで開催されたNANO KOREA 2021(詳細は別の記事を参照)で、Moorim P&PとHansol Paperが、ナノセルロースを使った自動車部品を出品したとのことです。このサイトには、セルロースナノファイバーを使った環境にやさしい自動車部品、というタイトルで、パーツの写真が掲載されています。

これ以外にはMoorim P&PとHansol Paperの出品内容について以下のような説明があります。

Moorim P&P

ナノセルロース、パルプモールド、バイオプラスチックなどの新素材で作られたさまざまな製品を紹介しました。ナノセルロースは、パルプから抽出したセルロース繊維をナノサイズに解繊したもので、鉄の5分の1の重さですが、5倍の強度があり、優れた安全性と親水性を備えています。したがって、自動車、化粧品、電子機器など、多くの業界で使用できます。

展示会では同社は、環境にやさしいプレート、お弁当箱の容器、パルプ型で作られた紙コップも発表しました。パルプモールドにはプラスチックコーティングが施されていないため、リサイクルが容易で生分解性があります。同社はまた、パルプ、木材、おがくずを使用して開発された木質プラスチックと生分解性の環境に優しいバイオプラスチック製品のサンプルを展示しました。これらの素材は、プラスチックの代わりにハンガー、歯ブラシ、化粧品ケースに使用できます。

Hansol Paper

ナノセルロース技術を応用してタイヤや自動車部品の新素材を開発するための研究を強化しています。生分解性紙包装材”Protego”と環境にやさしい紙容器“Terabas”の商品化に成功しました。プロテゴは90%以上生分解し、リサイクルすることができます。化粧品、コーヒー、食品などの包装材料として使用できます。環境にやさしい食品容器であるテラバスは、リサイクル可能で生分解性があるため、プラスチック容器の代替品として注目されています。

詳しくはBusiness Koreaの記事(英語)をご覧ください。

ナノセルロースを使ったヘッドホンを発売(2021.7.9)

デンマークのオーディオ会社AIAIAIは、TMA-2StudioおよびTMA-2StudioXEと呼ばれるTMA-2モジュラーヘッドフォンラインのスタジオ指向モデルを発売したことを英国のVinyl Factoryが7月8日付で発表しました。

いずれもバクテリアセルロースで作られたAIAIAIのバイオセルローススピーカーダイアフラムと、柔軟でロスレスな体験を実現する高品質の3.2mコイルケーブルを備えているほか、非常に快適なイヤークッションを使用していることが特徴です。小売価格はそれぞれ200ポンド(31,000円)と160ポンド(25,000円)です。

第19回国際ナノテクノロジーシンポジウム・展示会が韓国で開催(2021.7.8)

第19回国際ナノテクノロジーシンポジウム・展示会(The 19th International Nanotech Symposium & Exhibition 、NANO KOREA 2021)が、7月7日~9日に、韓国・高陽市のKINTEXで開催されています。

基調講演6のほか、12のテーマでシンポジウムが開催され、招待講演と口頭発表が行われます。すべての講演タイトルを確認しましたが、ナノセルロースに関するものは見当たりませんでした。このほか韓国語による一般向けの無料公開セッションが開催されますが、こちらにもナノセルロースに関するものはありませんでした。

CELLINKが革新的な顕微鏡メーカーDiscover Echoを買収(2021.7.1)

CNFを使ってバイオインクを製造するCELLINKは、正立型顕微鏡と倒立型顕微鏡の機能を1つにしたハイブリッド顕微鏡の技術を持つ米国の顕微鏡メーカー Discover Echo Inc.の買収を完了したことを6月30日のプレスリリースで、発表しました。買収価格は約110百万米ドル(=120億円)です。

2013年にEugene Cho氏によって設立されたDiscover Echoは、急成長している顕微鏡およびイメージング会社です。

本社はカリフォルニア州サンディエゴにあり、英国に1つのヨーロッパ子会社があります。DiscoverEchoには約50人の従業員がいます。同社の主要市場は北米ですが、ヨーロッパやアジアでも強い存在感を示しています。Discover Echoは、市場に出回っている他のシステムよりも汎用性の高いハイブリッド自動顕微鏡を提供することで、市場に革命をもたらしました。Discover Echoは、従来の接眼レンズを超高解像度のタッチスクリーンディスプレイに置き換え、画像の取得、共有、分析のワークフローを向上させる独自のソフトウェアアプリを提供することで、顕微鏡の使いやすさを大幅に向上させました。

Discover Echoは、世界初で唯一のハイブリッド(変形可能)顕微鏡で、100年前に誕生した顕微鏡業界に革命をもたらしています。従来の顕微鏡メーカーは、十分な訓練を受けた顕微鏡の専門家のみが操作できる複数の異なるハードウェアアクセサリとソフトウェアモジュールで構成される複雑な機器を提供しています。ほとんどのライフサイエンスラボは、正立と倒立の2種類の顕微鏡を所有しています。Discover Echoのハイブリッド顕微鏡は、単一の高品質機器で正立と倒立の両方の機能を提供するため、2つの別個のシステムを必要としません。さらにDiscover Echoの製品は、超高解像度のタッチスクリーンディスプレイとネイティブソフトウェアを統合しています。ユーザーが世界クラスの科学出版物のために優れた、透き通った画像を撮ることを可能にします。機器の接続性により、画像の共有が容易になり、研究チームのコラボレーションと効率が向上します。

現在、CELLINK Groupは、細胞培養研究者が使用する無数の製品を提供しています。これらすべての顧客はDiscoverEchoの製品からメリットを得ることができます。これにより、クロスセリングや製品のバンドルの可能性が広がり、複数の製品ラインを拡大し、CELLINKグループが提供する消耗品の使用量を増やすことができます。このような製品のバンドルにより、グループは完全なワークフローの提供に近づくことができます。

詳細はプレスリースをご覧下さい。