TAPPI Nano 2020 バーチャル国際会議(2日目)速報

2020.7.24 

TAPPI(米国紙パルプ協会)Nanotechnology Divisionが開催するバーチャル国際会議の第2日目が、日本時間で24日(金) 0時30分~3時40分にWebを使って開催され、全世界から約180人が参加しました。7件の講演。学生ポスター賞受賞者2人によるショートプレゼンテーション、来年6月に開催される国際会議の案内などがありました。概要を報告します。なお配布資料はありません。

Nano Cellulose Vehicle
ナノセルロースビークル
矢野 浩之 京都大学

  • 環境省が進めるナノセルロースヴィークルプロジェクトの紹介。2001年から現在に至るまでの研究の経過と、昨年、東京モーターショーで公開された試作車で使われた複合材料の説明があった。試作車では16%の軽量化により、11%の燃費改善が達成された。
  • 開発した技術の量産車への適用は2025年をめどに行う予定。

Wood Microstructures Tuning for High Performance Ecological Materials
高性能エコ材料のための木材微細構造調整
Mingwei Zhu 南京大学(中国)

  • 木材の微細構造を調整することで得られる3種類の高性能エコ材料を紹介。
  • 透明紙。従来は木材からナノセルロースを作り、それを薄膜化していたが、木材組織から脱リグニンすることで製作した。リグニンは90%程度除去している。
  • 曲げることができる透明なフィルム。電子材料としての利用を検討。
  • 光学デバイスとして用いるための、圧縮加工で製造した木材。

Nanocelluloses: Next generation Aqueous-based Universal Adhesives for Particulate Composites
ナノセルロース:粒子複合材料のための次世代の水性ベースの汎用接着剤
Bruno Mattos アールト大学(フィンランド)

  • CNFを水性汎用接着剤として使用。CNFはフレキシブルで強い。
  • さまざまな径のSiO2と混ぜて、接着特性を検討した結果、SiO2 95%+CNF 5%の比率で、粒子の径:CNFの径=10:1のとき、接着特性がよい。
  • CNFをメチル基で疎水性、ヒドロキシ基で親水性などに表面修飾することも可能。
  • この接着剤は室温で使え、酵母や花粉にも使えるという汎用性がある。

FinnCERES Materials Cluster
FinnCERESマテリアルクラスター
Tekla Tammelin VTT(フィンランド)

  • フィンランドが2017年から実施している研究プログラムを紹介。予算は2,400万ユーロ。2050年までに森林の付加価値を2倍にすることを目標とし、林産資源から付加価値の高い製品を作るための技術を開発している。
  • 核となる研究テーマは、バイオリファイナリーによる固体生成物の生産、木質資源を利用した水と空気の浄化、セルロースによるプラスチックの置き換えなど。

Conductive Elastic 3D Printed Composites Based on Nanocellulose for Controlled Drug Release
制御された薬物放出のためのナノセルロースに基づく導電性弾性3Dプリント複合材料
Rubina Ajdary アールト大学(フィンランド)

  • セルロース繊維から、CNF、TEMPO酸化CNF、アセチル化CNFの3種類のナノセルロースを作り、ポリマーに混ぜて3Dプリンターで細胞培養用のスキャフォード(足場)を製作。そこにH9c2細胞を培養して、心臓用パッチを製作した。
  • PGSをポリマーとして加えたものが最も心筋細胞に近い。
  • インクに薬物を入れて作った心臓用パッチは、PGSの分解に伴い、薬物を徐放することができる。

学生ポスター賞受賞者によるショートプレゼンテーション

  • ブラジル・カンピナス大学の学生によるビッカリングエマルジョンに関する研究。
  • ノースカロライナ州立大学の学生によるリグニンとCNFのエアロフォームの研究。

Standards
標準化
Collen Walker、メイン大学(アメリカ)

  • 国際標準化機構(ISO)におけるナノセルロースの国際標準化の動きについての説明。内容は別途整理し、ナノセルロース・ドットコムに掲載します。

Assembly of Plant Polyaromatics at Interfaces
界面での植物多環芳香族の集合
Orlando Rojas ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)

  • リグニンのエアロゾルを乾燥させると、表面が波形の粒子を作ることができ、これをコーティング材料として使うことができる。
  • CNFをバインダーとして、リグニンナノ・マクロ粒子による膜を作ることができる。またこれを使って3Dプリンティングも可能。

TAPPI Nano Division Leadership and TAPPI Nano 2021
Heli Kangas、VTT(フィンランド)

  • 来年ヘルシンキで開催予定の国際会議の案内。

ナノセルロース・ドットコムロゴ

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