TAPPI Nano 2020 バーチャル国際会議(1日目)速報

2020.7.23 

TAPPI(米国紙パルプ協会)Nanotechnology Divisionが開催するバーチャル国際会議の第1日目が、日本時間で23日(木) 0時30分~3時40分にWebを使って開催され、全世界から約210人が参加しました。開会の挨拶と各賞の受賞者の紹介に続き、7件の講演が行われました。注目順に内容を報告します。なお配布資料はありません。

What’s New in Commercial Production of Nanocellulose?
ナノセルロースの商業生産における最新動向
Colleen Walker, メイン大学(アメリカ)

  • TAPPI Nanotechnology Division の中のProducers Committee (製造者委員会)の概要と生産者の最新動向を説明した。なお委員長はStora EnsoのLars Axtrupで、Colleen Walkerはセクレタリー。
  • Producers Committee は2015年に発足し、商業化のニーズと課題について検討してきた。
  • 会員はパイロットスケール以上でナノセルロースを生産している企業に限られる。
  • 次の13社の最新動向を説明。Blue Goose, Boregaard, CelluForce, FiberLean, GranBio, Innotech Alberta, Klabin, Kruger, Performance BioFilamant, Sappi, Stora Enso, Suzano, U Maine。説明された内容は、ナノセルロース・ドットコムの海外企業情報に追記した。
  • 日本の企業については、全く触れられておらず、質疑応答で、どうなっているのかとの質問があった。

Modifying Hard Material
硬い材料を改質する
Johan Foster, ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)

  • 金属のチタンにCNCを混ぜて、バイオコンポジットを作った。チタンは資源量が豊富で、耐食性があり、すでにいろいろな用途に使われている。一方で合金は毒性があり、価格が高い。
  • チタンに1~5%のCNCを混ぜてバイオコンポジットを製作した。アルゴン雰囲気中でチタンとCNCを混ぜる。
  • バイオコンポジットはもとのチタンと比べて、ピッカーズ硬度が3倍、圧縮強度が4倍以上向上した。また時間の経過とともに強度は向上した。

Have we Established the Safety of Cellulose Nanomaterials?
セルロースナノマテリアルの安全性は確立されたか?
Jo Anne Shatkin, Vireo Advisors(アメリカ)

  • Environmemtal Health and Safety (EHS) Roadmapを2015年に公表した。その概要の説明。
  • 現在、遺伝毒性や実証試験を行っている。内容はTAPPI Nanoのウェブサイトから見ることができる。
  • 実証試験では、労働環境での影響、消費者に対する影響、環境への影響について検討中。市販されている6種類のCNF、CMC、CMFを使用。
  • 今後は表面改質したものの調査を行っていく予定。ぜひ参加してほしい。

Continuous Processing of High Strength Cellulose Nanofiber Sheet
高強度セルロースナノファイバーシートの連続生産
Jeffrey Youngblood, パーデュー大学(アメリカ)

  • CNFの多層シートを押出法で安価に生産する方法を開発。
  • シートは厚さが1.65mm、強くて(207MPa, 3.53MJ/m2)、軽い(1.35g/cm3)。
  • 耐水性を増すための添加剤を検討し、CNF:CMC(カルボキシメチルセルロース)=10:1が最もよく、均一に混合することもかわった。

Light-triggered Tuning of Mechanical Properties of 3D Printable Cellulose Nanocomposite
3D印刷可能なセルロースナノコンポジットの機械的特性の光トリガーチューニング
Luca Mueller, EMPA(スイス)

  • 3Dプリンター用インクにCNCを添加し、物理的特性を改善した結果を報告。
  • CNCをケイ皮酸ビニルに加えることで、マトリックス構造にする。具体的にはシンナモイルクロリド+ピリジン+CNC。
  • このようにして作ったcin-CNCを添加することで、インクの強度がアップした。30%cin-CNCを加えた場合が、もっとも成績がよかった。

Direct Writing Cellulose Materials with Tunable Properties
調整可能な性質を持つそのまま使用できるプリンター用セルロース材料
Gilberto Siqueira, EMPA(スイス)

  • 3Dプリンター用の樹脂にCNCのソフトハイドロゲルを混ぜ、さらに光硬化性能を持たせた材料を開発した。

Nanoscale Cellulose for Components of Dye-sensitized Solar Cells
色素増感太陽電池のコンポーネントのためのナノスケールセルロース
Kati Miettunen、アールト大学(フィンランド)

  • セルロースエアロゲルのフィルムとバイオカーボンを使用したコンポーネントを試作。
  • バイオマテリアルでプラチナやガラスを置き換える。

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