ナノセルロースは温度など変化により長さが変わりにくいという、寸法安定性という特徴があります。温度が上昇すると固体の多くは長さや体積が大きくなりますが、これを膨張といいます。線熱膨張率は、温度上昇に伴って長さが膨張する割合を、温度(K:ケルビン)当たりで示したものです。ナノセルロースの線熱膨張率は0.1×10-6/Kで、これは温度が1℃上昇すると、長さが1千万分の1長くなるという意味です。表に主な物質の線熱膨張率を示します。ナノセルロースは「石英ガラス並みの低熱膨張」といわれることがありますが、石英ガラスの1/5の低熱膨張です。
材料名 | 線熱膨張率(×10-6/K) | 材料名 | 線熱膨張率(×10-6/K) |
---|---|---|---|
フェノール樹脂 | 0.25~0.68 | アクリル樹脂 | 0.45~0.7 |
石英ガラス※ | 0.5 | ポリスチレン | 0.6~0.8 |
高密度ポリエチレン | 1.1~1.3 | 硬質ガラス | 8.5 |
炭素鋼 | 10.8 | コンクリート | 12 |
ステンレス鋼(SUS304) | 17.3 | パラフィン | 110 |
ゴム | 110 | 炭素繊維 | -1.5~-0.4 |
※0~100℃のとき