耐熱性の低さが素材として用いるときの課題に

セルロースは熱に強いのでしょうか。有機物なので残念ながら金属やセラミックスなどの無機材料と比べると、耐熱性は低いです。一口にセルロースといっても、形状や性状がさまざまなので、数値を示すのは難しいのですが、窒素雰囲気下では240℃から熱分解が始まると言われています。この窒素雰囲気下による熱分解とは、熱重量分析によるもので、温度上昇に伴う物質の重量減少を測定するものです。昇温速度を大きくすると、より高温側で重量減少が起きますので、評価が難しいところです。耐熱温度ということで言うならば、240℃と考えておけばよいと思います。

ところでセルロースの耐熱性は、結晶化度に関係するといわれています。セルロースの中には、分子が規則正しく配列して結晶になっている部分(結晶領域)と、結晶になっていない部分(非晶領域またはアモルファス領域)があります。結晶性のセルロースは非晶性のセルロースに比べて、50℃程度、高温側で熱重量減少を起こすといわれています。機械解繊のみで作ったセルロースナノファイバーと酸加水分解で作ったセルロースナノクリスタル(CNC)を比べると、非晶領域を加水分解して得られたCNCのほうが、結晶化度が高くなっています。

またセルロースのサイズも耐熱性に関係することがわかっており、同じセルロースの微結晶では、サイズが小さくなるほど熱重量減少が低温側で起きることが分かっています。同様に、セルロースをナノ化することで、熱分解速度のピーク温度が大きく低下したとの報告もあります。ただ、熱分解開始速度についてはわかりません。

このようにナノセルロースは耐熱性がない材料なのですが、化学修飾することで耐熱性が数十℃向上したとの研究成果もたくさんあります。いずれにしても、ナノセルロースは結晶化度、解繊方法、サイズ、化学修飾の有無と方法などにより、熱分解の挙動が異なるので、実際に測定してみる必要があります。

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