TEMPO触媒酸化CNF電顕写真

ナノセルロースの基本単位はセルロースミクロフィブリル

ナノセルロースは、セルロースの分子鎖30~40本が束になったセルロースミクロフィブリルという細長い繊維が基本単位です。繊維の径は3~4nmで揃っていますが、繊維の長さはまちまちで、長いものでは数μm(=数千nm)になる場合もあります。ところで基本単位というのはどういう意味でしょうか。それはこれ以上、「細く」できないという意味です。ちなみに長さを短くすることはできるので、「細かく」できないわけではありません。さきほどセルロースの分子鎖が30~40本束になっていると説明しましたが、セルロースの分子鎖まで細くできないのでしょうか。残念ながらそれはできません。高校の教科書に載っていたセルロースの分子鎖、すなわちα-グルコースがβ-1,4結合でつながったポリマーは、分子鎖の状態で取り出せないのです。セルロースミクロフィブリルは繊維の径がナノサイズなのに、なぜ「セルロースナノフィブリル」ではなく「セルロースミクロフィブリル」と呼ばれるのでしょうか。セルロースミクロフィブリルのmicroというのは「ミクロサイズの」という意味ではなく、「小さい」という意味です。「セルロースミクロフィブリル」という呼び名が一般的に使われているのですが、「セルロースナノフィブリル」も同義語として使われます。

この基本単位をもとに、ナノセルロースの構造を見ていきましょう。まず最も細いセルロースナノファイバー、すなわち繊維径が3~4nmのセルロースナノファイバーですが、これは先ほど説明したセルロースミクロフィブリルそのものです。セルロースナノファイバーの単繊維とか、シングルナノファイバーと呼ばれる場合もあります。製造方法によって、TEMPO酸化セルロースナノファイバー、リン酸エステル化セルロースナノファイバーなど、いくつかの種類があり、表面の官能基の種類が異なります。このタイプのセルロースナノファイバーは、水溶液中で完全に分散し、繊維径が光の波長より小さいため、透明に見えます。

このセルロースミクロフィブリルが束になったものが、一般的にセルロースナノファイバーと呼ばれるものです。繊維(束)の径は製造方法・製造条件によって大きく異なります。また径の分布もまちまちで、100nmを超える太い繊維が含まれている場合もあります。ちなみに径が3~100nmの繊維が全体の半分以上なら、ナノセルロースとなります。逆に径が100nmを超える繊維が半分以上なら、ナノセルロースではありません。ナノ物質に対する規制が厳しいEUでは、あえてナノセルロースと名乗らないほうがよい場合もあり、うまく使い分けている事業者もあるようです。

最後にセルロースナノクリスタルについて説明します。国際標準化機構(ISO)の標準仕様書(TS)によれば、セルロースナノクリスタルは繊維径が3~50nm、繊維長が100nm~数μm、アスペクト比が5~50と記載されていますので、セルロースミクロフィブリル単体、あるいはセルロースミクロフィブリルの束です。ただセルロースナノファイバーと比べて繊維長が短くなっています。これは製造方法に違いがあるからです。セルロースナノファイバーはセルロース繊維を物理的な方法を主体にしてほぐして作りますが、セルロースナノクリスタルはセルロース繊維を酸で加水分解して作ります。セルロース繊維には、結晶構造の部分と非晶構造の部分があり、非晶の部分は加水分解を受けやすくなっています。加水分解の条件を調節することで、結晶の形をしたセルロースナノクリスタルを作ることができます。

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